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Four
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「とりあえず、サンダルありがとな。岩瀬の靴は、確認して明日にでも持ってくるから」
「明日の昼休みに、ここに取りに来ていい?」
「いいよ。用事済んだなら、戻りな。おれ、これから昼メシ食うから」
わたしから離れた那央くんが、机のそばに置いていたカバンの中からコンビニの買い物袋を取り出す。そこから、おにぎりや菓子パンやお茶を出すのを見ていたら、わたしもお腹が空いてきた。
「そういえば、わたしもお昼まだだった」
「早く食わないと昼休み終わるぞ」
「今から購買行ってくる」
もう、売れ残りしかないだろうけど。
「那央くん、また明日」
「ちょっと待て、岩瀬」
手を振って化学準備室を出ようとすると、那央くんがわたしを呼び止めた。
「まだ食ってないなら、早く言えよ。ツナマヨでいい?」
わたしの手をとった那央くんが、そこにおにぎりをひとつ握らせる。
「これ、那央くんのごはんでしょ?」
ぽかんと見上げると、那央くんが笑う。
「いいよ、一個やる。今から購買行ったって、どうせたいしたもの残ってないだろ」
「でも……」
「じゃぁ、一日遅れだけど誕生日プレゼントってことで」
「え、ショボい」
ぷはっと吹き出すと、那央くんが「贅沢言うな」と顔を顰めた。
「明日は、ちゃんと昼メシ食ってから来いよ」
ツナマヨおにぎりを持って化学準備室を出ようとするわたしに、那央くんが忠告してくる。
「わかってるよ」
そう返すと、次の授業の準備のために教科書に視線を落とした那央くんの横顔を見つめながら、ゆっくりと化学準備室のドアを閉めた。
手の中には、那央くんからもらったコンビニのツナマヨおにぎりがひとつ。照れ臭さもあって笑って誤魔化したけど、那央くんが「誕生日プレゼント」と言っておにぎりを渡してくれたとき、胸の奥がブワッと熱くなって、バカみたいにときめいた。
昨夜、健吾くんにオシャレなフレンチレストランで誕生日をお祝いしてもらった。それなのに、豪華なコース料理よりも百数十円のおにぎりをもらったほうが嬉しいと思ってしまうなんて。十七歳のわたしは、まだまだモノの価値のわからない子どもだ。
「沙里、どこ行ってたの? 何度連絡しても返信ないから、先にお昼食べちゃったよ」
教室に戻ると、唯葉が少し不貞腐れた顔で歩み寄ってきた。
「ごめん、ちょっと化学準備室に行ってた」
「化学準備室って、那央くんのとこ? もしかして、この前の写真流出のことで、また呼び出された? あれから、まだ嫌がらせのDMとかきてる?」
健吾くんと撮られた写真のことで嫌がらせを受けたり、生徒指導の先生に呼び出されそうになってから、唯葉はわたしのことをすごく心配してくれる。
昼休みにいなくなったわたしに何度かメッセージをくれたのも、誰かから嫌がらせを受けていないか心配してのことだったんだろう。
実際のところ、SNSに送られてくる嫌がらせのDMの数は以前より減ってきていた。
那央くんが生徒指導の三上先生にわたしと健吾くんが義理の親子であることをうまく伝えてくれた効果かもしれないし、わたしが嫌がらせに過剰反応せずに無視していたから周囲が飽きたのもあると思う。
「嫌がらせでも、呼び出しでもないよ。ただ、誕生日プレゼントもらっただけ」
「プレゼント?」
ツナマヨおにぎりを両手で包んでニヤニヤすると、唯葉が不思議そうに首を傾げる。
「何でもなーい」
少し浮かれた声でそう言うと、わたしは自分の席に座って、大切に優しく、ツナマヨおにぎりの包みを開けた。
「明日の昼休みに、ここに取りに来ていい?」
「いいよ。用事済んだなら、戻りな。おれ、これから昼メシ食うから」
わたしから離れた那央くんが、机のそばに置いていたカバンの中からコンビニの買い物袋を取り出す。そこから、おにぎりや菓子パンやお茶を出すのを見ていたら、わたしもお腹が空いてきた。
「そういえば、わたしもお昼まだだった」
「早く食わないと昼休み終わるぞ」
「今から購買行ってくる」
もう、売れ残りしかないだろうけど。
「那央くん、また明日」
「ちょっと待て、岩瀬」
手を振って化学準備室を出ようとすると、那央くんがわたしを呼び止めた。
「まだ食ってないなら、早く言えよ。ツナマヨでいい?」
わたしの手をとった那央くんが、そこにおにぎりをひとつ握らせる。
「これ、那央くんのごはんでしょ?」
ぽかんと見上げると、那央くんが笑う。
「いいよ、一個やる。今から購買行ったって、どうせたいしたもの残ってないだろ」
「でも……」
「じゃぁ、一日遅れだけど誕生日プレゼントってことで」
「え、ショボい」
ぷはっと吹き出すと、那央くんが「贅沢言うな」と顔を顰めた。
「明日は、ちゃんと昼メシ食ってから来いよ」
ツナマヨおにぎりを持って化学準備室を出ようとするわたしに、那央くんが忠告してくる。
「わかってるよ」
そう返すと、次の授業の準備のために教科書に視線を落とした那央くんの横顔を見つめながら、ゆっくりと化学準備室のドアを閉めた。
手の中には、那央くんからもらったコンビニのツナマヨおにぎりがひとつ。照れ臭さもあって笑って誤魔化したけど、那央くんが「誕生日プレゼント」と言っておにぎりを渡してくれたとき、胸の奥がブワッと熱くなって、バカみたいにときめいた。
昨夜、健吾くんにオシャレなフレンチレストランで誕生日をお祝いしてもらった。それなのに、豪華なコース料理よりも百数十円のおにぎりをもらったほうが嬉しいと思ってしまうなんて。十七歳のわたしは、まだまだモノの価値のわからない子どもだ。
「沙里、どこ行ってたの? 何度連絡しても返信ないから、先にお昼食べちゃったよ」
教室に戻ると、唯葉が少し不貞腐れた顔で歩み寄ってきた。
「ごめん、ちょっと化学準備室に行ってた」
「化学準備室って、那央くんのとこ? もしかして、この前の写真流出のことで、また呼び出された? あれから、まだ嫌がらせのDMとかきてる?」
健吾くんと撮られた写真のことで嫌がらせを受けたり、生徒指導の先生に呼び出されそうになってから、唯葉はわたしのことをすごく心配してくれる。
昼休みにいなくなったわたしに何度かメッセージをくれたのも、誰かから嫌がらせを受けていないか心配してのことだったんだろう。
実際のところ、SNSに送られてくる嫌がらせのDMの数は以前より減ってきていた。
那央くんが生徒指導の三上先生にわたしと健吾くんが義理の親子であることをうまく伝えてくれた効果かもしれないし、わたしが嫌がらせに過剰反応せずに無視していたから周囲が飽きたのもあると思う。
「嫌がらせでも、呼び出しでもないよ。ただ、誕生日プレゼントもらっただけ」
「プレゼント?」
ツナマヨおにぎりを両手で包んでニヤニヤすると、唯葉が不思議そうに首を傾げる。
「何でもなーい」
少し浮かれた声でそう言うと、わたしは自分の席に座って、大切に優しく、ツナマヨおにぎりの包みを開けた。
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