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神の修行。
風の神。
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「ところでこの料理って地球のー?」
「そうですよ」
「地球のおいしくて甘いのほしい」
「それ全部食べたら良いですよ」
「えー、今食べたいー」
「アネーシャ、出された物は全部食べなさい」
「はーい」
僕はモンブランを二つ出してあげた。
「ところでー、二人は一緒に住んでるの?」
「はい」
「そうね」
「ひゅーひゅーだねー」
「はいはい。茶化さないの」
「私も誰かと一緒に住むかな」
「ひと所にずっといれないあなたには無理ね」
「私も良い人ができたらちゃんとするもん」
「この間良いって言ってた子はどうしたの?」
「えーとどの人?」
「冒険者やってる緑髪の子」
「あー、あの子ね。なんか途中から領主になるって言ったからやめたー」
うーん。女性同士の話はどう対処すれば良いのだろう。女性経験がほとんどない僕はこういう時困ってしまう。
「それでね、この前すっごく良い子がいたの」
「どんな子?」
「なんかねー、王族みたいなんだけど冒険者してるの。狩人としても一流なのよー。それでいて初心なところがあるわけ。守ってあげたくなっちゃう」
「加護あげたの?」
「とうぜんー。しばらくその人を見てみたいなーってね」
「はあ。ちゃんと面倒見なさいね」
「うん。今度はちゃんとするよー」
「そう?ちゃんとした事見た事ないわよ」
二人は食後のデザートを楽しんでいる。長くなりそうだ。そうっと退避しよう。
「あ、あの僕はそろそろ鍛錬に行こうかな」
「ええ。リョウ、いってらっしゃい」
「いってらー」
外に出てほぉっと息を吐く。準備運動やストレッチをする。それから僕はまた陸上競技場を作るとしばらく歩いた後、走り出した。
短距離の走り方を復習する。それから何度も何度も走り込み精神に染み込ませるように形をなぞる。途中から剣を差して走った。剣が邪魔にならないよう左手で鞘を持って走る。なかなか最適解な走り方にならない。何度も休憩して続ける。ふと見るとアネーシャさんが見ていた。気にせず続けてるといきなり目の前に飛んできた。
「ねえねえ、リョウ何してるの?」
「走り方の練習をしてます」
「ふうん。冒険者が何かやるの?」
「わからないけどもう守られてばかりは嫌なんで修行してます」
「そういうの良いね」
「ありがとうございます?」
「そういえば薬師の修行もしてるんだよねー?」
「はい。ルステインのラクラ薬師って人に師事してますね」
「知ってる。私の愛し子なの」
「そうなんですか?」
「そう。私は風の神なんだけどー、自然と冒険と豊穣の神なのねー。だから有能な子は好きなのね。あの子は冒険者としては二流だったけど薬師としてはかなりすごい子だから応援してるの」
「へえー。ラクラ薬師ってすごいんですね」
「だから縁が繋がってうれしいのー」
「繋げてもらってありがとうございます」
「あら、私は繋げてないわよ。リョウの力かナーディルのせいじゃないかなー」
「そうなんですね。ナーディルさんに感謝しないと」
「あいつには別にいいわよ。あんまり気にするやつじゃないし。それより薬草の見分け方でも教えてあげよー」
「え、良いんですか?」
「スキルは取れないかもしれないけどー。覚えておけば役にたつよ」
「ありがとうございます」
「じゃあー走ってー」
アネーシャさんが飛んでいく後ろを必死で走る。中距離の走り方だ。アネーシャさんはふふふっと笑いながら飛んでいく。しばらく全力で走らされ疲れ始めた頃アネーシャさんは止まった。
「この辺で良いかなー」
アネーシャさんが手をかざすと林が現れる。
「色々な薬草を植えたから探してみてねー」
「はい」
「リョウ、とりあえずは何も考えずに薬草っぽいのを探してみてー」
「とりあえず知ってるやつがあったのでそれを回収してから探します」
「勉強熱心だねー」
