巻き込まれではなかった、その先で…

みん

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3 春野セオ

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「その考え、本当に翠ちゃんらしいし……セオ君のお母さんとも似てるよね…」
「まぁ…母は…少し違う意味もありますけどね。」

「セオ君は、お父さん似なのかい?」

どうやら、事務局長も春野君の両親には会った事がないらしい。結婚する前から海外に住んでいるらしく、奥さん自身も、最後に会ったのは春野君が生まれる前だったそうだ。

「そうですね。俺は、父に似てますね。妹は母親似で、その娘──俺にとっての姪は、母と妹にそっくりです。」
「えっ!?そうなの!?姪!?ちょっと待って!セオ君、私、その話聞いてないよ!?」
「あ、すいません。訊かれていなかったので……」
「よし、セオ君、今日の夜はゆーっくり話を聞かせてもらうからね!」
「分かり…ました。」
「そうとなれば、連絡しないとね……あ、芽流めぐるさん、これから翠ちゃんを借りても良い?」
「んー、吉岡は今日は3時迄だから、それ以降ならね。」

芽流めぐる”とは、事務局長の名前である。

「それじゃあ、翠ちゃん、セオ君の相手をしてくれない?で、夕飯を目処に家に送って来て欲しいの!」

「「え?」」

ギョッ─としたのは私だけではなく、春野君もそうだった。

「ほら、夜のおつまみの用意とかしなきゃだから。お願いね!」

「「「…………」」」

テンションの上がった奥さんは、誰も止める事ができない。それは、旦那である事務局長が一番理解しているところだ。もう既に苦笑して、目だけで私に「よろしくね」と言っている。

「えっと……春野君、私で申し訳無いけど…少しだけ待っててもらえますか?仕事が上がれば、構内を案内します。」
「いや……こちらこそすみません。宜しくお願いします。」

と、春野君も申し訳無さそうに笑っていた。







仕事上がりが3時で、オープンキャンパスが4時迄だった為、構内全部の案内は無理な訳で、予め、奥さんが予定をたてていたと言うメモをもとに案内する事になった。春野君のお母さんは経済学部だったそうで、そこに関連する校舎と、無駄に広い裏庭を案内した。その無駄に広い裏庭も、数年前迄は何もなかったけど、今では寛げるようにベンチなどが配備されている。そんな景色を、春野君はカメラでたくさん撮っている。

ー今時カメラって、珍しいよねー

私はカメラすら持っていない。スマホで済むからだ。

「ここに来る前に、壊してしまって…」

と、スマホが壊れて、今は持っていないと言う春野君。スマホが無くても困らない、不便じゃないとか……ある意味凄いな─と思う。

「時間があったら、もっと色々案内できたんですけど、関係者以外は4時には出ないといけないので…そろそろ行きましょうか。」

「こちらこそ、ギリギリ迄案してくれてありがとう。これだけ写真があれば……母も喜んでくれると思います。」

このイケメンな春野君は、とても低姿勢で感じの良い人だ。私の知っているイケメンや美女には……居ないタイプだ。

「えっと……約束の時間までまだ時間がありますし、メモにも、連れて行く予定だったカフェの名前があるので、そこに行きますか?」

「え?2人で?えっと……吉岡さんは大丈夫?」
「大丈夫?─とは?」

ちょうど小腹は空いているし、お金も…ある。

「2人きりだけど……」
「あぁ、私は大丈夫ですよ。彼氏なんていませんから。寧ろ、相手が私なんかで申し訳無いくらいですから。春野君の方こそ、大丈夫ですか?」

まぁ、彼女が居たとしても、日本ここには居ないだろうから、大丈夫だと思うけと。

「吉岡さんが大丈夫なら………俺も大丈夫…かな。勿論、彼女は居ないから。」

まさかの彼女無し。それでも、周りの女子からの視線が半端無い。すれ違う女子の全てが春野君に目を奪われて、その横にいる私に気付くと、驚いたり見下したような顔をして来る。

こんなところを、彼女なんかに見られたら──

「こんな所で何してるの?」

ーなんてタイミングが良いんでしょうね!?ー

後ろから声を掛けてきたのは清水さんだ。あなたこそ、“こんな所で何をしているの?”と訊きたい。この辺りは、清水さんとは全く関係の無い学部しかないのに。

「知り合いを、案内していただけです。」
「知り合い?──!!」

胡散臭そうな目で私を見た後、私の後ろにいる春野君に視線を向けた途端、清水さんの目が……蕩けた。

「やだー、すごいイケメンさんですね!あ、彼女にかわって、私が案内しましょうか?彼女より、私の方が構内も外も詳しいですから。」

私に対する時の態度や声とは違い、可愛らしい声で話し掛けながら、自然な流れで春野君の腕に触れようと手を伸ばす清水さんは、最早“流石ですね”としか言いようがない。

「すみませんが、これから吉岡さんと予定があるので失礼しますね。」
「──は?」

清水さんの手が春野君に触れる直前、春野君も自然な流れでその手を躱し、清水さんの誘いを断りながら私の方へとやって来た。そんな春野君を、「信じられない」と言うような目で見た後……

笑顔だけど笑ってはいない目で、私を見ていた。








❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(*ˊᗜˋ*)و✧*。✧*。





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