僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

幼少時代。

スサン商会新装開店。

　改装が終わった。ちょっとしたハプニングと大きな事件があったけど順調に工事は進んだのだ。地精ドワーフ達が仕事終わりに酒の一杯をひっかけてうるさかったのも昨日までの話。工事中にカダスとヴェリーさんはすっかり仲良くなり、工事が終わったのでうちの集合住宅で二人で住むようだ。結婚はしないの？と聞いたら一緒に住む事が結婚するって事みたい。地精ドワーフは終生一組の男女で暮らすからそういうことらしい。
　もうすでに尻に敷かれてるよ、と師匠がカダスの事を言っていた。

　店が終わった後、商会員かぞくと僕たちでお店の商品を並べる。色々な物品が置かれてますます総合商店らしくなった。ここで活躍したのはキースだ。膨大な商品類を分類して、どこに何を置くのかリストアップしたそうだ。だから商品を並べるのがかなり早い。僕もお手伝いしたんだけどあっという間に終わった。

　並べ終わったあと、全体ミーティングをやった。お父さんの仕事姿はやっぱりかっこいい。店はある程度固定メンバーにしないで流動的にするようだ。隊商ばっかり行く人が出ないようにね。
　途中で眠くなって僕は寝た。久しぶりに明晰夢を見た。メイドさんが出てきた。

「リョウエスト様、この度は申し訳ありませんでした」
「ん？何が？」
「うちの子達が操られて生活を脅かせてしまったようで。今後リョウエスト様の周りでこのような事がないように気をつけて参ります。ご勘弁下さい」
「なんかわからないけど良いよ」
「それでは聖別式でお待ちしております。ありがとうございました」
「どういたしまして？」
「失礼します」
「はい。お元気で」

　そんな夢だった。
　その夢で起きて眠気と戦っているとギピアが起こしにやってきた。ミシェ姉さんを一緒に起こして中庭に出て修行する。今日は剣術をやった。早くも外がワイワイとしている。案内看板でまたカウントダウン形式にしたから気になったのかな？それとも正面のファサードに昨日看板が付いたおかげ？
　そーっと覗きに行くと人が集まっていた。おお、結構いるねえ。見つかると嫌なので家に入って食堂に行く。みんな揃ったので朝ごはんにした。お父さんはかなり平常運転だけど緊張しないのかな？

「ねえねえ、お父さん、緊張、してる？」
「お父さんはあまり緊張していないな。それよりオープンしてからのお客様の反応を早く見たいよ」
「リョウ、父さんは根っからの商人だから大抵のことは驚かないし物おじしないよ」
「ふーん」
「俺もお父さんみたいに早くなりたいぜ」
「お父さんになるのにはまだまだ勉強が必要だぞ、ストラ」
「はーい」

　着替えてお店に挨拶に行くともうみんな準備できてるようだ。キースは貴族対応の手紙や書類の作成をしていた。貴族対応の手紙を読ませてもらったが回りくどい文章すぎて全く理解できなかった。
　オープン時間となった。観音開きのドアを商会員の二人が開けてお父さんが出ていく。

「皆様、大変長らくお待たせいたしました。本日より新装された店舗での営業となります。今回、品数と在庫を増やしました。どなた様もふるってお買い物をお楽しみ下さい。ただいまより新装スサン商会、オープンです！」

　拍手が聞こえる。僕と丁稚たちは店先に出る。さあ、呼び込みだ。

「「「いらっしゃいませー！スサン商会です！いらっしゃいませ！いらっしゃいませー！」」」

　

　お客様がどんどん入ってくる。僕は相変わらず撫でられ人形と化す。




　



　スサン商会の少し離れたところに馬車が一台停まっていた。中から一人の少女がスサン商会を眺めている。

「きゃっ。あれが私の弟・の『天使』なのね。かわいいわ。持って帰りたいくらいよ」
「失礼ですがお嬢様、まだ弟と決まった訳ではありません」
「まあ。決まったも同然ですわ。あの方は私の家の援助を受けて下さいましたもの」
「お嬢様、この後は長男に会うつもりですか？」
「そうね。今日は『スサンの天使』をまた堪能するつもりよ。お・兄・様・の事だからこの後『スサンの天使』に向かうはずだわ」
「失礼ですがお嬢様。お兄様と言うのはいささか早いと思われます」
「もう。良いのよ。その後は学校帰りのあの方を見て。最高の1日になりそうですわね」
「お嬢様、本気であの家に入るつもりですか？」
「ええ。あの方と一緒になれるなら家なんていりませんもの」
「決意は堅そうですね。旦那様がなんとおっしゃられるか」
「あら？お父様には夢中になれるものができて良かったとお褒めいただきましたの」
「旦那様はこれは一過性のものだとお思いになられたのでしょうね」
「もう。私は一途ですわ。それより私決めましたの。この旅が終わりましたら徹底的に強さを鍛えますわ」
「ああ。『神童』様は『悪魔退治者デーモンバスター』の一人ですからね」
「そう。強くなって横に立つ。これが私の今できる事の全てですわ」
「爺は応援しております。お嬢様が強くなれるよう最高の教師をそろえます」
「頼みましたわ」