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第三章ー学園生活ー
スペイシー邸③
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その魔具はネックレスタイプで、ペンダントトップに碧色の石が使われていた。
ーアドリーヌの色にそっくりー
「その魔具が、気になりますか?」
私がジッと見つめていたのに気付いたアデル様が、そのネックレスタイプの魔具を手に取った。
「この碧色は、スペイシー家を表す色で相性も良いので、私達はよくこの石を使用するんです。」
魔力を籠めるのにも使用するのにも、その石と使用する人とは、相性があるらしい。相性が良くなくても、その魔具を発動させる事はできるが、相性が良いと効率が良くなったり、威力が増したりするそうだ。
「相性の良し悪しは、実際使用してみなければ分からなかったりもしますが……直感で感じる事もあるんです。どうぞ─」
と、アデル様がそのネックレスを私に差し出し、それを受け取ると、そのネックレスの石に籠められた魔力がスッと私に馴染む様な感覚があった。
「やっぱり、相性が良いようですね。これは、ナディアさんが持っていて下さい。この魔具の性能は──」
ー今世でもまた、この色の石を身に着ける事になるとは…思わなかったー
私がアデル様から説明を受けている間、モンテルアーノ様もダレルさんも気になる魔具があったようで、それぞれが一つずつ借りる事になった。
「それでは、予定通り、昼食を食べた後、アドリーヌ様のお墓に案内しますね。」
別邸地下室を後にして本邸へと戻って来ると、また4人で昼食となった。そしてまた、モンテルアーノ様と私が横並びで座らされている。
向かい側に座っているアデル様とダレルさんは、やっぱりニコニコと笑っているし、スペイシー家の使用人達も、何故か満足気な顔をしている。
ー何だろう…外堀が埋められ過ぎじゃない?ー
じとり─とした目でモンテルアーノ様を見てみたけど、そこには愉快そうに笑うモンテルアーノ様が居た。
******
スペイシー家本邸の裏側にある別邸を通り過ぎ、更に奥へ行くと、そこにピンク色の花が咲いている小さな庭園がある。
この庭園が、所謂、スペイシー家の墓地である。
この庭園の中央に大きな墓石があり、そこには、この墓地に眠っている人達の名前が刻まれている。
“アドリーヌ─☓☓年”
「………」
100年前に刻まれた名前。本当に、私は侯爵令嬢のままだった事が分かった。
私の名前の数十年後に、父と母の名前が連なっていた。父と母は、寿命を全うしたようだ。
立ち竦んだままの私の横で片膝を付き、ダレルさんがどこから調達したのか、ピンク色の花束を墓石に手向けた。
「───」
ダレルさんは何かを呟いた後、静かに立ち上がった。
「……娘が親よりも先に亡くなる……と言う事は…本当に辛い事…だっただろうね……」
「………です…ね……」
胸がツンと痛くなる。
「ナディア、君は、私より先に死ぬ─なんて事にはならないようにね?」
ダレルさんは私の頭をポンポンと叩く。その手はとても優しい。
「それは大丈夫だ。何かあっても、私がナディアを守るから。」
と、今度はモンテルアーノ様がダレルさんの手を軽く払い除けた後、私の頭をヨシヨシと撫でる。
ダレルさんに触れられても“温かいな”としか思わないのに、モンテルアーノ様に触れられると、どうにも落ち着かない気持ちになるのは────
ー落ち掛けて……いるからなんだろうか?ー
******
??????
ソレを目にした時、目の前が一瞬にして真っ暗闇に支配された。
見覚えのあるソレは、決して忘れる事のないモノだ。幾度となく手紙を交換したから。幾度となく、手紙で愛を囁かれたから。最初は“嫌悪”だった。彼女以外は要らない。彼女が居るのに、何故こんな事をするのか──。どうして、彼等は彼女を必要以上に守ろうとするのか。守るべき相手を間違っていないか?
ー私が守りたいのは、ただ1人─彼女だけだー
『──私なら、私以外の女性と一緒に居るところを見ると……嫉妬しちゃいますけど…****は、全く気にしていないみたいですよね?』
その、言葉で、私の心に隙ができてしまった。
何をしても彼女が私に文句を言う事はなかった。
ーどうして?彼女は、私の事が好きではなかった?ー
『守るから』と誓った私に、『ありがとう』と、嬉しそうに笑った彼女が好きだったのに──
それから少しずつ──その、彼女の笑顔が思い出せなくなっていた。
“嫌悪”を抱いていた筈の彼女を見て、“愛おしい”と思うようになったのは、いつからだっただろうか。
『****に意地悪をされたの……』と、儚げに私に助けを求めてくる彼女を、守らなければ─と思いだしたのは…いつからだった?
