71 / 806
幼少時代。
ラクラ薬師の指導。
かくしてスサン商会に平和な日々が訪れた。お父さんもロイック兄さんも商会に次の日から出ている。僕はあの後お父さんと相談してラクラ薬師の元へ10日に1回通わせてもらうことになった。ラクラ薬師はルステインの中でもトップの実力を持つ薬師であんまり弟子は取らないそうだ。だけども僕が学ぶ事をお願いしたらすんなり許された。これもリーリシアさんのおかげかも。
今日はその1回目の講義だ。ミザーリと新しく商会員になったジェンと一緒に繁華街近くの薬師通りに行く。薬師通りは商業区の隣りにあって、セス大通りから行くと20分くらい歩いた所にある。僕はミザーリと手を繋いで歩いていった。
新しく商会員になったジェンは水竜人で寡黙だが、フレドとまた違ったタイプだ。本来の喋りが水竜人語混じりの方言で、全然通じないから言葉を考えて喋るようだ。試しに話してみたらほんとにわからなかった。
「『お元気?』は?」
「がんじゅーさそーいびーみ?」
「『こんにちは』は?」
「はいさい」
「『私は、ジェンです』は?」
「わんねージェンやいびーん」
「全然、わからないよ」
「むっとぅわからんさぁー」
「ありがと」
「……はい」
薬師通りに入ると草の匂いが充満している。その中を進んで比較的小さいお店がラクラ薬師のお店だ。
「おじゃま、しまーす」
「入っといでー」
「うん!」
中に入っていくとたくさんの乾燥した葉が種類別に積んであって、壺が並んでいる。
奥にはラクラ薬師がいて、薬研や乳鉢など調理道具の並んでいる中で調合していた。おお。ファンタジーっぽい。ラクラ薬師は僕を呼ぶと、踏み台の置いてある机に立たせた。
「今日は薬研の使い方を教えるよ。薬研は乾燥した薬草を砕いて、すり潰し易くする為使うんだ。わかるかい?」
「うん!」
「ここに薬草の葉を用意したからやってみな。最初は私が指導するからね。まずはこの薬研について説明するよ。舟形の溝を彫った臼の『薬研』と、軸の付いている車輪状の『薬研車』からなるんだ。『薬研車』を前後に動かすことで薬草が細かくなり、粒になるのさ。粒になったものと液体を混ぜてポーションができる。それは乳鉢と擦り棒でやるんだよ。薬研がきっちりしないと薬草の効能は発揮できない。だからこの工程はしっかりやらなきゃいけないよ。いいね?」
「うん!」
「ほんとにわかるのかい?」
「うん!やげんしゃ、動かす、しっかり、粒にする。しない、ぽーしょん、できない」
「そうだ。よくわかったね。そしたらやるから見て覚えな」
「うん!」
ラクラ薬師は薬研をし始める。非常に簡単にやってるように見えるが、丁寧でかつしっかりと粉末状にしていくのが見える。これは難しい。
「よし、やってみな」
「うん!」
薬草の葉を入れて薬研車を動かす。恐る恐るやっていたが力を入れないと薬草が細かくなっていかないことに気づきしっかり力を入れて薬研車を前後させる。
「坊や意外と力あるね。もう少し続けな。細かくなっていくはずだよ」
「うん!」
次第に葉は細かくなってくる。でもまだまだ粒にはならない。一生懸命薬研車を動かす。
「大分細かくなってきたね。こっから全力でやっちゃいけないよ。様子を見ながらちょうど良い大きさの粒にするんだ。私が作ったのを見ながら粒にしな」
「うん」
力を入れると言うよりなるべくしっかりと薬研車を動かすようにした。おお。粒になってきた。もう少しかな?
……一度確認したらもう少しだった。丁寧に丁寧に薬研車を動かす。
「ストップ。ちょっとやりすぎだよ。これじゃ薬の成分が出過ぎちまう。良いかい、時間がかかって良いから少し動かしたら確認するんだ。最初は大きさを覚えるのが大変だからね」
「うん!」
「じゃあ、そこにある薬草を全部薬研してみな。出来たら一回一回見せること。私は向こうで調合してるからね」
「うん!」
「ま、根を上げないようにがんばりな」
ゴリゴリ、ゴリゴリ。
薬研車を動かす手が痛いがひたすら薬研をする。1回目はまだまだ細かくするだった。2回目3回目はやりすぎ。4回目は薬草の枚数を間違えて5回目はやっぱりやりすぎだった。6回目7回目はもう少し細かくやると言われ、8回目はやり過ぎで9回目はもう少しだった。そして今10回目。
「主よ、教えましょうか?」
とミザーリが言う。
「めーっ。これ修行。覚える、大事」
「ですが、手、痛そうですよ」
「大丈夫。やる」
ひたすらゴリゴリと薬研車を動かす。あと、もう少し、あともう少し。
良し、良いかも。
「ラクラ薬師ー。見てー」
「おお。大分揃ったね。この調子でやってごらん」
「わかった!」
ゴリゴリと薬研車を動かす。うん、大分わかってきたけど難しいな。そこから5回やったけど、なかなか満足いかない。ちょうど薬草も終わったので報告する。
「ラクラ薬師ー、終わったー」
「よく頑張ったね。その薬研は坊やにあげるよ。うちでも練習しな」
「わかった」
「じゃあ手を治療しようかね。坊や、これが初級回復ポーションだよ。手に塗りな」
「うん!」
手の痛みが全くなくなった。
「んふー。すごいねー」
「ああ。すごいだろ。これが回復ポーションさ。余ったのを持ってお行き。薬研車を扱った後塗るんだよ」
「わかった」
「じゃあ今日は終わりにしよう」
「ありがと」
今日はその1回目の講義だ。ミザーリと新しく商会員になったジェンと一緒に繁華街近くの薬師通りに行く。薬師通りは商業区の隣りにあって、セス大通りから行くと20分くらい歩いた所にある。僕はミザーリと手を繋いで歩いていった。
新しく商会員になったジェンは水竜人で寡黙だが、フレドとまた違ったタイプだ。本来の喋りが水竜人語混じりの方言で、全然通じないから言葉を考えて喋るようだ。試しに話してみたらほんとにわからなかった。
「『お元気?』は?」
「がんじゅーさそーいびーみ?」
「『こんにちは』は?」
「はいさい」
「『私は、ジェンです』は?」
「わんねージェンやいびーん」
「全然、わからないよ」
「むっとぅわからんさぁー」
「ありがと」
「……はい」
薬師通りに入ると草の匂いが充満している。その中を進んで比較的小さいお店がラクラ薬師のお店だ。
「おじゃま、しまーす」
「入っといでー」
「うん!」
中に入っていくとたくさんの乾燥した葉が種類別に積んであって、壺が並んでいる。
奥にはラクラ薬師がいて、薬研や乳鉢など調理道具の並んでいる中で調合していた。おお。ファンタジーっぽい。ラクラ薬師は僕を呼ぶと、踏み台の置いてある机に立たせた。
「今日は薬研の使い方を教えるよ。薬研は乾燥した薬草を砕いて、すり潰し易くする為使うんだ。わかるかい?」
「うん!」
「ここに薬草の葉を用意したからやってみな。最初は私が指導するからね。まずはこの薬研について説明するよ。舟形の溝を彫った臼の『薬研』と、軸の付いている車輪状の『薬研車』からなるんだ。『薬研車』を前後に動かすことで薬草が細かくなり、粒になるのさ。粒になったものと液体を混ぜてポーションができる。それは乳鉢と擦り棒でやるんだよ。薬研がきっちりしないと薬草の効能は発揮できない。だからこの工程はしっかりやらなきゃいけないよ。いいね?」
「うん!」
「ほんとにわかるのかい?」
「うん!やげんしゃ、動かす、しっかり、粒にする。しない、ぽーしょん、できない」
「そうだ。よくわかったね。そしたらやるから見て覚えな」
「うん!」
ラクラ薬師は薬研をし始める。非常に簡単にやってるように見えるが、丁寧でかつしっかりと粉末状にしていくのが見える。これは難しい。
「よし、やってみな」
「うん!」
薬草の葉を入れて薬研車を動かす。恐る恐るやっていたが力を入れないと薬草が細かくなっていかないことに気づきしっかり力を入れて薬研車を前後させる。
「坊や意外と力あるね。もう少し続けな。細かくなっていくはずだよ」
「うん!」
次第に葉は細かくなってくる。でもまだまだ粒にはならない。一生懸命薬研車を動かす。
「大分細かくなってきたね。こっから全力でやっちゃいけないよ。様子を見ながらちょうど良い大きさの粒にするんだ。私が作ったのを見ながら粒にしな」
「うん」
力を入れると言うよりなるべくしっかりと薬研車を動かすようにした。おお。粒になってきた。もう少しかな?
……一度確認したらもう少しだった。丁寧に丁寧に薬研車を動かす。
「ストップ。ちょっとやりすぎだよ。これじゃ薬の成分が出過ぎちまう。良いかい、時間がかかって良いから少し動かしたら確認するんだ。最初は大きさを覚えるのが大変だからね」
「うん!」
「じゃあ、そこにある薬草を全部薬研してみな。出来たら一回一回見せること。私は向こうで調合してるからね」
「うん!」
「ま、根を上げないようにがんばりな」
ゴリゴリ、ゴリゴリ。
薬研車を動かす手が痛いがひたすら薬研をする。1回目はまだまだ細かくするだった。2回目3回目はやりすぎ。4回目は薬草の枚数を間違えて5回目はやっぱりやりすぎだった。6回目7回目はもう少し細かくやると言われ、8回目はやり過ぎで9回目はもう少しだった。そして今10回目。
「主よ、教えましょうか?」
とミザーリが言う。
「めーっ。これ修行。覚える、大事」
「ですが、手、痛そうですよ」
「大丈夫。やる」
ひたすらゴリゴリと薬研車を動かす。あと、もう少し、あともう少し。
良し、良いかも。
「ラクラ薬師ー。見てー」
「おお。大分揃ったね。この調子でやってごらん」
「わかった!」
ゴリゴリと薬研車を動かす。うん、大分わかってきたけど難しいな。そこから5回やったけど、なかなか満足いかない。ちょうど薬草も終わったので報告する。
「ラクラ薬師ー、終わったー」
「よく頑張ったね。その薬研は坊やにあげるよ。うちでも練習しな」
「わかった」
「じゃあ手を治療しようかね。坊や、これが初級回復ポーションだよ。手に塗りな」
「うん!」
手の痛みが全くなくなった。
「んふー。すごいねー」
「ああ。すごいだろ。これが回復ポーションさ。余ったのを持ってお行き。薬研車を扱った後塗るんだよ」
「わかった」
「じゃあ今日は終わりにしよう」
「ありがと」
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~
夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する!
農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。
逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。
これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。
最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~
gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。
なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。
一人称視点、独り言多め、能天気となっております。
なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。
ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A
ご指摘あればどんどん仰ってください。
※2017/8/29 連載再開しました!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~
九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます!
七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。
しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。
食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。
孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。
これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。