19 / 51
19 先輩?
しおりを挟む
「──と言う事で、今からは……“プライベートタイム”って事で良いか?」
「はい、構いませんよ。」
「はー……久し振りに肩が凝った……」
そう言いながら、グッタリとソファーの背凭れに背をあずけるリュウさんを、お兄様が苦笑しながら見ている。
どうやら、さっきまでは“余所行き”だったようで、本来のリュウさんはゆるい感じの人のようだ。
「あー……ブルーナ様、今からの俺に関しては、スルーしてくれると有り難い……。」
「あ、全然問題ないです。寧ろ、私が王族扱いされる事は無いので、今のリュウさんの態度の方が、私も気が楽です。あ、“様”も要りませんよ?」
「あー……それはそれで、色々と突っ込みどころはあるが……取り敢えず、他人の目の無いところでは、ゆるい感じでよろしく。」
「はい。」と快く返事をすると、リュウさんは「早速だけど─」と、今回、お姉様が召喚した聖女についての話をしだした。
ここだけの話─として、実は、以前、異世界からやって来た聖女が、とんでもない聖女だったらしく、その後始末が大変だった事があったらしい。その為、今回やって来た聖女について知っているのは、異世界から来たと言う事だけだった為、実際会う前にどんな聖女なのかを知りたいと。
「「…………」」
それを聞いて、私とお兄様はお互い視線を合わせて黙り込む。
ーもう、リュウさんには言ってしまおうか?ー
お兄様が静かに頷いた事を確認すると、私はリュウさんの方に視線を向けて「実は─」と、この15年の間の話と、清水渚沙についての話をした。恥ずかしかったから、セオ君の事は話さなかった。
『マジか!日本か!清水渚沙に吉岡翠とか!』
「えっ!?」
ーあれ?リュウさん、今……日本語を喋った?ー
『ハハッ!俺、日本人の転生者なんだ。で、今のウォーランド王国の王妃である聖女様も、日本からの召喚者だから、ある意味、ブルーナの先輩ってとこだな!』
「先輩!?」
驚いた─ウォーランド王国の聖女様が異世界人と言う事は知っていたけど、まさかの日本人で、リュウさんが……転生者……ラノベあるある…??
「と言うか……それまた、えらい聖女がやって来たな……それ、多分と言うか、絶対第一王女ニコルと同じ属性だろう…。ああ!そうか!なら……もういっその事、一緒にお願いしてみるか!」
眉間に皺を寄せたと思えば、直ぐに顔を明るくさせ、そのまま私達の目の前で、魔法で真っ白な大きな鳥を創り出した。その鳥に何か囁いた後、その鳥は部屋の壁や窓をすり抜ける様にして飛び立って行った。
ー凄い!ー
魔法って……凄い!!お姉様が私の目の前で扱う魔法は、いつも私を攻撃するモノしかなかった。だから、魔法と言うモノに対して、嫌な印象しかなかったけど……今、目の前で見たリュウさんの魔法は、とてもキレイだった。
あの鳥は何だったのか?と訊けば、急ぎの連絡を飛ばす為の鳥なのだそうだ。但し、受け取る側にもそれなりの魔力がなければ、あの鳥がその人に辿り着く事ができない為、使える相手には限りがあるそうだ。
と言う事は、今、連絡を飛ばした相手は、それなりの魔力持ちと言う事だ。詳しく聞くと、飛ばす距離も関係してくるらしいが、隣国とイーレン王国間の距離で飛ばすとすれば、お姉様とお兄様がギリギリで辿り着ける距離と魔力なのだそうだ。
「まあ……今飛ばした相手は……相手が相手だから、俺が足らなくても……辿り着けるんだよなぁ……」と、遠い目をして呟いたリュウさん。
「「?」」
お兄様も私も、いまいちよく分からないけど、兎に角、魔法使いと言うのは、本当に色々と凄いな─と思った。
「明日、俺とニコルと聖女が会うのは午後からだったか?」
「そうです。リュウ殿が呼ぶと言った人は…いつ頃来れそうですか?」
「ん?あー………多分、明日の午前中には……来れるな。あ、勿論、非公式と言うか、極秘でお願いする。」
「明日の午前中…ですか!?」
そんなにも早く来れると言う事は、もう既にイーレンに来ていると言う事なんだろうか?イーレンの人間では…ないよね?