アネーシャさんが地上に降りる。今までずっと希薄な印象で姿が不明だったけどようやく見えてきた。アネーシャさんは緑色の髪に金の瞳、薄い色素の肌の美しい美女だ。背中にあまり実用的でなさそうな翼がついている。
「いえ。師匠が良いんですよ。それより急に姿が見えるようになったんですけど」
「普段は風をまとっているからねー。ここは気持ちいい風が吹くようにしたからいいのよー」
「なるほど。そうなんですね」
「よーし。探してみてね。それからその薬草をつんでみてねー」
薬草を探す。まずはいつも薬研している薬草を何種類か見つけて摘む。なるべく早く、綺麗に摘むのを心がける。根っこまでとって良いのか、根っこを残して摘むのか迷う。これ、小説だと取りすぎとか根っこ取って根絶やしとかなるって書いてあったなあ、と思ったので根っこは全部残すことにした。
それが取れたらあとは薬草探しだ。色々匂ってみて薬効がありそうかなあと思うものを摘んでみる。途中でアネーシャさんの顔を見たら風で顔を隠された。ノーヒントは流石につらい。
ある程度収獲したのでアネーシャさんに見てもらう。アネーシャさんが下に置きなさいというので置いたら、風が巻き起こり薬草が3カ所に振り分けられた。
「これが一番先に摘んだのね。うん。取り方は良いよー。ただもっと素早く取ってね。二番目のは実際薬効があるもの。毒草も少しあるけどそれも薬に使えるのー。三番目のはただの草かな。これは毒にも薬にもならないねー」
「これは難しいですね」
「でしょう。今から薬効のあるものを教えるね………」
アネーシャさんが薬草や毒草の効能や見分け方を教えてくれる。覚え切れるかなあ。
「……って感じなの。わかった?」
「わかりましたけど何回かやらないとダメみたいです」
「じゃあこの林はここに残しておくから練習してねー」
「はい」
「あ、やべ。じゃあねー」
アネーシャさんが慌てて飛んでいく。そこにナーディルさんが走ってきた。
「あの放蕩娘。逃げたか。リョウ、何かされなかったか?」
「いえ。薬草について教わっていました」
「ほう。あいつにしては殊勝だな。良し、リョウ。昨日の続きだ。行くぞ」
「あ、はい」
「そうですよ」
「地球のおいしくて甘いのほしい」
「それ全部食べたら良いですよ」
「えー、今食べたいー」
「アネーシャ、出された物は全部食べなさい」
「はーい」
僕はモンブランを二つ出してあげた。
「ところでー、二人は一緒に住んでるの?」
「はい」
「そうね」
「ひゅーひゅーだねー」
「はいはい。茶化さないの」
「私も誰かと一緒に住むかな」
「ひと所にずっといれないあなたには無理ね」
「私も良い人ができたらちゃんとするもん」
「この間良いって言ってた子はどうしたの?」
「えーとどの人?」
「冒険者やってる緑髪の子」
「あー、あの子ね。なんか途中から領主になるって言ったからやめたー」
うーん。女性同士の話はどう対処すれば良いのだろう。女性経験がほとんどない僕はこういう時困ってしまう。
「それでね、この前すっごく良い子がいたの」
「どんな子?」
「なんかねー、王族みたいなんだけど冒険者してるの。狩人としても一流なのよー。それでいて初心なところがあるわけ。守ってあげたくなっちゃう」
「加護あげたの?」
「とうぜんー。しばらくその人を見てみたいなーってね」
「はあ。ちゃんと面倒見なさいね」
「うん。今度はちゃんとするよー」
「そう?ちゃんとした事見た事ないわよ」
二人は食後のデザートを楽しんでいる。長くなりそうだ。そうっと退避しよう。
「あ、あの僕はそろそろ鍛錬に行こうかな」
「ええ。リョウ、いってらっしゃい」
「いってらー」
外に出てほぉっと息を吐く。準備運動やストレッチをする。それから僕はまた陸上競技場を作るとしばらく歩いた後、走り出した。
短距離の走り方を復習する。それから何度も何度も走り込み精神に染み込ませるように形をなぞる。途中から剣を差して走った。剣が邪魔にならないよう左手で鞘を持って走る。なかなか最適解な走り方にならない。何度も休憩して続ける。ふと見るとアネーシャさんが見ていた。気にせず続けてるといきなり目の前に飛んできた。
