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15 兄としての守り方
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ー滅茶苦茶知ってますー
不思議な事に、同じタイミングで魔法陣が展開していたのにも関わらず、清水さんの方が1週間程早くイーレンにやって来ていたらしい。その為、私の召還には失敗したと思っていた─と。
「私を召還したのは……お姉様…ですか?なら…私を異世界に飛ばしたのも、お姉様ですか?私が無能だったから?要らない子だったから?それなら何故……今更私を……呼び戻したりしたんですか!?」
私の事を勝手に棄てておいて、今更………もう、イーレンには二度と戻って来たくなんてなかったのに。
「ブルーナ、落ち着いてくれ……。ブルーナ……すまない!お前を異世界に飛ばしたのは………私なんだ………。」
「───え?」
ーお兄様が?何故?お兄様は……私の味方だと……ー
「お兄様も……お兄様にとっても、私は……無能な恥さらしな…要らない子だったんですね……」
「それは違う!私は……あの時、ブルーナを助ける為には…異世界へ飛ばすしかない─と思ったんだ……。」
あの時──私が日本に飛ばされる前日の夜の事だ。珍しくマトモな食事が出て、その上デザートも出て来て、喜んで食べると───体中が痺れ出したのだ。「助けて」と言う言葉さえ出す事もできず、その痺れから来る痛みに耐えていると、お姉様とフライアが嗤いながらやって来て『この痺れの効果がいつまで続くか、記録しなきゃね。』と、苦しんでいる私を見下ろしたまま、そう呟いたのだ。
それは、お姉様が試作したポーションの実験だったのだ。もともと弱っていた体に、どんな物かも分からない毒が流れ込んだのだ。もう、限界がきていた事は…自分が一番よく分かっていた。
ーこれで…私もようやく自由に…なれる?ー
と思った事を覚えている。それが、ブルーナとしての最後の記憶だった。
「私がブルーナの異変に気付いた時には…ブルーナは既に危ない状態で……それでも、私は、お前を助けたくて…でも………あの時の私には、何の力も無くて……」
15年前のお兄様は、王太子ではあったものの、魔法使いである妹の前では何もできない存在だった。父である国王が、ヒューゴよりもニコルを優遇していたから。父は妻を殺した無能な私を娘と認めた事は無く、お姉様が私にしている事は、どんな事でも黙認していた。それで私が死んだとしても……お姉様を咎める事はしなかっただろうし、寧ろ喜んだのではないだろうか?
「兎に角…誰も助けてくれないのであれば……一縷の望みを賭けて、ブルーナを異世界に飛ばす事にしたんだ。その魔法陣に、“ブルーナを護ってくれる者の元へ”と…刻み込んで………。」
もともと、私を助ける為に準備をしていたらしく、お兄様も魔力を溜めた魔石を持っていたそうだ。
“ブルーナを護ってくれる者の元へ”
ーあぁ、だからー
お兄様のお陰だったのか。優しい両親ができて、他人の優しさと温もりを知る事ができた。優しく見守ってくれる上司にも出会えた。
「だから、ブルーナを疎んでいた訳ではないんだ。」
それと、私が何処に行ったのか痕跡を辿られる事がないように、私へと繋がる痕跡を綺麗に消したそうだ。
暫くの間は、お姉様も私を探していたけど、それから1週間後には“第二王女は持病が悪化した為療養の為、王都を離れた”と言う事になったそうだ。
「本当に……すまな───」
「お兄様、謝らないで下さい。寧ろ……私を飛ばしてくれて、ありがとうございました。私……飛ばされた世界で……とても…幸せな時間を過ごす事ができたんです。」
それから私は、飛ばされてからの話をした。暫くの間記憶を失っていた事、優しい両親ができた事も。軽く……初恋をした事も。ネックレスはその人から貰った物だと伝えると「そうか……」と、優しく笑ってくれた。そして……清水渚沙との関係も説明した。「──そうか…」と、今度は苦虫を噛み潰したような顔をされた。まぁ…それは仕方無い。ある意味、清水さんはお姉様属性だから。
「だから……ニコルとナギサは馬が合うのかも知れないな。」
どうやら、この1週間程で2人はお互いを名前で呼び合う程うまくやっているそうで、聖女との関係が良好になればなる程、問題児扱いされていたお姉様への見方が好転していきつつあるらしい。
ーやっぱり、この国の貴族はおかしいー
確かに、聖女とは有り難い存在だし、召喚したのはこちら側の都合だから、敬意を持って接するのは悪い事ではない。だからと言って、その聖女とうまく関係を築いているから─と言う理由で、お姉様のやらかしが帳消しになる事はないのだ。
「お兄様も……苦労しますね………」
「ありがとう……ブルーナ。理解者が増えて嬉しいよ。いや………ブルーナが元気で居てくれて、私は本当に嬉しい。独り善がりなのは分かってはいるが……またこうして会えて、話ができて、私は本当に嬉しい。」
「お兄様………」
お兄様に会えた事は嬉しいけど……イーレンに戻って来た事については…微妙なところな訳で……私は、素直に「私も会えて嬉しいです」とは言えなかった。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(*ˊᗜˋ*)و✧*。✧*。
