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第七章ー隣国ー
謁見前日
しおりを挟む「ルナ、リディ、私達の留守の間、パルヴァンを頼んだぞ?」
「承知致しました。グレン様達も、お気を付けて行ってっらっしゃいませ─。」
今回は、パルヴァン様をはじめ、シルヴィア様もゼンさんも王城に行く為に、ルナさんとリディさんはお留守番になった。
ー留守を預からせる事が…できる2人だったんですね!?どんだけ凄い2人なんですか!?知ってたけど!ー
ちょっと落ち着こう
「──では、転移魔法陣を展開させますね。」
と、私はいつも通りに魔法陣を展開させ、王都のパルヴァン邸へと転移した。
「─ハル様って…本当に…規格外の魔法使いだったのね…。」
と、ルナとリディの目が、一段と輝いていた。
「──本当に…全員で転移して来たんですね…。」
王都のパルヴァン邸に転移すると、そこでロンさんとクロエさんが待っていてくれていた。
「─ロンさん。これ位の事は…驚くに値しないからな?」
と、何故か眉間に皺を寄せたティモスさんが、ロンさんに言った。
ーティモスさん…ワームの事…まだ根に持ってるの?ー
「…久し振りの大物だったんだ…」
ーおぅ…まだ根に持ってたし…また、私の思考はバレバレだったんですねー
「何だかよく分かりませんが…。ハル様、お帰りなさいませ。ハル様が戻って来てくれた事、嬉しく思います。」
ロンさんが、以前と同じ様に優しく微笑んでくれた。
「ロンさん、ありがとうございます。それと、勝手に居なくなった事は、すみませんでした。」
ペコリと頭を下げて謝ると
「いえ、それはハル様が悪い訳ではありませんので。私と父─ゼンの失態でもありますから。」
「──ロン…お前も言うようになったな?」
ー流石は親子です。背中がゾワゾワします!コレ、誰が止めますか!?ー
「親子のスキンシップはそこまでにして、ロン、お前は初めてだろう?この方が、2年前に一度元の世界に還った3人の聖女様のうちの1人で─ミヤ様だ。」
はい、シルヴィア様が何事も無かったかのように?ゼンさんとロンさんの間に割り込みました。
「─ミヤです。ハルと一緒に戻って来たの。これからお世話になる事もあると思うから、宜しくお願いしますね。」
「聖女様のお世話ができるなど、光栄以外のなにものでもありません。こちらこそ、宜しくお願い致します。」
「では、サロンにお茶などをご用意しておりますので、そちらへどうぞ─。」
軽く挨拶も終わると─
「私は、知人と会う約束をしているから」
と言うシルヴィア様とはそこで別れて、残った皆でサロンへと移動した。
「これは再確認になりますが─」
サロンに移動して全員が椅子に座ると、ゼンさんが確認するように話し出した。
この大陸にある15の国の間には、いくつかの決まり事がある。その内の一つに、聖女に関しての事もある。
聖女を召喚する時は、事前に各国に知らせなければならない。何故なら、大きな魔力を使う為他国迄にも影響が出る可能性がある事と、他国への攻撃でな無いと言う事を示す為だ。
召喚された聖女は、基本的にはその国のみの聖女とする事。その国以外の国の者は、その聖女には手を出してはいけない。でなければ、聖女争奪戦が起こるから。それに、聖女の力も無尽蔵ではないのだ。異世界から勝手に召喚しておいて、あの国もこの国も─とは、無理があるのだ。
それに、聖女は、穢れを完璧に浄化できる唯一の存在。何を置いても守るべき存在なのだ。
一説には、その聖女に浄化とは関係の無い事で死なせてしまった場合、その国にはもう二度と聖女は召喚出来ない─とも言われているらしい。
「─ですから、隣国から“助けて欲しい”と言われる事はありませんし、ミヤ様が浄化をしに行かなければならない事もありません。それでも─行くと言う事でしょうか?」
「私が隣国の穢れを浄化したい理由は二つ。一つ目は、隣接しているこの国にも影響が出る可能性があるから。二つ目は、隣国をマトモな国にする為よ。隣国の王があのままなら…この国にとっても害でしかないからね。結局は…この国─この国で生きていく自分の為なのかもね?」
ミヤさんは、最後には“自分の為”だなんて言うけど、結局のところは隣国の酷さを目の当たりにして、放ってはおけないんだろう。
「分かりました。まぁ、以前から隣国の王は色々と問題視されてましたから…聖女様のお墨付きがあるようなら、王の交替もスムーズに行くでしょう。」
隣国の政権等の話しは、後はお偉い様達がする事だ─と言う事で終わりにして、今後のミヤさんと私の話しになった。勿論、ミヤさんは“聖女”としてこの国で生きていく。問題があるとすれば魔法使いの事だ。
「私、国の管理下に置かれたら…嫌だなぁ…」
国の管理下に置かれた場合、召喚された場所である、あの神殿に住む事になるらしい。そりゃあ、魔導師のダルシニアン様や、お世話になったレイナさんも居るけど…
「前にも言ったけど、その辺は大丈夫だと思うわよ?聖女が、ソレを許す事は無いからね。絶対に。グレン様をはじめ、パルヴァンの皆もそうでしょう?」
と、ミヤさんがニッコリ微笑めば、ここに居る皆が無言で微笑む。
ー背中がゾワゾワするやつです!でも、ソレが初めて心強いと思ってしまいました。ありがとうございます!ー
『主?眠れないのか?』
明日の謁見を控え、少し話を詰めるから─と、夕食後にパルヴァン様達はまたサロンへ、私はネージュと一緒に部屋に下がって来た。部屋は、以前使っていた部屋だ。寝る準備もして、ベットに入ったのだけど─。
「エディオル様…大丈夫かなぁ?って…」
寝ようとして目を瞑ると、不意にエディオル様を思い出してしまったのだ。
『魔法使いが居る故、大丈夫だと思うが…主が気になると言うなら、会いに行くか?』
「え?」
『何を驚く事がある?主なら、パッと行ってパッと帰って来る事ができるだろう?聖女はああ言っていたが、主が会いに行ったとしても、怒る事はないと思うぞ?』
会いたいか会いたくないかと訊かれれば─会いたい。でも、“待ってます”と言ったし、 “待ってて欲しい”と言われた…よね?それなのに…会いに行くとか…向こうは今、大変な時だろうし…。きっと、迷惑になるよね。
『主、深く考え過ぎると、良くない方に行ってしまうぞ?要は、主がどうしたいかだと思うぞ?遠目で見て、それで気が済むなら、そのまま戻って来るのもアリではないか?』
何故か、ネージュは楽しそうな、嬉しそうな顔をしていた。
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