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ダムの管理施設は、山の中にひっそりと佇んでいた。
鉄筋コンクリート造りの頑丈な建物は、長年の風雪に耐えたような雰囲気を醸し出している。窓は少なく、扉も金属製でしっかりしている。
「……ここなら、防御は固そうだな」
藤木が車の窓越しに施設を見上げる。
「問題は、誰かいるかどうかだな」
斉藤が冷静に言う。
「まぁ、行って確かめるしかないね」
田辺さんが軽く肩をすくめる。
俺たちは慎重に車を降り、建物へと向かった。
施設の周囲にはゾンビの気配はなかった。立地的に、そう簡単に感染者が流れ着く場所ではないのかもしれない。
入口の前で、俺たちは足を止めた。
「誰かいませんか?」
俺が声をかけると、数秒の沈黙のあと、中から足音が聞こえた。
やがて、金属製のドアがゆっくりと開いた。
現れたのは、50代くらいの男性だった。がっしりした体つきで、ダボっとした作業着を着ている。
「……なんだ、客かい?」
少し訛りのある落ち着いた声だった。
「いや、避難してきたんです。あなたは……?」
「おう、俺はここの管理人さ。ダムのな」
男は腕を組んで俺たちを見回し、少し考え込むように唸った。
「こんなとこまでわざわざ来るってことは、下界はもうどうしようもねぇんだな?」
「ええ。もう完全に崩壊してます」
藤木が答える。
「そうか……まぁ、入んなよ。外で話すのもなんだし」
俺たちは顔を見合わせ、ゆっくりと施設の中へ入った。
中は思ったより広く、清潔に保たれていた。
「ここ、ずっと管理してたんですか?」
「そりゃあな。ここはワシの仕事場だからな」
管理人は椅子に腰を下ろし、俺たちを見やる。
「最初は3人で管理してたんだよ。でも、2人が家族を探しに行くっつって下りてな……戻っちゃこなかった」
「それ以来、ひとりで?」
「まぁな。ダムの管理って言っても、今は誰も文句言うやつはいねぇし、適当にやってるよ」
「発電は?」
「まだ動いとる。非常用の発電機もあるしな。ただ、燃料は限りがあるが……」
管理人はそう言って、大きく息をついた。
「水は豊富にあるし、電気もすぐには切れん。でもな、食い物はそうもいかん」
「やっぱり、それが問題か……」
斉藤が小さく呟く。
「それでも、ここは今までの拠点よりずっと安全そうですね」
田辺さんが施設の構造を見回しながら言った。
「うん。少なくとも、しばらくは落ち着いて過ごせそうだな」
安田も頷く。
「まぁ、そう簡単に人は入れんからな。そこが強みだ」
管理人はそう言うと、椅子の背もたれに身を預けた。
「それで、お前さんらはどうすんだ? ここに泊まるのか?」
「……できれば、しばらく置いてもらえませんか?」
俺が率直に頼むと、管理人は少し考え込むように黙った。
「食い扶持は、持ち寄れる分だけ持ってきてます。あと、俺たちもここにあるものを整備したり、できる限り協力します」
「……ま、こっちも人手が増えるのは悪かねぇな」
管理人はやれやれと言いたげに肩をすくめた。
「好きにしな。まぁ、こっちもルールくらいは決めるがな」
「ありがとうございます」
俺たちは、こうしてダムの管理施設を新たな拠点とすることになった。
鉄筋コンクリート造りの頑丈な建物は、長年の風雪に耐えたような雰囲気を醸し出している。窓は少なく、扉も金属製でしっかりしている。
「……ここなら、防御は固そうだな」
藤木が車の窓越しに施設を見上げる。
「問題は、誰かいるかどうかだな」
斉藤が冷静に言う。
「まぁ、行って確かめるしかないね」
田辺さんが軽く肩をすくめる。
俺たちは慎重に車を降り、建物へと向かった。
施設の周囲にはゾンビの気配はなかった。立地的に、そう簡単に感染者が流れ着く場所ではないのかもしれない。
入口の前で、俺たちは足を止めた。
「誰かいませんか?」
俺が声をかけると、数秒の沈黙のあと、中から足音が聞こえた。
やがて、金属製のドアがゆっくりと開いた。
現れたのは、50代くらいの男性だった。がっしりした体つきで、ダボっとした作業着を着ている。
「……なんだ、客かい?」
少し訛りのある落ち着いた声だった。
「いや、避難してきたんです。あなたは……?」
「おう、俺はここの管理人さ。ダムのな」
男は腕を組んで俺たちを見回し、少し考え込むように唸った。
「こんなとこまでわざわざ来るってことは、下界はもうどうしようもねぇんだな?」
「ええ。もう完全に崩壊してます」
藤木が答える。
「そうか……まぁ、入んなよ。外で話すのもなんだし」
俺たちは顔を見合わせ、ゆっくりと施設の中へ入った。
中は思ったより広く、清潔に保たれていた。
「ここ、ずっと管理してたんですか?」
「そりゃあな。ここはワシの仕事場だからな」
管理人は椅子に腰を下ろし、俺たちを見やる。
「最初は3人で管理してたんだよ。でも、2人が家族を探しに行くっつって下りてな……戻っちゃこなかった」
「それ以来、ひとりで?」
「まぁな。ダムの管理って言っても、今は誰も文句言うやつはいねぇし、適当にやってるよ」
「発電は?」
「まだ動いとる。非常用の発電機もあるしな。ただ、燃料は限りがあるが……」
管理人はそう言って、大きく息をついた。
「水は豊富にあるし、電気もすぐには切れん。でもな、食い物はそうもいかん」
「やっぱり、それが問題か……」
斉藤が小さく呟く。
「それでも、ここは今までの拠点よりずっと安全そうですね」
田辺さんが施設の構造を見回しながら言った。
「うん。少なくとも、しばらくは落ち着いて過ごせそうだな」
安田も頷く。
「まぁ、そう簡単に人は入れんからな。そこが強みだ」
管理人はそう言うと、椅子の背もたれに身を預けた。
「それで、お前さんらはどうすんだ? ここに泊まるのか?」
「……できれば、しばらく置いてもらえませんか?」
俺が率直に頼むと、管理人は少し考え込むように黙った。
「食い扶持は、持ち寄れる分だけ持ってきてます。あと、俺たちもここにあるものを整備したり、できる限り協力します」
「……ま、こっちも人手が増えるのは悪かねぇな」
管理人はやれやれと言いたげに肩をすくめた。
「好きにしな。まぁ、こっちもルールくらいは決めるがな」
「ありがとうございます」
俺たちは、こうしてダムの管理施設を新たな拠点とすることになった。
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