不思議な事に、同じタイミングで魔法陣が展開していたのにも関わらず、清水さんの方が1週間程早くイーレンにやって来ていたらしい。その為、私の召還には失敗したと思っていた─と。
「私を召還したのは……お姉様…ですか?なら…私を異世界に飛ばしたのも、お姉様ですか?私が無能だったから?要らない子だったから?それなら何故……今更私を……呼び戻したりしたんですか!?」
私の事を勝手に棄てておいて、今更………もう、イーレンには二度と戻って来たくなんてなかったのに。
「ブルーナ、落ち着いてくれ……。ブルーナ……すまない!お前を異世界に飛ばしたのは………私なんだ………。」
「───え?」
ーお兄様が?何故?お兄様は……私の味方だと……ー
「お兄様も……お兄様にとっても、私は……無能な恥さらしな…要らない子だったんですね……」
「それは違う!私は……あの時、ブルーナを助ける為には…異世界へ飛ばすしかない─と思ったんだ……。」
あの時──私が日本に飛ばされる前日の夜の事だ。珍しくマトモな食事が出て、その上デザートも出て来て、喜んで食べると───体中が痺れ出したのだ。「助けて」と言う言葉さえ出す事もできず、その痺れから来る痛みに耐えていると、お姉様とフライアが嗤いながらやって来て『この痺れの効果がいつまで続くか、記録しなきゃね。』と、苦しんでいる私を見下ろしたまま、そう呟いたのだ。
それは、お姉様が試作したポーションの実験だったのだ。もともと弱っていた体に、どんな物かも分からない毒が流れ込んだのだ。もう、限界がきていた事は…自分が一番よく分かっていた。
ーこれで…私もようやく自由に…なれる?ー
と思った事を覚えている。それが、ブルーナとしての最後の記憶だった。
「私がブルーナの異変に気付いた時には…ブルーナは既に危ない状態で……それでも、私は、お前を助けたくて…でも………あの時の私には、何の力も無くて……」
15年前のお兄様は、王太子ではあったものの、魔法使いである妹の前では何もできない存在だった。父である国王が、ヒューゴよりもニコルを優遇していたから。父は妻を殺した無能な私を娘と認めた事は無く、お姉様が私にしている事は、どんな事でも黙認していた。それで私が死んだとしても……お姉様を咎める事はしなかっただろうし、寧ろ喜んだのではないだろうか?
「兎に角…誰も助けてくれないのであれば……一縷の望みを賭けて、ブルーナを異世界に飛ばす事にしたんだ。その魔法陣に、“ブルーナを護ってくれる者の元へ”と…刻み込んで………。」
もともと、私を助ける為に準備をしていたらしく、お兄様も魔力を溜めた魔石を持っていたそうだ。
“ブルーナを護ってくれる者の元へ”
ーあぁ、だからー
お兄様のお陰だったのか。優しい両親ができて、他人の優しさと温もりを知る事ができた。優しく見守ってくれる上司にも出会えた。
「だから、ブルーナを疎んでいた訳ではないんだ。」
それと、私が何処に行ったのか痕跡を辿られる事がないように、私へと繋がる痕跡を綺麗に消したそうだ。
暫くの間は、お姉様も私を探していたけど、それから1週間後には“第二王女は持病が悪化した為療養の為、王都を離れた”と言う事になったそうだ。
「本当に……すまな───」
「お兄様、謝らないで下さい。寧ろ……私を飛ばしてくれて、ありがとうございました。私……飛ばされた世界で……とても…幸せな時間を過ごす事ができたんです。」
それから私は、飛ばされてからの話をした。暫くの間記憶を失っていた事、優しい両親ができた事も。軽く……初恋をした事も。ネックレスはその人から貰った物だと伝えると「そうか……」と、優しく笑ってくれた。そして……清水渚沙との関係も説明した。「──そうか…」と、今度は苦虫を噛み潰したような顔をされた。まぁ…それは仕方無い。ある意味、清水さんはお姉様属性だから。
「だから……ニコルとナギサは馬が合うのかも知れないな。」
どうやら、この1週間程で2人はお互いを名前で呼び合う程うまくやっているそうで、聖女との関係が良好になればなる程、問題児扱いされていたお姉様への見方が好転していきつつあるらしい。
ーやっぱり、この国の貴族はおかしいー
確かに、聖女とは有り難い存在だし、召喚したのはこちら側の都合だから、敬意を持って接するのは悪い事ではない。だからと言って、その聖女とうまく関係を築いているから─と言う理由で、お姉様のやらかしが帳消しになる事はないのだ。
「お兄様も……苦労しますね………」
「ありがとう……ブルーナ。理解者が増えて嬉しいよ。いや………ブルーナが元気で居てくれて、私は本当に嬉しい。独り善がりなのは分かってはいるが……またこうして会えて、話ができて、私は本当に嬉しい。」
「お兄様………」
お兄様に会えた事は嬉しいけど……イーレンに戻って来た事については…微妙なところな訳で……私は、素直に「私も会えて嬉しいです」とは言えなかった。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(*ˊᗜˋ*)و✧*。✧*。
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