「一つ確認しておくけど、聖女は、吉岡翠がイーレンの王女だと言う事は、まだ知らないんだよな?」
「知らないと思います。」
知っていたら、きっと突撃されていただろう。
「知った時にどう出るか……楽しみだな?」
「「…………」」
リュウさんが、それはそれは悪い笑顔を浮かべている。清水さんが、どう言うと行動を取るかは──予想できる。面倒臭い事になる事は分かりきっている。
「何なら、その聖女も第一王女も纏めて処理できるだろう。」
「処理………」
一体どう言う意味なのか──私とお兄様は、ただただ黒く笑うリュウさんを見ていた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ꕤ*(*´꒳`*)♡
「はい、構いませんよ。」
「はー……久し振りに肩が凝った……」
そう言いながら、グッタリとソファーの背凭れに背をあずけるリュウさんを、お兄様が苦笑しながら見ている。
どうやら、さっきまでは“余所行き”だったようで、本来のリュウさんはゆるい感じの人のようだ。
「あー……ブルーナ様、今からの俺に関しては、スルーしてくれると有り難い……。」
「あ、全然問題ないです。寧ろ、私が王族扱いされる事は無いので、今のリュウさんの態度の方が、私も気が楽です。あ、“様”も要りませんよ?」
「あー……それはそれで、色々と突っ込みどころはあるが……取り敢えず、他人の目の無いところでは、ゆるい感じでよろしく。」
「はい。」と快く返事をすると、リュウさんは「早速だけど─」と、今回、お姉様が召喚した聖女についての話をしだした。
ここだけの話─として、実は、以前、異世界からやって来た聖女が、とんでもない聖女だったらしく、その後始末が大変だった事があったらしい。その為、今回やって来た聖女について知っているのは、異世界から来たと言う事だけだった為、実際会う前にどんな聖女なのかを知りたいと。
「「…………」」
それを聞いて、私とお兄様はお互い視線を合わせて黙り込む。
ーもう、リュウさんには言ってしまおうか?ー
お兄様が静かに頷いた事を確認すると、私はリュウさんの方に視線を向けて「実は─」と、この15年の間の話と、清水渚沙についての話をした。恥ずかしかったから、セオ君の事は話さなかった。
『マジか!日本か!清水渚沙に吉岡翠とか!』
「えっ!?」
ーあれ?リュウさん、今……日本語を喋った?ー
『ハハッ!俺、日本人の転生者なんだ。で、今のウォーランド王国の王妃である聖女様も、日本からの召喚者だから、ある意味、ブルーナの先輩ってとこだな!』
「先輩!?」
驚いた─ウォーランド王国の聖女様が異世界人と言う事は知っていたけど、まさかの日本人で、リュウさんが……転生者……ラノベあるある…??
「と言うか……それまた、えらい聖女がやって来たな……それ、多分と言うか、絶対第一王女ニコルと同じ属性だろう…。ああ!そうか!なら……もういっその事、一緒にお願いしてみるか!」
眉間に皺を寄せたと思えば、直ぐに顔を明るくさせ、そのまま私達の目の前で、魔法で真っ白な大きな鳥を創り出した。その鳥に何か囁いた後、その鳥は部屋の壁や窓をすり抜ける様にして飛び立って行った。
ー凄い!ー
魔法って……凄い!!お姉様が私の目の前で扱う魔法は、いつも私を攻撃するモノしかなかった。だから、魔法と言うモノに対して、嫌な印象しかなかったけど……今、目の前で見たリュウさんの魔法は、とてもキレイだった。
あの鳥は何だったのか?と訊けば、急ぎの連絡を飛ばす為の鳥なのだそうだ。但し、受け取る側にもそれなりの魔力がなければ、あの鳥がその人に辿り着く事ができない為、使える相手には限りがあるそうだ。
と言う事は、今、連絡を飛ばした相手は、それなりの魔力持ちと言う事だ。詳しく聞くと、飛ばす距離も関係してくるらしいが、隣国とイーレン王国間の距離で飛ばすとすれば、お姉様とお兄様がギリギリで辿り着ける距離と魔力なのだそうだ。
「まあ……今飛ばした相手は……相手が相手だから、俺が足らなくても……辿り着けるんだよなぁ……」と、遠い目をして呟いたリュウさん。
「「?」」
お兄様も私も、いまいちよく分からないけど、兎に角、魔法使いと言うのは、本当に色々と凄いな─と思った。
「明日、俺とニコルと聖女が会うのは午後からだったか?」
「そうです。リュウ殿が呼ぶと言った人は…いつ頃来れそうですか?」
「ん?あー………多分、明日の午前中には……来れるな。あ、勿論、非公式と言うか、極秘でお願いする。」
「明日の午前中…ですか!?」
そんなにも早く来れると言う事は、もう既にイーレンに来ていると言う事なんだろうか?イーレンの人間では…ないよね?
「一つ確認しておくけど、聖女は、吉岡翠がイーレンの王女だと言う事は、まだ知らないんだよな?」
「知らないと思います。」
知っていたら、きっと突撃されていただろう。
「知った時にどう出るか……楽しみだな?」
「「…………」」
リュウさんが、それはそれは悪い笑顔を浮かべている。清水さんが、どう言うと行動を取るかは──予想できる。面倒臭い事になる事は分かりきっている。
「何なら、その聖女も第一王女も纏めて処理できるだろう。」
「処理………」
一体どう言う意味なのか──私とお兄様は、ただただ黒く笑うリュウさんを見ていた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ꕤ*(*´꒳`*)♡
147
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない
春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」
それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。
「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」
父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。
けれどエルリカは違った。
「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」
そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。
以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。
ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
そんな世界なら滅んでしまえ
キマイラ
恋愛
魔王を倒す勇者パーティーの聖女に選ばれた私は前世の記憶を取り戻した。貞操観念の厳しいこの世界でパーティーの全員と交合せよだなんてありえないことを言われてしまったが絶対お断りである。私が役目をほうきしたくらいで滅ぶ世界なら滅んでしまえばよいのでは?
そんなわけで私は魔王に庇護を求めるべく魔界へと旅立った。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる