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お茶会しますPart1
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「本日はお招きいただき、ありがとうございます。今、市井で流行っているお茶菓子です。どうぞお召し上がりください」
「まぁ、わざわざありがとうございます。早速お出しして、みんなでいただきましょうね」
お母様がにこやかに対応してくださいます。
「ミリアム様、何だかお久しぶりですね。学園をお休みされていたので、体調でも崩されていたのかと心配しておりましたが、お元気そうで何よりです」
実は、お手紙をお出しした次の日から、学園はお休みしておりましたの。学園でリオンに何か聞かれたら、上手に対応できる自信がありませんでしたもの。
お顔を合わせたら、婚約者の方のこととか聞いてしまいそうで、お父様からもお休みするよう言われました。
「リオン、妹のリディアですの。リディ、彼がリオン・ウォルターさんですわ」
「初めまして。どうかリオンとお呼びください」
「初めまして」
初対面の方は気づかないと思いますが、妹の目が結構怖いです。だって、物凄く優しい顔をしているのに、目が笑っていませんの。
こういう時の妹は、ほんの小さなことも見逃さないハンターですの。
「今日は、お母様はいらっしゃらないのかしら?」
「申し訳ございません。母は仕事がどうしても休めなくて。次の時は是非お伺いしたいと申しておりました」
「それは仕方がありませんわね。また次の機会があれば」
「はい、ありがとうございます」
お父様がいらっしゃいました。いつ見てもかっこいいです。王宮や夜会などでも女性の方から、ひっきりなしにお声がかかるとか。お母様が笑っておっしゃっておられました。お母様、さすが余裕です。
リオンはすぐに立ち上がり、直立不動です。緊張しているのですね。今日のお父様は、お仕事中などに比べると柔らかい雰囲気ですが、やっぱり緊張しますよね。王弟ですもの。
「お待たせして申し訳ない。初めまして」
「初めてお目にかかります。リオン・ウォルターと申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、忙しい中呼びつけてしまったそうで、申し訳ない」
「もう卒業間近なので、随分と時間の余裕も出来ました」
メイドたちが、紅茶とお茶菓子を持ってきました。さっきリオンが持ってきてくれたお茶菓子もあるようです。
それぞれの前に紅茶が置かれ、メイドたちが下がっていきました。
「学園の卒業後の予定などは、決まっているのかな?」
「はい、いえ・・まだはっきりとは。やりたいことは色々とあるのですが、まだ決めきれてなくて」
「そうか、やりたい事があるのは良いことだね。王立高等学園には行かないのかね?入学試験は来月だったと思うが」
「はい、それも含めて検討中です。今月末が申し込みの期限なので、それまでには決めたいと思っています」
「高等学院の講師陣はとても優秀だからね。学ぶ意欲のある者にはとても良い環境が整っていると思うよ」
「ありがとうございます。あの、今日はミリアム様とのことについて、正式にご挨拶をしたいと思ってまいりました」
「ん? ミリアムと? 何かあるのかね?」
お父様のおとぼけ、お上手です。全然表情が変わられませんの。
「えっと、ミリアム様から何もお聞きではないのでしょうか」
「お姉様は、今日は仲の良い友人がいらっしゃると、おっしゃっておられましたわ」
「友人ですか?」
「はい、違うのですか?」
「母もお誘いいただいたので、私はてっきり。その、ミリアム様?」
リオンが私に聞いてきます。当然と言えば当然なのですが、お茶会前に妹から、余計なことはしゃべるなときつく言われています。私は気づかない振りでいるしかありません。
おかげで妙な間が開いてしまいました。お父様達は何も話を進めるつもりはないようです。
「まぁ、わざわざありがとうございます。早速お出しして、みんなでいただきましょうね」
お母様がにこやかに対応してくださいます。
「ミリアム様、何だかお久しぶりですね。学園をお休みされていたので、体調でも崩されていたのかと心配しておりましたが、お元気そうで何よりです」
実は、お手紙をお出しした次の日から、学園はお休みしておりましたの。学園でリオンに何か聞かれたら、上手に対応できる自信がありませんでしたもの。
お顔を合わせたら、婚約者の方のこととか聞いてしまいそうで、お父様からもお休みするよう言われました。
「リオン、妹のリディアですの。リディ、彼がリオン・ウォルターさんですわ」
「初めまして。どうかリオンとお呼びください」
「初めまして」
初対面の方は気づかないと思いますが、妹の目が結構怖いです。だって、物凄く優しい顔をしているのに、目が笑っていませんの。
こういう時の妹は、ほんの小さなことも見逃さないハンターですの。
「今日は、お母様はいらっしゃらないのかしら?」
「申し訳ございません。母は仕事がどうしても休めなくて。次の時は是非お伺いしたいと申しておりました」
「それは仕方がありませんわね。また次の機会があれば」
「はい、ありがとうございます」
お父様がいらっしゃいました。いつ見てもかっこいいです。王宮や夜会などでも女性の方から、ひっきりなしにお声がかかるとか。お母様が笑っておっしゃっておられました。お母様、さすが余裕です。
リオンはすぐに立ち上がり、直立不動です。緊張しているのですね。今日のお父様は、お仕事中などに比べると柔らかい雰囲気ですが、やっぱり緊張しますよね。王弟ですもの。
「お待たせして申し訳ない。初めまして」
「初めてお目にかかります。リオン・ウォルターと申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、忙しい中呼びつけてしまったそうで、申し訳ない」
「もう卒業間近なので、随分と時間の余裕も出来ました」
メイドたちが、紅茶とお茶菓子を持ってきました。さっきリオンが持ってきてくれたお茶菓子もあるようです。
それぞれの前に紅茶が置かれ、メイドたちが下がっていきました。
「学園の卒業後の予定などは、決まっているのかな?」
「はい、いえ・・まだはっきりとは。やりたいことは色々とあるのですが、まだ決めきれてなくて」
「そうか、やりたい事があるのは良いことだね。王立高等学園には行かないのかね?入学試験は来月だったと思うが」
「はい、それも含めて検討中です。今月末が申し込みの期限なので、それまでには決めたいと思っています」
「高等学院の講師陣はとても優秀だからね。学ぶ意欲のある者にはとても良い環境が整っていると思うよ」
「ありがとうございます。あの、今日はミリアム様とのことについて、正式にご挨拶をしたいと思ってまいりました」
「ん? ミリアムと? 何かあるのかね?」
お父様のおとぼけ、お上手です。全然表情が変わられませんの。
「えっと、ミリアム様から何もお聞きではないのでしょうか」
「お姉様は、今日は仲の良い友人がいらっしゃると、おっしゃっておられましたわ」
「友人ですか?」
「はい、違うのですか?」
「母もお誘いいただいたので、私はてっきり。その、ミリアム様?」
リオンが私に聞いてきます。当然と言えば当然なのですが、お茶会前に妹から、余計なことはしゃべるなときつく言われています。私は気づかない振りでいるしかありません。
おかげで妙な間が開いてしまいました。お父様達は何も話を進めるつもりはないようです。
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