巻き込まれではなかった、その先で…

みん

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9 イーレン王国

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『一族の恥さらしが──』

『能無しは必要無い──』

『生きているだけでも、迷惑な存在──』

『親殺しのクセに───』






「─────ごめんなさい」

「私が生まれて、ごめんなさい──」

「無能でごめんなさい──」

「────お母様を殺してしまって──」






ごめんなさい───────













「……………」

体が……怠い。

いつも……だった。今でもハッキリ覚えている。私は……私だけが、一族の中で唯一の…“無能”だった。そんな無能わたしを生んだ母は……私を生んでから3日後に……亡くなってしまったらしい。


『何故……無能のお前が死ななかったのか……』


5歳になった私に、そう言ったのは……父だった。いや、きっと、私が理解できなかっただけで……それまでにも言われていたんだろうと思う。



『バフッ───』
「シル……ヴィ?どうして……シルヴィまで……」

どうやら、私は気を失っていたらしい。床に倒れたままの私の顔を、シルヴィが上から覗き込んでいる。

「夢………じゃなかった…………」

私が今居る部屋は…見覚えがある。床は鏡のように綺麗で、とても冷たい。部屋の中心に円状に6本の柱が立っていて、その床には魔法陣が刻まれている。そして、私は今、その魔法陣の上に居る。既に光は失っていて、発動する気配は全くないが、発動させたをひしひしと感じる事はできた。

「何で………」

何で、また、ここに?私は不要な子ではなかったのか?“無能”と呼ぶなら、居なくなった私など……放っておいてくれたら良かったのに──。

そろそろと上半身を起こして、床に座ったままでシルヴィを撫でながら、更に辺りを見回す。

ー誰も居ないー


あの時、2つ─2種類の魔法陣が展開した。全く異なる魔法陣。一つは、“聖女”をする為の魔法陣で、もう1つは………の魔法陣だ。

「え?清水しみず渚沙なぎさが……聖女??」
『バフッ!?』

何故か……犬の筈のシルヴィが、私と同じように……私の吐いた言葉に反応して驚いたような顔をしている。

「『……………』」

お互い、そのまま見つめ合う。
そもそも、私が勝手に“犬”だと……思い込んでいただけだった。よく考えたら……倒れていた10歳の私に護るように寄り添っていた─と言う事は……シルヴィは既に15歳以上と言う事。大型犬の平均寿命は10年前後じゃなかった?シルヴィは……衰えたようには…全く見えない。寧ろ、元気過ぎて困る事がある程で………

「シルヴィ……ひょっとして……お前も………」

と、シルヴィに声を掛けた時、この部屋の唯一の扉がバンッ─と、大きな音を立てながら開かれた。

「──っ!!」

ドクンッ──と、心臓が嫌な音をたて、自然と体も震え出した。

「へぇ………本当に………生きていたのね………」
「……………」
「心配してたのよ?生きてて……本当に、嬉しいわ──。」
「お…………

目の前に居るのは──

“ニコル=イーレン”

輝くような綺麗な金髪に、その瞳はルビーと称される赤色。私の実の姉でありイーレン王国の第一王女であり……この世界では稀な存在とされる───



“魔法使い”だ──


「生きていた─だけじゃなくて……随分大きくなったのね?大きいで……無能なのは変わらないようだけど。」

コツ…コツ……と、ゆっくりと、少しずつ、私の方へと近付いて来るお姉様。その距離と反比例するように、私の体の震えは更に大きくなっていく。

ー苦しいー

過呼吸寸前だろうか。まともに息をする事もできない。お姉様が何かを言っているのは分かるけど、何を言っているのかは分からない。視界もグラグラと揺れている。

ーこんな所で─お姉様の目の前で倒れたりしたら……どうなるか……ー

『グルルル──』

ーシルヴィ……ー

シルヴィが私を護るように、お姉様と私の間に立ち塞がった。

「お前は──魔獣ね?どうして、魔獣が無能を護っているの?お前のような強いモノなら…その無能か私…どちらにか…分かるでしょう?」

お姉様がニッコリ微笑めば、殆どの者達がお姉様に魅了されてしまう。勿論、魔法使いであっても、魅了の魔法は使えないから、ただ単に、お姉様の美しさに惹かれていくのだ。

「…………」

シルヴィにとっても、私なんかと居るよりは…お姉様と居た方が良いのかもしれない。


この世界の大陸にある殆どの国では、少ない国でも半数以上は魔力持ちが居ると言われているが、我が国─イーレン王国の人間は、殆どの者が魔力を持っていない。但し、王族に限っては必ず魔力持ちが生まれるのだ。ただ、その魔力量や強さはそれぞれ変わって来る。
今現在、王族で一番の魔力を持っているのは、勿論魔法使いであるニコル第一王女。

そのニコルとは真反対な存在で、魔力を持って生まれて来なかった無能わたし─ブルーナ第二王女は、王女とは名ばかりで………王女扱いされた事は一度もなかった。










❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♪♪(*´▽`*)ノ゙



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