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第三章ー学園生活ー
懐かしい色
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「相手は、とんでもない魔力の持ち主なのかもしれない。」
もし、その相手が聖女シェイラ=ペイトリンなら、1学期迄の彼女からすると有り得ない話だ。
確かに、2学期に入ってからの彼女は、魔力の扱いが数段良くなっていた。それに、いつも自信なさげに人の後ろに隠れるような子だったのが、今では──第三王子をはじめ、その側近達やオレリア、ルシエント様と並んで立っている。今日なんて、私にも声を掛けて来た。
魔力の扱いが上手くなり自信がついた─だけなら気にする事もないけど…彼女の変わり様は…怖いぐらいだ。
「それで…ルシエント様は、学園を1ヶ月休んでいる間はどうするんですか?」
「どうもしない。普段通りの生活に戻ってもらうだけだ。その1ヶ月の間、聖女への個別指導も中止してある。普段通りに魔道士の仕事をして、必要であれば王太子の護衛にも就く。ただ、聖女と距離を空けるだけだ。」
証拠が無いから、聖女と距離をとらせてどうなるか─を確認すると言う事だ。モンテルアーノ様の中では、既に聖女が何かをしていると確信しているんだろう。
「でも……それなら、ダレルさんも……ヤバくないですか?まぁ、1ヶ月だけなら、問題無いかもしれませんけど。」
「そこはちゃんと対策を取ってある。」
なんと、魅了や精神に干渉する魔法について研究している人達が居るそうで、今回、その人達に極秘で今の状況を説明して、よりレベルの高い魔具を作ってもらっていたそうで、それが無事出来上がり、今日、ここに持って来てもらえると言う事だった。
「今迄使っていた魔具は、城付きの魔道士の団長やオスニエルが作っていた物で、勿論、レベルは最高の物だし、問題も無かったんだが……あぁ、丁度来たようだ。」
モンテルアーノ様がそう言うと、張っていた結界を解除してから閉じられていた部屋の扉を開け、来訪者を招き入れた。
「失礼致します。」
その女性を見て、ハッと息を呑んだ。
ピンクブロンドの髪に碧色の瞳。その二つの色はスペイシー家を表す色だ。
「ナディアは初めてだろう?彼女はアデル=スペイシー。スペイシー侯爵の妹になる。」
「アデル=スペイシーです。宜しくお願いしますね。ダレル様は、お久し振りですね。」
「お久し振りです。私は平民なので、“様”は要りませんよ。」
“アデル=スペイシー”
何となく…母に似ているだろうか───
名前がアドリーヌに似ているのは?
「───私は…ナディアです。宜しくお願いします。」
懐かしいその姿に涙が出そうになり、誤魔化すように慌てて頭を下げる。
「そんなに畏まらないで下さい。私自身は侯爵ではありませんから。」
と、フワフワと微笑むアデル。
『私自身は侯爵ではありませんから』
よく母に言われていた事を思い出す。
“侯爵”は当主でる父が持つ爵位であって、私達が持っているモノではない。父の持つ爵位の傘に入って守られているだけだと。その、守られている分、その名に恥じない行いをしなさい。その名に驕ることのないようにしなさい。
それが、今のスペイシー家でも息づいていると言う事なんだろう。
「──ありがとう…ございます。」
軽く挨拶が終わると、4人ともが椅子に座ったところで、また結界が張られた。
「こちらが、今回作った魔具になります。」
アデル様が箱の中から取り出したのは、ピアスと指輪と、ブレスレットが2つずつの合計6個。こんな短期間のうちに、よく6個も作れたものだ。詳しくは分からないけど、かなり良い物だと言う事は分かる。それぞれに付けられている魔石に冷たい程の清らかさがある。
「6つも用意できたとは…流石、スペイシー家だな。」
これには、魔具を頼んだモンテルアーノ様自身も驚いている。
「まさか!こんな短期間で6つは、流石の私達でも無理ですよ。ただ……今回頼まれるよりも前から……少しずつ作っていたんです。“これらを、使う事がないように”と願いながら………。なので、これを使う事になって…残念です。」
「申し訳無い。」
困った様に笑うアデル様と、眉間に皺を寄せて謝罪するモンテルアーノ様。
そもそも、アドリーヌの時は、スペイシー家で魔具を作ったりはしていなかった筈。どうして、スペイシー家が?
