巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第六章ー帰還ー

アクシデント?

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お姉さん達とギュウギュウ抱き合った後、お姉さん達から離れた場所に立ち、私は三つのブレスレットを自分の左手首に通した。そして、持っていたポーチの中を確認してみると─“秘密のポーチ”になっていた。

ーチート万歳であるー

そして、軽食等を詰め込んでいたリュックを、無言でその“魔法のポーチ”の中に入れると

「わー…それ、懐かしいね…。」

「あー…やっぱり琴音はチートだわ。」 

「琴ちゃんのドヤ顔を思い出したわ。」

ー本当に、お姉さん達とのやり取りは…楽しかったなぁー

「─あ…雪だ…」

ふと見上げると、雪がチラチラと舞っていた。

「ここ数日冷えると思ったら…。」

「そう言えば、向こうでは雪なんて降らなかったよね。」


ー雪…真っ白な…雪ー

まるで…レフコースみたいに真っ白だ─。


「琴音、名残惜しいけど…体が冷えてしまう前に…戻った方が良い─。」

「─はい…。」

目を瞑り、足下に魔法陣を展開させる。その魔法陣に魔力を注ぎ込む前に、もう一度お姉さん達を見る。

「咲さん、美樹さん、千尋さん。お姉さん達と一緒に召喚されて…良かったです。お姉さん達の事…大好きです!ありがとうございました─!」

笑顔でお姉さん達に挨拶をして、一気に魔力を魔法陣に注ぎ込んだ。




ドンッ

「─えっ!?」

魔法陣から光が溢れて、私を囲む様に光の壁ができ─その光の壁の向こうから、咲さんの声と共に、咲さんとリュックサック一つが…飛び込んで来た。

「─え!?」

ーえ?何で?何で咲さんが!?ー

魔法陣は既に発動している為、止める事はできない。

「えっ!?ちょっ…何で!?」

咲さんがパニクっている─のは珍しい─じゃなくて!

「咲、聞こえてる?」

「千尋!美樹!これは…どう言う事!?」

「咲、女はね─」



ー女は?ー




「「愛されて、追われてなんぼよ!!」」




「はぁ──────っ!?」


ーえ─…マジですか!?それだけの為ですか!?ー

咲さんは遠い目になって、そのまま固まった。

「咲さん…ごめんなさい。この魔法陣は…止められません。」

と、私が言い切った時、光が一気に膨らんで弾けた─。























「…色んな意味で…有り得ない─!!!」

ーはい。チートを発揮した…ハルですー

ちょっとしたアクシデント(?)がありましたが…2週間ぶりにパルヴァンの森に戻って来ました。無事に戻って来れたのか?と訊かれると─

「こと…ハルは大丈夫?私は…まだ体中が…痛い…。」

そうなんです。こっちに戻って来て、足下で展開していた魔法陣が消えると─体中が痛み出して、暫くの間、動けなくなったんです。

ー気を失うかと思ったー

私も咲さん─ミヤさんも異世界の転移が3回目。おそらく、一度異世界を跨ぐ度に、体への負担が大きくなっているんだろう。私のチートな魔力があるから、ミヤさんをまた日本に還そう─と思ってたんだけど─。

「駄目だ─。これ、私が日本に還れるってなっても、還らない方が良いって事だよね?3回目でこの痛みなら…きっと4回目は…生きるか死ぬか状態よね? 」

と言う結論に達した。

「ねぇ…美樹と千尋は…馬鹿だったのね?」

「…さ─ミヤさん…」

「ねぇ…ハル…。ここから移動する前に、ちょっと2人だけで…話をしよっか?」

「はい─勿論。」

私は、そっと周りに結界と認識阻害の魔法を張った。









先ず、2人のステータスを確認しました。


*ミヤー宮原 咲ー*
     聖女
     レベル   MAX


*ハルー春ノ宮 琴音*
     魔法使い
     魔力  MAX
     レベル  MAX



ーはい。ミヤさんもチートです!前から分かってたけどー


「ふふっ…ねぇ、ハル?私達って…“最強コンビ”なんじゃない?」

「ミヤさんは前から最強でしたよ?」

「「……」」

「ミヤさん…ごめんなさい。私が日本に還ってなかったら、ミヤさんがここに来る事もなかったのに…。」

“愛されてなんぼ”と言われても─。あの時の私みたいに、勝手に異世界に放り込まれたのだ。心残りだってあるだろう─。

「ハル…私ね…日本に全く心残りが無くて…ビックリしてるのよ…」

「え????」

「寧ろ…また、このパルヴァン─だっけ?この森に来て…ワクワクしてる─。」

そう言うミヤさんの顔は…本当に、ここに来る前よりも輝いて見えた。

「前の召喚の時にね、私達、絶対に彼氏の元に還るんだーって、頑張って…それで、還ったでしょ?そうしたらさ…大好きで可愛がってたハルは居ないし…彼氏は…二股してたし?ホント、何の為に頑張って還って来たんだろう?って─何て言うか…心にポッカリ穴が空いた感じだったんだよね。」

「─ミヤさん…。」

「2年ぶりにハルに会えて、本当に嬉しかった。だから、ハルがまた戻りたいって言い出した時にね…良いなぁって…思っちゃったのよね。聖女として生活してた3年間、本当に楽しかったのよ。目に見えて、誰かの為になってるって事が分かって…皆を幸せにできてるんだ─って、実感できたから。そんな世界に…また、私も戻って来れた。しかも、大好きなハルと一緒にね!まぁ、今は“聖女”は必要ないかもしれないけど…浄化だけが聖女の務めじゃないからね。」

それは、本当の事なんだろう。ミヤさんは、本当に嬉しそうな顔をしている。

「ミヤさん。正直に言うと…私もミヤさんが一緒にここに来てくれた事、本当に嬉しいと思ってます。私…今回、自分勝手に飛び出しちゃったんで、これからどうなるか分からないんですけど…私と一緒に居てくれますか?」

「ふふっ。当たり前じゃない!逆に、私とハルを引き離そうとするなら─迎え撃つだけよ?」

と言って、それはそれはとても綺麗な微笑みを浮かべるミヤさん。


ーあ、ここにもボスが居ましたー


ミヤさん…ゼンさんと気が合いそうだなぁ─と思ったのは、ここだけの話。















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