巻き込まれではなかった、その先で…

みん

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7 ネックレス

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春野君が帰国する日時が、私が仕事中と言う事で、見送る事ができない事が分かった。それは残念だけど、事務局長の計らいで、その前日は有休扱いにしてくれた。

ー私の気持ち…バレバレだった?ー

と思うと、何とも恥ずかしい話だけど、これが最後になるかもしれない─と思うと、素直に有休をもらう事にした。春野君からも、「最後に美味しい物でも食べに行こう。」と誘われて、素直に頷いた。






そして、春野君が帰国する前日──

お土産は既に買い揃え終わっていた為、特に買い物はなかったけど、2人で話をしながらブラブラと街並みを歩き、気になるお店があると入る─を繰り返し、ランチは春野君お気に入りのカフェで食べた。

とても……穏やかで……幸せな時間だった。

食後のデザートはパンケーキだった。これも、春野君のお母さんがよく作ってくれるモノに似ているらしく、しっかりと写真を撮っていた。

「ずっと気になってたんだけど…春野君が着けてるピアスってサファイア?」

春野君の左耳に着いているピアスには、小さな青色の石が付いている。その青色が、春野君の瞳と同じぐらい綺麗な青色なのだ。

「サファイア……ではない…かな。これは…俺の国の風習と言うか……親が我が子に、子の瞳と同じ色の石を身に着けさせる……お守り?みたいなモノかな?より似た色のモノほど良いとされるから、石自体の価値は関係無いんだ。」

ーなるほどー

春野君の着けているそれは、本当に春野君の瞳の色によく似ているな─と思いながら、そのピアスを見ていると、春野君が首元から何か──ネックレスを外して、それを私の手の平の上に乗せた。

「それも、そう言う意味で父からもらったモノだ。ピアスは母から。」

私の手にあるネックレスに付いている石も、春野君の瞳の色によく似ている青色だ。

「綺麗な青色だね……本当に…春野君の瞳の色にそっくり……」
「それを……吉岡さんにあげるよ……」
「え?いやいやいや、そんな大事な物、貰えないからね!」
「……俺が、吉岡さんに持っていてもらいたいと……思ったんだ。」
「え?」

手の平のネックレスに向けていた視線を、目の前に居る春野君に向けると、そこにも綺麗な青色の宝石のような瞳があった。

「多分……もう…会える事は…ないと思う。でも……吉岡さんと過ごしたこの1ヶ月の事を忘れたくないし、俺の事を忘れて欲しくないなと思って…。いや…迷惑なら、突き返してくれたら良いから。」

ーズルいー

そんな事言われたら、突き返す事なんてできないよね?私の気持ちを……分かってて言ってるよね?本当に…これだからイケメンは───

「貰いますよ。遠慮なく。後で“やっぱり返してくれ”とか言われても、絶対返さないからね?それに、“やっぱり忘れてくれ”って言っても……絶対……忘れないからね……」
「……ありがとう………………」
「─っ!?」

ーこのタイミングで、まさかの名前呼び!ー

女性の扱いに慣れてない?それか、これが素なの!?それに、目の前で、そんなにも……嬉しそうに微笑むのは止めて欲しい!心臓が爆発しそうだからね!?
それでも、「本当に……好き」とか、思わず口にしてしまいそうになった言葉は…呑み込んだ。

“会える事はない”─と言う事は、2人一緒の未来は無いと言う事だろう。
何となく分かっていた事だ。日本人である春野君のお母さんでさえ、結婚前に移住してから一度も日本に帰って来ていないと言っていた。お父さんに至っては、一度も日本に来た事が無いと。なら……春野君だって、きっと今回の来国が最初で最後になってもおかしくない。

「この1ヶ月、一緒に過ごせて楽しかった。ありがとう………くん……」
「そこは、呼び捨てでも良くないか?」
「流石に……それはハードルが高いから…もしまた会えた時は……呼んで。」

なんて可愛げの無い言い方なんだ─と思うけど、春野君が嬉しそうに笑っているから……良しとする。



そのカフェから出た後、最後にシルヴィとも散歩がしたいと言う事で、一度家に戻りシルヴィを連れ出した。シルヴィはすっかり…セオ君に懐いている。

ー私によりも懐いてない?ー

「流石に、“シルヴィをあげます”とは言えないけど……」
「まぁ…そう…だね。」
『ワフッ───』

シルヴィのリードをセオ君が握り、その反対の手は、私の手を握っている。その手は少しゴツゴツして硬くて、でも、とても温かい手だ。

「そろそろ…帰りますか………」
「……」

今日は一緒に過ごせる最後の日で、小南家で4人で夕食を食べる事になっている。

「……スイ………」
「!?」

小南家へと向かって歩き出そうとした時、耳元で名前を呼ばれて顔を上げると、触れるか触れないか─と言う程の一瞬で唇に何かが触れた。
パチパチと瞬きをすれば、「可愛い──」と呟かれて、もう一度、今度はそれが“キス”だと分かるキスをされた。
どうやら、驚き過ぎると声は出ないようだ。顔を赤くして固まった私を、「本当に…可愛いな──」と呻くように呟いた後、セオ君は私の手を引いて歩き出した。







❋エールを頂き、ありがとうございます❋
:.* ♡(°´˘`°)/ ♡ *.:


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