恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
35 / 61
第三章ー学園生活ー

しおりを挟む
「モンテルアーノ様と恋仲?誰が?」
「ナディアが。」
「何で!?」
「だから訊いてるのよ。」

そんな噂、私は耳にした事なんてないし、モンテルアーノ様の恋人になった覚えもない。

「勿論、そうじゃないって分かってたけどね。」
「じゃあ何で!?」

リゼットとは伯爵令嬢と平民と言う関係だけど、10歳の頃からの付き合いがあり、私が“恋愛云々は要らない”と言う事をよく知っている。魔道士になったのも、独り立ちして生きて行く為だ─とも。

「だって、当の本人であるモンテルアーノ様が否定しないのよ。」
「──はい!?」

何で否定しないの!?の前に、モンテルアーノ様本人が知ってるのに、私が知らないっておかしくない!?の前に、知ってるなら私との距離を取ってくれたらいいのに!の前に、やっぱり否定するべきだよね!?

「全部おかしくない!?」
「はいはい。ナディア、ちょっと落ち着こうね?」
「ゔー……」

そもそもの発端は、やっぱり、私達2人がよく図書館の地下フロアへと行くのをよく見掛けると言うところかららしい。
モンテルアーノ様は第二騎士団副団長で、滅多に図書館に来る事などなかったのに、最近は頻繁に通っていて、更には許可した者しか入れない地下フロアへと行く。更に、そこへ必ずいつも同じ女性がやって来る。勿論、その女性がやって来ない日は、モンテルアーノ様も来ない。

“モンテルアーノ様が、図書館地下フロアで逢瀬を楽しんでいる”

と、噂になるには早かった。

そこで、モンテルアーノ様に秋波を飛ばしている令嬢が、モンテルアーノ様に突撃質問してみても、ニッコリ微笑むだけで否定はしない。肯定もしないから、「恋仲ではないのですね」と言えば、「どうかな?」と言われたそうだ。

「“どうかな?”って何!?」
「私に言われてもね…」

おかしい!そこは全否定するところだよね!?地下フロアで会ってる理由は、極秘事項を取り扱ってるからでしかないし、私と噂になっても、モンテルアーノ様にとってデメリットしかないよね!?メリットがあるとすれば……

「虫除け?」

有り得る。ルシエント様にリゼット恋人ができてから、モンテルアーノ様により令嬢達が押し寄せるようになったと、耳にした事がある。そこで、自分にも恋人ができた─と思わせておけば、少しはマシになるだろう─と。
それはそれで勘弁して欲しい。貴族の令嬢を舐めてはいけない。高位貴族の令嬢であればある程、欲しいモノは何をしても手に入れる!という令嬢も居て、それが何とも……えげつなかったりするのだ。

「私は、平穏を望んでるだけなのに…」
「既に平穏とはかけ離れてない?」
「ゔっ……」

ー聖女が絡んで来た時点で分かってたけどー



『──辛い事にも背を向けず、しっかり前を見て進む─そんな気持ちを忘れないようにと言う思いが込められているんです。』



ーあんな思いを…聞かされたらね…私だけが逃げて良いわけ無い…よね…ー

うん。聖女との事については、私もしっかり対処していく。第三王子達に同じ轍を踏ませないようにしたい。逃げたりはしない。
でも、その前に、モンテルアーノ様とは……話し合いが必要だよね!?

「兎に角、私とモンテルアーノ様とは、そう言う仲ではないから。」
「だよね……残念だけど…でもねぇ………」
「ん?何?」
「何でもないわ。」

次にモンテルアーノ様に会うのは週末になるだろうから、その時に─と、色々考えていたせいで、リゼットがニヤニヤと笑っている事には全く気付かず、リゼットの話をもう少し聞いておけば良かった─と、後悔する事になるのは、もう少し先の話である。









*実地試験当日*


倒す相手が低級レベルのゴーレムとあって、どのペアにおいても危なげなく倒す事ができている。
その中でも圧巻だったのは、シモン=オドリクスとオレリア=エタシエルのペアだった。
この1週間程で、シモン様の様子が変わった─と言うか、元に戻ったようで、火属性の彼はもともと火の扱いが上手かった事と、オレリア様とは小さい頃からの付き合いらしく、息ぴったりの動きであっと言う間にゴーレムを倒したのだ。

