巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

文字の大きさ
156 / 203
第六章ー帰還ー

ハルが去った後

しおりを挟む


*ゼン*



「あぁ、本当に新たな聖女様は可愛らしい娘ですね?アレなら、彼等が聖女様に惹かれる理由が分かりますね。」



あの娘─聖女は、伯爵以上の見目麗しい令息には、“私はか弱いんです”みたいに、しなだれかかる様に寄り添っている。婚約者でも、あそこまでへばり付く事は無い。
阿呆なお坊ちゃんは、“私に気があるのか?”と、嬉しそうにしている。

ー何とも、事で……ー

気になる─少し心配なのが、。 


「…噂ですか…。“恋に落ちた氷の騎士”でしたか?本当に、事ですね。」

あまりにも急速に広まった噂。


“エディオル=カルザインが、聖女に恋をした”─

ー有り得ないー

確かに、聖女にエディオル様と恋仲になったと思わせる様にしているとは言え…

誰が見ても、聖女が、嫌がるエディオル様にへばり付いているようにしか見えないよな?
恋に落ちたと、噂を広めた奴の頭は、こちらもまた、本当にオツムをしている。

ただ─もし、この噂をハル様が耳にしたら─

ふるふると、軽く頭を振る。

ハル様が、街に出掛けるならば、その噂に注意してくれ─と、ロンには手紙を飛ばしてあるし、エディオル様も、ハル様に手紙を飛ばしているようだから、大丈夫だとは思うが─。返事の手紙一つも寄越さないとは…ロン、帰ったら…教育し直しだな…。

ー!?ー

ふと、部屋に違和感を覚え、視線だけで部屋を見渡す。

ー?何も…ないかー

はぁー…兎に角、早くあの娘とクソ魔法使いの繋がりをハッキリさせて、エディオル様をハル様の元に返さないとな…。

と、まさか、その時の会話をハル様が聞いていたとは知らず、俺は呑気にそんな事を考えていた。











*クレイル*



「だから…あの時“無しだろう”って言ったんだよ。」

何が、王太子を助けてくれた薬師を守る為─だ。言っている事とやらせてる事が真逆なんだよ!これだから、古くて硬い頭の持ち主の貴族院は嫌いなんだ。結局は、国の平穏の為に、その2人が犠牲になっただけじゃないか─。しかも、まだあの魔法使いは見付かってもないし…。

ーハル殿ー

顔を真っ赤にして…エディオルを名前呼びした彼女は…本当に可愛かった…。それと同時に─あぁ、これで、本当に私が2人の間に割り込める事は無くなったんだな─と思った。

ーもともと、割り込む気は無かったけどー

エディオルの、あのハル殿に対する態度や表情は、今迄見た事がない位に嬉そうで、幸せそうだった。

それなのに─

兎に角、一刻も早く、聖女様と魔法使いの繋がりをハッキリさせて、この嫌な流れを切らないと─。

城全体に掛けられた“遮断”の魔術。高度な上に魔力量もかなり必要になる。その上、私達魔導師の誰1人として、その魔術が掛けられている事に気が付かなかった。おそらく、魔法使いの魔力による魔術なんだろう。魔法使いは、我々魔導師や魔術師とは格が違う。本当に、魔法使いと言うのは、敵に回ると厄介な存在だよね─。

─ハル殿は…見付かったのだろうか?
また、あの可愛らしい笑顔に…会えるんだろうか?

いや─。また、あの可愛らしい笑顔を見る為に…あの魔法使いを捕まえて、聖女様も引き摺り落としてやる─。











*ベラトリス*



ハル様が、実は元の世界には還れず、ずっとパルヴァンに居た─。

イリス様からそう聞いた時、私は…喜んでしまいました。そして、一瞬にして自分のそんな思いに嫌気がさしました。
ハル様が、本当に元の世界に還りたがっていた事を知っていたからです─。それなのに、1人だけ還れず取り残されてしまった─きっと、私が想像するよりも辛かったでしょう…。なのに、喜んでしまったのです。



「ハル様が…エディオル=カルザイン様と???」

「うん。実は、エディオルがハル殿にご執心でね?噂を聞いた事はない?“氷の騎士が遂に恋に落ちた”って。アレね、エディオルとハル殿の事だから…。」

ーえ???あのエディオル=カルザイン様…ですわよね?え?ー

「ははっ…キョトンとしたベラも可愛いよねー。まぁ、ベラの言いたい事も分かるけどね?その辺の話は、また今度にして…」


少し─いえ、かなり意味が分からなかったけれど、兎に角、ハル様はこの世界で前に進み出していて、エディオル=カルザイン様がハル様を側で支えている─と、言う事なのですわよね?ならば…良かった─

と、思ったのは一瞬で、そこからイリス様から聞かされたお話は…

「─クソ喰らえですわ!」

な内容でした。

本当に…本当に…貴族院のお堅い頭には、ある意味尊敬すら致します。いえ…お父様もお兄様も…本当に…どうして差し上げましょうか?今回の件が片付いたら…“ご婦人の会”を開くのも良いかもしれませんわね?と、少し悪巧みをしていると─


ーハル様が姿を消したー


そう聞かされた私は、イリス様とサエラが止めるのも無視をして、お父様が居るであろう執務室へと向かった。
















❋お待たせ(?)しました。明日は、いよいよハルの話に戻ります!❋








しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。

MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。 記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。 旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。 屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。 旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。 記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ? それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…? 小説家になろう様に掲載済みです。

虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

専業プウタ
恋愛
ミリア・カルマンは帝国唯一の公爵家の次女。高貴な皇族の血を引く紫色の瞳を持って生まれたワガママな姉の陰謀で、帝国一裕福でイケメンのレナード・アーデン侯爵と婚約することになる。父親であるカルマン公爵の指示のもと後継者としてアカデミーで必死に勉強してきて首席で卒業した。アカデミー時代からの恋人、サイラスもいる。公爵になる夢も恋人も諦められない。私の人生は私が決めるんだから、イケメンの婚約者になど屈しない。地位も名誉も美しさも備えた婚約者の弱みを握り、婚約を破棄する。そして、大好きな恋人と結婚してみせる。そう決意して婚約者と接しても、この婚約者一筋縄ではいかない。初対面のはずなのに、まるで自分を知っていたかのような振る舞い。ミリアは恋人を裏切りたくない、姉の思い通りになりたくないと思いつつも彼に惹かれてく気持ちが抑えられなくなっていく。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

王子に求婚されましたが、貴方の番は私ではありません ~なりすまし少女の逃亡と葛藤~

浅海 景
恋愛
別の世界の記憶を持つヴィオラは村の外れに一人で暮らしていた。ある日、森に見目麗しい男性がやってきてヴィオラが自分の番だと告げる。竜の国の王太子であるカイルから熱を孕んだ瞳と甘い言葉を囁かれるが、ヴィオラには彼を簡単に受け入れられない理由があった。 ヴィオラの身体の本来の持ち主はヴィオラではないのだ。 傷ついた少女、ヴィーに手を差し伸べたはずが、何故かその身体に入り込んでしまったヴィオラは少女を護り幸せにするために生きてきた。だが王子から番だと告げられたことで、思いもよらないトラブルに巻き込まれ、逃亡生活を余儀なくされる。 ヴィーとヴィオラが幸せになるための物語です。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

処理中です...