「モンテルアーノ様のせいではありませんでしょう?それに……今回、これが役に立つと言うのであれば……研究を重ねて来た先祖様達も、喜んでくれるでしょうから。」
ひょっとして────
「あの…侯爵様達が、この研究をしている理由をお訊きしても?」
「大丈夫ですよ。ナディアさんは、100年前の事はもう聞いているんですよね?その、100年前に婚約者に殺されたと言うのが…その当時のスペイシー侯爵の娘だったんです。その当時の当主は、かなり嘆き悲しんだそうですが、二度とこの様な事が起こらないように─と、魅了や精神に干渉する魔法について研究するようになり、同時にそれらの魔法を封じる魔具の研究をするようになった─と言われています。」
お父様───
今世でも、お父様に助けられそうです──
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
( *ˊᗜˋ)ノꕤ*.゚
もし、その相手が聖女シェイラ=ペイトリンなら、1学期迄の彼女からすると有り得ない話だ。
確かに、2学期に入ってからの彼女は、魔力の扱いが数段良くなっていた。それに、いつも自信なさげに人の後ろに隠れるような子だったのが、今では──第三王子をはじめ、その側近達やオレリア、ルシエント様と並んで立っている。今日なんて、私にも声を掛けて来た。
魔力の扱いが上手くなり自信がついた─だけなら気にする事もないけど…彼女の変わり様は…怖いぐらいだ。
「それで…ルシエント様は、学園を1ヶ月休んでいる間はどうするんですか?」
「どうもしない。普段通りの生活に戻ってもらうだけだ。その1ヶ月の間、聖女への個別指導も中止してある。普段通りに魔道士の仕事をして、必要であれば王太子の護衛にも就く。ただ、聖女と距離を空けるだけだ。」
証拠が無いから、聖女と距離をとらせてどうなるか─を確認すると言う事だ。モンテルアーノ様の中では、既に聖女が何かをしていると確信しているんだろう。
「でも……それなら、ダレルさんも……ヤバくないですか?まぁ、1ヶ月だけなら、問題無いかもしれませんけど。」
「そこはちゃんと対策を取ってある。」
なんと、魅了や精神に干渉する魔法について研究している人達が居るそうで、今回、その人達に極秘で今の状況を説明して、よりレベルの高い魔具を作ってもらっていたそうで、それが無事出来上がり、今日、ここに持って来てもらえると言う事だった。
「今迄使っていた魔具は、城付きの魔道士の団長やオスニエルが作っていた物で、勿論、レベルは最高の物だし、問題も無かったんだが……あぁ、丁度来たようだ。」
モンテルアーノ様がそう言うと、張っていた結界を解除してから閉じられていた部屋の扉を開け、来訪者を招き入れた。
「失礼致します。」
その女性を見て、ハッと息を呑んだ。
ピンクブロンドの髪に碧色の瞳。その二つの色はスペイシー家を表す色だ。
「ナディアは初めてだろう?彼女はアデル=スペイシー。スペイシー侯爵の妹になる。」
「アデル=スペイシーです。宜しくお願いしますね。ダレル様は、お久し振りですね。」
「お久し振りです。私は平民なので、“様”は要りませんよ。」
“アデル=スペイシー”
何となく…母に似ているだろうか───
名前がアドリーヌに似ているのは?
「───私は…ナディアです。宜しくお願いします。」
懐かしいその姿に涙が出そうになり、誤魔化すように慌てて頭を下げる。
「そんなに畏まらないで下さい。私自身は侯爵ではありませんから。」
と、フワフワと微笑むアデル。
『私自身は侯爵ではありませんから』
よく母に言われていた事を思い出す。
“侯爵”は当主でる父が持つ爵位であって、私達が持っているモノではない。父の持つ爵位の傘に入って守られているだけだと。その、守られている分、その名に恥じない行いをしなさい。その名に驕ることのないようにしなさい。
それが、今のスペイシー家でも息づいていると言う事なんだろう。
「──ありがとう…ございます。」
軽く挨拶が終わると、4人ともが椅子に座ったところで、また結界が張られた。
「こちらが、今回作った魔具になります。」
アデル様が箱の中から取り出したのは、ピアスと指輪と、ブレスレットが2つずつの合計6個。こんな短期間のうちに、よく6個も作れたものだ。詳しくは分からないけど、かなり良い物だと言う事は分かる。それぞれに付けられている魔石に冷たい程の清らかさがある。
「6つも用意できたとは…流石、スペイシー家だな。」
これには、魔具を頼んだモンテルアーノ様自身も驚いている。
「まさか!こんな短期間で6つは、流石の私達でも無理ですよ。ただ……今回頼まれるよりも前から……少しずつ作っていたんです。“これらを、使う事がないように”と願いながら………。なので、これを使う事になって…残念です。」
「申し訳無い。」
困った様に笑うアデル様と、眉間に皺を寄せて謝罪するモンテルアーノ様。
そもそも、アドリーヌの時は、スペイシー家で魔具を作ったりはしていなかった筈。どうして、スペイシー家が?
「モンテルアーノ様のせいではありませんでしょう?それに……今回、これが役に立つと言うのであれば……研究を重ねて来た先祖様達も、喜んでくれるでしょうから。」
ひょっとして────
「あの…侯爵様達が、この研究をしている理由をお訊きしても?」
「大丈夫ですよ。ナディアさんは、100年前の事はもう聞いているんですよね?その、100年前に婚約者に殺されたと言うのが…その当時のスペイシー侯爵の娘だったんです。その当時の当主は、かなり嘆き悲しんだそうですが、二度とこの様な事が起こらないように─と、魅了や精神に干渉する魔法について研究するようになり、同時にそれらの魔法を封じる魔具の研究をするようになった─と言われています。」
お父様───
今世でも、お父様に助けられそうです──
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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