「ねえねえ、リョウ何してるの?」
「走り方の練習をしてます」
「ふうん。冒険者が何かやるの?」
「わからないけどもう守られてばかりは嫌なんで修行してます」
「そういうの良いね」
「ありがとうございます?」
「そういえば薬師の修行もしてるんだよねー?」
「はい。ルステインのラクラ薬師って人に師事してますね」
「知ってる。私の愛し子なの」
「そうなんですか?」
「そう。私は風の神なんだけどー、自然と冒険と豊穣の神なのねー。だから有能な子は好きなのね。あの子は冒険者としては二流だったけど薬師としてはかなりすごい子だから応援してるの」
「へえー。ラクラ薬師ってすごいんですね」
「だから縁が繋がってうれしいのー」
「繋げてもらってありがとうございます」
「あら、私は繋げてないわよ。リョウの力かナーディルのせいじゃないかなー」
「そうなんですね。ナーディルさんに感謝しないと」
「あいつには別にいいわよ。あんまり気にするやつじゃないし。それより薬草の見分け方でも教えてあげよー」
「え、良いんですか?」
「スキルは取れないかもしれないけどー。覚えておけば役にたつよ」
「ありがとうございます」
「じゃあー走ってー」
アネーシャさんが飛んでいく後ろを必死で走る。中距離の走り方だ。アネーシャさんはふふふっと笑いながら飛んでいく。しばらく全力で走らされ疲れ始めた頃アネーシャさんは止まった。
「この辺で良いかなー」
アネーシャさんが手をかざすと林が現れる。
「色々な薬草を植えたから探してみてねー」
「はい」
「リョウ、とりあえずは何も考えずに薬草っぽいのを探してみてー」
「とりあえず知ってるやつがあったのでそれを回収してから探します」
「勉強熱心だねー」
アネーシャさんが地上に降りる。今までずっと希薄な印象で姿が不明だったけどようやく見えてきた。アネーシャさんは緑色の髪に金の瞳、薄い色素の肌の美しい美女だ。背中にあまり実用的でなさそうな翼がついている。
「いえ。師匠が良いんですよ。それより急に姿が見えるようになったんですけど」
「普段は風をまとっているからねー。ここは気持ちいい風が吹くようにしたからいいのよー」
「なるほど。そうなんですね」
「よーし。探してみてね。それからその薬草をつんでみてねー」
薬草を探す。まずはいつも薬研している薬草を何種類か見つけて摘む。なるべく早く、綺麗に摘むのを心がける。根っこまでとって良いのか、根っこを残して摘むのか迷う。これ、小説だと取りすぎとか根っこ取って根絶やしとかなるって書いてあったなあ、と思ったので根っこは全部残すことにした。
それが取れたらあとは薬草探しだ。色々匂ってみて薬効がありそうかなあと思うものを摘んでみる。途中でアネーシャさんの顔を見たら風で顔を隠された。ノーヒントは流石につらい。
ある程度収獲したのでアネーシャさんに見てもらう。アネーシャさんが下に置きなさいというので置いたら、風が巻き起こり薬草が3カ所に振り分けられた。
「これが一番先に摘んだのね。うん。取り方は良いよー。ただもっと素早く取ってね。二番目のは実際薬効があるもの。毒草も少しあるけどそれも薬に使えるのー。三番目のはただの草かな。これは毒にも薬にもならないねー」
「これは難しいですね」
「でしょう。今から薬効のあるものを教えるね………」
アネーシャさんが薬草や毒草の効能や見分け方を教えてくれる。覚え切れるかなあ。
「……って感じなの。わかった?」
「わかりましたけど何回かやらないとダメみたいです」
「じゃあこの林はここに残しておくから練習してねー」
「はい」
「あ、やべ。じゃあねー」
アネーシャさんが慌てて飛んでいく。そこにナーディルさんが走ってきた。
「あの放蕩娘。逃げたか。リョウ、何かされなかったか?」
「いえ。薬草について教わっていました」
「ほう。あいつにしては殊勝だな。良し、リョウ。昨日の続きだ。行くぞ」
「あ、はい」
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