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第七章 ただいま準備中

15.オーレリアのざまぁは結構エグかった

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(生国の兄姉様の策略で醜聞を流され、父親である国王陛下に切り捨てられた。再起を願っておられたオーレリア様はモラヴィアスにまで広められてた醜聞のせいで、これ以上ないほど最低な扱いで辱めを受けた⋯⋯。最後に直接手を出したのが当時のミッドランド侯爵家当主と嫡男。
なんかミリーとして生きてきたこの数年の苦労がチョロく感じちゃうよ。酷すぎじゃん!
これが親のする事!? 国の最高責任者のやる事!? 縁あって結婚することになったんなら、初めにやるのは話し合いでしょうが!!)

 話を聞けば聞くほど、オーレリアが罪のない幼子を切り捨てた気持ちが理解できてしまう⋯⋯それ以上に、ミリーの前で穏やかな顔で座っている度量の広さに驚きが隠せない。

 プルプルと震える両手を握り締めたミリーは、申し訳なさすぎてオーレリアの顔が見れなかった。

(ミリーにはそのクソ野郎達の血が流れてるわけで、私なら『アヤツの孫だとぉ、んなもん知るかぁ!』って思っちゃうもん)




「わたくしは使用人に恵まれていましたからね。わたくしのそばにいたせいで酷い目に遭ったのに、輿入れについてきてくれた。ランバルドに居場所がなくて仕方なく着いてきた人もいたけれど、それでも嬉しく思いました」

 モラヴィアス王国に来る時、ランバルド王国でオーレリアの醜聞に巻き込まれた使用人とその家族の中で、希望する者は全て連れてきたと言う。

 国に残った者達には家族への謝罪を含めて十分な手当てを、他国への移住を望む者には移住先や当座の生活費を手配して国を出た。

「わたくしには他国との繋がりも国に内緒の財源や、個人資産もあったからできただけのこと。
数年後には他国への移住を勧めたから、少しばかり空き家が増えたりもしたけれど、未来ある子供達が限られた世界の中で生きていくなんて良くない事ですからね。
そのくせミリーの事は放置していたんですから、自分勝手だと自覚していますよ。後悔はしていないけれど」



 ランバルド王国で離宮に閉じ込められていた間『根も葉もない噂』だと言って、何度も手紙をくれた他国の王侯貴族とは今も交流を続けていると言う。

『国王に直談判したのだが内政干渉だと』

『ランバルドへ抗議したのだが⋯⋯聞く耳を持って貰えなかった。力不足で申し訳ない』

『殺るか!? こちらはいつでも動けるぞ』



「その方々の国とご縁が結べれば良かったのにと思ってしまいました」

「皆様も同じ事を考えて下さったのだけれど、堂々とわたくしの味方ができる権利を渡すのは危険だという国王判断で却下されたの」

(そうか⋯⋯オーレリア様が自国の王女の間は口出しするなって言えるけど、他国に嫁いた後は文句が言えるもんね。つまり、モラヴィアスはビッグチャンスを逃したんだんだ。ざまぁだよ)

「友人の方々にはモラヴィアスの王家とミッドランド侯爵家には極力関わらないようにお願いしてあるの。憎んでいるのに放置するのかと不思議に思ったかしら?
でもね、これはその逆なの。新しい関係を構築できない。既存の関係に支障が出る。契約には期限を設けているものが多いから、次の更新時には何故か条件が厳しくなる。理由を聞いても教えてもらえない。
原因が分からないままモラヴィアスは無駄な苦労をする事になったけれど、それくらいは仕方ないと思ってもらわなくては。大きく衰退する事はないけれど、国力への影響は微々たるもの⋯⋯その程度で済んでいるのですから」

 オーレリアの輿入れで利を得たのはモラヴィアスのみ。それなのにオーレリアに粗略と言う言葉では言い表せないほどの行いをしたのだから、ペナルティがあるのは仕方ない。

「モラヴィアスはごく一部の方しか関わっていなかったから、その程度の問題しか起きていない。関係のない貴族家や商人達に影響はでていないのですからね」

 オーレリアの調査で輿入れに関係したメンバーが洗い出されると、この話を知っていたのは国王と宰相の他に数人の大臣とミッドランド侯爵家のみで、議会にさえかけられていなかった。

(それでか⋯⋯以前父上が仰っておられた『いくら調べても分からない理由』の原因はこれだったのか)

 レオンは何年も前に父親から聞いた話を思い出した。

『ランバルド公国との交渉はどのような案件でも直接交渉を行う。王家が絡むと頓挫する理由をいくら調べても分からないが、何か理由があるのだろうな』



「元凶であるランバルドに比べれば被害はあってないようなものでしょう?」

(オーレリア様の『関わらないように』のひと言で政治が動いたって事? どの程度影響したのか分かんないけどヤバすぎるじゃん。ランバルド王国⋯⋯王国?)

「ふふっ、良くお勉強しているようね。ランバルド王国はあちこちの国から侵略されて領地は激減し王家は断絶。王族は全員幽閉され、テルージャ公爵が治めるランバルド公国を塔の窓から眺めていたそうよ。
あの国王と兄姉では放っておいてもいずれそうなると思ったのだけれど、気の短い方々がお仕置きをされたいと仰って下さったものだから、わたくしも少しばかりお手伝いをしました。若気の至りと言えばいいのかしら」

 友人達から提案されたのは小さな侵略を多方向から繰り返すという手間も時間もかかる方法だった。

『あっさり国を潰されるより、ゆっくりと追い詰める方がいい薬になるだろ?』

『自分達の行いがそのまま戻ってきていると気付いた時が楽しみです』

『オーレリアを閉じ込めて追い詰めた奴らがじわじわと領地を削られてから、一気に片をつける』
 

 辺境地の詳細な地理・拠点・戦力・弱点・迂回路、砦の地下通路や領主間の協定など様々な情報を流したと言う。

「どの領地の情報も頭に入っていたので、少し楽しくなって色々と⋯⋯お陰で侵略と言ってもほぼ無血開城に近くて、つまらなかったと笑っておられたの」

(いや、それ多分だけど笑っちゃダメなやつ⋯⋯王族が誘拐とか狙われたりするのが分かった気がする。国の機密をマルっと盗まれるようなもんなんだ。エグい、エグすぎる)



「今でもお手紙のやり取りをしていますし、お互いの家を行き来したり旅行に行ったり。ミリーの事を話した事はないけれど協力してくださるのは間違いないでしょう。とても気の良い方ばかりだから」

(むむ? 行き来したり旅行に行ったり⋯⋯)

「あの、つかぬ事をお伺いますが⋯⋯」

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