ー彼女を守れるのは、私だけだー
気が付けば、本当に大切なモノは、私の手から零れ落ち…失くなってしまっていた。
一度壊れたモノは、決して元には戻らない。
でも、また、新たに目の前に大切なモノができたら─
必ず守る───
ただ、それだけだ。
「今度こそ、間違えない…………」
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ε٩(๑˃ ᗜ ˂)۶з
ーアドリーヌの色にそっくりー
「その魔具が、気になりますか?」
私がジッと見つめていたのに気付いたアデル様が、そのネックレスタイプの魔具を手に取った。
「この碧色は、スペイシー家を表す色で相性も良いので、私達はよくこの石を使用するんです。」
魔力を籠めるのにも使用するのにも、その石と使用する人とは、相性があるらしい。相性が良くなくても、その魔具を発動させる事はできるが、相性が良いと効率が良くなったり、威力が増したりするそうだ。
「相性の良し悪しは、実際使用してみなければ分からなかったりもしますが……直感で感じる事もあるんです。どうぞ─」
と、アデル様がそのネックレスを私に差し出し、それを受け取ると、そのネックレスの石に籠められた魔力がスッと私に馴染む様な感覚があった。
「やっぱり、相性が良いようですね。これは、ナディアさんが持っていて下さい。この魔具の性能は──」
ー今世でもまた、この色の石を身に着ける事になるとは…思わなかったー
私がアデル様から説明を受けている間、モンテルアーノ様もダレルさんも気になる魔具があったようで、それぞれが一つずつ借りる事になった。
「それでは、予定通り、昼食を食べた後、アドリーヌ様のお墓に案内しますね。」
別邸地下室を後にして本邸へと戻って来ると、また4人で昼食となった。そしてまた、モンテルアーノ様と私が横並びで座らされている。
向かい側に座っているアデル様とダレルさんは、やっぱりニコニコと笑っているし、スペイシー家の使用人達も、何故か満足気な顔をしている。
ー何だろう…外堀が埋められ過ぎじゃない?ー
じとり─とした目でモンテルアーノ様を見てみたけど、そこには愉快そうに笑うモンテルアーノ様が居た。
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スペイシー家本邸の裏側にある別邸を通り過ぎ、更に奥へ行くと、そこにピンク色の花が咲いている小さな庭園がある。
この庭園が、所謂、スペイシー家の墓地である。
この庭園の中央に大きな墓石があり、そこには、この墓地に眠っている人達の名前が刻まれている。
“アドリーヌ─☓☓年”
「………」
100年前に刻まれた名前。本当に、私は侯爵令嬢のままだった事が分かった。
私の名前の数十年後に、父と母の名前が連なっていた。父と母は、寿命を全うしたようだ。
立ち竦んだままの私の横で片膝を付き、ダレルさんがどこから調達したのか、ピンク色の花束を墓石に手向けた。
「───」
ダレルさんは何かを呟いた後、静かに立ち上がった。
「……娘が親よりも先に亡くなる……と言う事は…本当に辛い事…だっただろうね……」
「………です…ね……」
胸がツンと痛くなる。
「ナディア、君は、私より先に死ぬ─なんて事にはならないようにね?」
ダレルさんは私の頭をポンポンと叩く。その手はとても優しい。
「それは大丈夫だ。何かあっても、私がナディアを守るから。」
と、今度はモンテルアーノ様がダレルさんの手を軽く払い除けた後、私の頭をヨシヨシと撫でる。
ダレルさんに触れられても“温かいな”としか思わないのに、モンテルアーノ様に触れられると、どうにも落ち着かない気持ちになるのは────
ー落ち掛けて……いるからなんだろうか?ー
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ソレを目にした時、目の前が一瞬にして真っ暗闇に支配された。
見覚えのあるソレは、決して忘れる事のないモノだ。幾度となく手紙を交換したから。幾度となく、手紙で愛を囁かれたから。最初は“嫌悪”だった。彼女以外は要らない。彼女が居るのに、何故こんな事をするのか──。どうして、彼等は彼女を必要以上に守ろうとするのか。守るべき相手を間違っていないか?
ー私が守りたいのは、ただ1人─彼女だけだー
『──私なら、私以外の女性と一緒に居るところを見ると……嫉妬しちゃいますけど…****は、全く気にしていないみたいですよね?』
その、言葉で、私の心に隙ができてしまった。
何をしても彼女が私に文句を言う事はなかった。
ーどうして?彼女は、私の事が好きではなかった?ー
『守るから』と誓った私に、『ありがとう』と、嬉しそうに笑った彼女が好きだったのに──
それから少しずつ──その、彼女の笑顔が思い出せなくなっていた。
“嫌悪”を抱いていた筈の彼女を見て、“愛おしい”と思うようになったのは、いつからだっただろうか。
『****に意地悪をされたの……』と、儚げに私に助けを求めてくる彼女を、守らなければ─と思いだしたのは…いつからだった?
ー彼女を守れるのは、私だけだー
気が付けば、本当に大切なモノは、私の手から零れ落ち…失くなってしまっていた。
一度壊れたモノは、決して元には戻らない。
でも、また、新たに目の前に大切なモノができたら─
必ず守る───
ただ、それだけだ。
「今度こそ、間違えない…………」
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ε٩(๑˃ ᗜ ˂)۶з
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