そんな2人とは逆に、少し時間が掛かってしまったのは、最終の第三王子と聖女のペアだった。第三王子が少し躊躇いながら動いていたような感じで、それを、シェイラが苛立っていたように見えた。

第三王子に掛けられた魔法が、少しずつ解けているのかもしれない。だとしたら、シェイラはまた更に第三王子に何かしらの魔法を掛ける可能性がある。取り敢えずは、あの魔具を頼るしかないけど。

兎に角、今日の実地試験は特に問題が起こる事もなく無事に終了した。







「明日、魔具のメンテナンスを兼ねてアデル様が登城するんだけど、ナディアは、このままルシエント邸ではなく、王城に来て、そのまま泊まって欲しい─と伝言を頼まれたんだけど……何か聞いてるかい?」

「今、初めて聞きました。」

1日の授業が終わり、その日の書類関連の仕事も終わり、そろそろ帰ろうか─としたところで、ダレルさんから聞かされた事に驚いた。

だけど──

今朝、ルシエント邸の馬車に乗った時に、車内にある荷物がいつもり多いかな?とは思っていた。多分、その荷物は、お泊りに必要な荷物なんだろう。

ー別に、隠す必要は無いよね?ー

「用意はされていると思うので……王城に行きますよ。」

「ご苦労様」

と、ダレルさんは苦笑しながら私の肩をポンポンと叩いた。






❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜





しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。

As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。 例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。 愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。 ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します! あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 番外編追記しました。 スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします! ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。 *元作品は都合により削除致しました。

はずれの聖女

おこめ
恋愛
この国に二人いる聖女。 一人は見目麗しく誰にでも優しいとされるリーア、もう一人は地味な容姿のせいで影で『はずれ』と呼ばれているシルク。 シルクは一部の人達から蔑まれており、軽く扱われている。 『はずれ』のシルクにも優しく接してくれる騎士団長のアーノルドにシルクは心を奪われており、日常で共に過ごせる時間を満喫していた。 だがある日、アーノルドに想い人がいると知り…… しかもその相手がもう一人の聖女であるリーアだと知りショックを受ける最中、更に心を傷付ける事態に見舞われる。 なんやかんやでさらっとハッピーエンドです。

聖女は友人に任せて、出戻りの私は新しい生活を始めます

あみにあ
恋愛
私の婚約者は第二王子のクリストファー。 腐れ縁で恋愛感情なんてないのに、両親に勝手に決められたの。 お互い納得できなくて、婚約破棄できる方法を探してた。 うんうんと頭を悩ませた結果、 この世界に稀にやってくる異世界の聖女を呼び出す事だった。 聖女がやってくるのは不定期で、こちらから召喚させた例はない。 だけど私は婚約が決まったあの日から探し続けてようやく見つけた。 早速呼び出してみようと聖堂へいったら、なんと私が異世界へ生まれ変わってしまったのだった。 表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ――――――――――――――――――――――――― ※以前投稿しておりました[聖女の私と異世界の聖女様]の連載版となります。 ※連載版を投稿するにあたり、アルファポリス様の規約に従い、短編は削除しておりますのでご了承下さい。 ※基本21時更新(50話完結)

捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです

木嶋隆太
恋愛
聖女の力を持つ人間は、その凄まじい魔法の力で国の繁栄の手助けを行う。その聖女には、聖女候補の中から一人だけが選ばれる。私もそんな聖女候補だったが、唯一のスラム出身だったため、婚約関係にあった王子にもたいそう嫌われていた。他の聖女候補にいじめられながらも、必死に生き抜いた。そして、聖女の儀式の日。王子がもっとも愛していた女、王子目線で最有力候補だったジャネットは聖女じゃなかった。そして、聖女になったのは私だった。聖女の力を手に入れた私はこれまでの聖女同様国のために……働くわけがないでしょう! 今さら、優しくしたって無駄。私はこの聖女の力で、自由に生きるんだから!

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

処理中です...