巻き込まれではなかった、その先で…

みん

文字の大きさ
6 / 51

6 めいいっぱい楽しもう

あれから春野君とは、仕事上がりに待ち合わせをして、小南さんから聞いた、春野君のお母さんやお母さんの友達のお気に入りだったと言うお店に行ったりしている。
春野君のお母さんの友達も、春野君と同じ国に住んでいて、春野君達と同様、日本には帰って来てはいないらしい。

「なら、2人分のお土産をたっぷりと買わないといけませんね。」

と、色々下調べついでにお店巡りをして、帰国する日が決まれば買いに来よう─と言う事になった。
相変わらず春野君はイケメンで、街を歩けば男女問わず視線を奪い、隙あらば─と言う感じで逆ナンされ、スカウトなんてしょっちゅうだ。

ー慣れて来たけどねー

逆ナンされる度に「が居るから」と、腰に手を回されるのだけは……慣れない。“彼女”の使い方が…上手い。春野君の言う“彼女”とは、代名詞扱いだ。それを聞いた相手が、勝手に私を“付き合っている女性”に変換して、私を睨み付けて去って行くのだ。

「理不尽だ───」
「ふっ──ごめんね、吉岡さん。今日は、俺がパフェを奢るから……許してくれる?」
「───くっ……許しますよ!」

イケメンが、シュン─としたような顔をして小首を傾げると、許してしまうのは…仕方無いと思う。これも、確信犯か?と思わなくもないけど。





それから、週末にはシルヴィの散歩に春野君が付いて来るようになった。何故か、シルヴィも春野君にとても懐いている。

ー犬でも、やっぱりだから、イケメンな春野君が好きなのかも?ー

そんな、春野君と過ごす事が当たり前のようになりつつも、穏やかな日々を送っている。









******


「1週間後に帰る事になった。」

それは、春野君と会ってから1ヶ月経った頃だった。

「そうなんだね。それじゃあ、お土産の準備をしないと─だね?」

1ヶ月も一緒に居ると、口調もお互い軽いモノになっていた。

「うん。それで……お土産を買うのも、付き合ってくれる?勿論、お礼に吉岡さんの好きなケーキを奢るから。」
「勿論付き合うよ。お礼は別に良いけど……有難く頂きます!」

春野君と一緒に過ごせるのも後1週間──
そう思うと、ちょっぴり…寂しいなと思う。それに、また会える事ができるのかどうかも分からない。

ーなら、今をめいいっぱい楽しもうー








******


「相変わらず、春野君につにまとってるのね。」
「…………」

仕事が終わり、春野君と待ち合わせしている場所に向かっていると、清水さんに捕まった。

「まさか、本当に、春野君が吉岡さんと居る事を嫌がってない─なんて思ってないよね?誰が、アンタみたいなデカイだけの根暗な子と付き合うって言うのよ。本当に、春野君が可哀想よね。」

「はぁ──言う事は…それだけですか?もう行って良い?約束の時間に遅れるから…」

と、清水さんの相手はせず、その横を通り過ぎようとした時、ギュッと腕を掴まれた。

「──っ!?」

何処にそんな力が!?と思う程の力で掴まれる。痛い!なんてもんじゃない。圧迫されている感じが半端無い。

「本当に、調子にのるんじゃないわよ。アンタなんか……ただの根暗でブスで………親無しのクセに…」

“親無しは関係無い”──と口を開きかけた時、私の腕から痛みが消えた。

「春野君!?」
「いっ──春野君!?」

私の腕を掴んでいた清水さんの腕を、春野君が軽く捻り上げるように掴んで、開放された私を清水さんから庇うように春野君が私達の間に立っていた。

「吉岡さん、大丈夫?」
「え、あ、大丈夫。ありがとう。」
「ん……。」

私の無事を確認した後、春野君は清水さんから手を離して、今度は私の手を……握って来た。

ーえ?何で??ー

「えっと…清水さん…だっけ?俺が吉岡さんと居るのは、俺が吉岡さんと一緒に居たいからだから。これ以上、吉岡さんに何かしたり言ったりするのは……止めてくれるかな?」

「──っ!?わ……分かった……わ……」

春野君は清水さんの方を向いていて顔は見えないけど、怒っている─と言う事だけは何となく分かった。そんな雰囲気の春野君に対し、清水さんは顔色を悪くした後、この場から走り去って行った。

「……えっと……助けてくれて、ありがとう。」
「腕、本当に大丈夫?」
「痛いけど大丈夫。それよりも……時間もないから、買い物に行こう!」

“大丈夫!問題無いよ!”アピールで明るく言うと、心配そうな顔から“やれやれ、仕方無い”と言うような…顔で笑われた。

「なら…行こうか……」

と、歩き出した春野君だったけど、手はしっかりと……繋がれたままだった。








*清水渚沙視点*


「何で……アイツばっかり!」

アイツ─吉岡翠。デカイだけで暗い……可愛くも無い子なのに、何故か、私が良いな─と思った男に限って『吉岡さんって、可愛いしスタイルも良いよな』なんて、アイツに好意を持っていた。

春野君は…今迄のイケメンはなんだったのか?と思う程のイケメンなのに──

「本当に……ムカつく………」

ー絶対に……私のモノにするんだからー










❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*゚✲ฺ٩(ˊᗜˋ*)و ✲゚ฺ*



感想 36

あなたにおすすめの小説

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~

スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。 しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。 「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」 泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。 数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。 「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

【完結】経費削減でリストラされた社畜聖女は、隣国でスローライフを送る〜隣国で祈ったら国王に溺愛され幸せを掴んだ上に国自体が明るくなりました〜

よどら文鳥
恋愛
「聖女イデアよ、もう祈らなくとも良くなった」  ブラークメリル王国の新米国王ロブリーは、節約と経費削減に力を入れる国王である。  どこの国でも、聖女が作る結界の加護によって危険なモンスターから国を守ってきた。  国として大事な機能も経費削減のために不要だと決断したのである。  そのとばっちりを受けたのが聖女イデア。  国のために、毎日限界まで聖なる力を放出してきた。  本来は何人もの聖女がひとつの国の結界を作るのに、たった一人で国全体を守っていたほどだ。  しかも、食事だけで生きていくのが精一杯なくらい少ない給料で。  だがその生活もロブリーの政策のためにリストラされ、社畜生活は解放される。  と、思っていたら、今度はイデア自身が他国から高値で取引されていたことを知り、渋々その国へ御者アメリと共に移動する。  目的のホワイトラブリー王国へ到着し、クラフト国王に聖女だと話すが、意図が通じず戸惑いを隠せないイデアとアメリ。  しかし、実はそもそもの取引が……。  幸いにも、ホワイトラブリー王国での生活が認められ、イデアはこの国で聖なる力を発揮していく。  今までの過労が嘘だったかのように、楽しく無理なく力を発揮できていて仕事に誇りを持ち始めるイデア。  しかも、周りにも聖なる力の影響は凄まじかったようで、ホワイトラブリー王国は激的な変化が起こる。  一方、聖女のいなくなったブラークメリル王国では、結界もなくなった上、無茶苦茶な経費削減政策が次々と起こって……? ※政策などに関してはご都合主義な部分があります。