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ルステイン狂想曲。
グンヴォル神殿。
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リーサ師の所を出た僕はそのまま宗教区を出ずグンヴォルさんの神殿を目指した。グンヴォルさんが興奮しているとイサリナさんが言っていたからだ。仕方ないので僕はグンヴォルさんに会いに行く事にした。ロスハーン神殿から歩いて10分、馬車で3分のグンヴォル神殿には茶色の尖塔が立っている。中は荘厳というより、実務的といった趣きがある場所で、中には技術的なものの展示会場の様相を呈していた。神官服もどこか技術者っぽいものでSFチックなものだった。
「技術の子、商業の子よ。よくぞ参られた。技術、商業の発表かな?参拝かな?」
「参拝でお願い」
「わかりました。こちらへどうぞ」
「これ、喜捨」
僕は金貨1枚を渡す。
「おお。敬虔な信徒よ。ありがとうございます」
「僕、お祈りする。邪魔、嫌」
「かしこまりました。ゆっくりお祈り下さい」
「ありがと」
他の神殿と同じように跪いて祈るようだ。僕は跪いて祈る。
精神があっちの世界へ飛んだ。
「リョウ。久しぶりー」
「グンヴォルさん、久しぶり」
「リョウ、とんでもないもの発明したなー」
「遊び道具?」
「あー。あんな面白いもの作るとは最高だよー」
「うん」
「あのな、あれは大ウケする。早い事王家に贈るといいぞー」
「やっぱりそうか」
「早いうちに利権を確保しなければならんねー。あれは類似品でるし、今のスサン商会だけではニーズを抑えきれんわ」
「どうしたら良いと思う?スサン商会だけでやりたいんだけど」
「ちょっと地精巻き込もうと思って色々天啓下ろしたんだー。あの子ら横の繋がり強いしね」
「横の繋がり強いけどやる気もすごいね」
「まあ、リョウと仲良いから大丈夫でしょ。地精心がわかるって良く呼ばれてるの知ってるんだからー」
「うん。よくそう言われる」
「まあ物作りにかけては右に出るものいないから安心してくれるー?」
「わかった。聞きたい事があるんだけど」
「なにー?」
「米作りってどうなったの?」
「難しいなー。なかなか受け入れられん。米自体はアネーシャと話して各地に生えるようにしたんだけど。まず見つけてくれんわー」
「え?コリント王国でも生えてるの?」
「生えてる。確か火の民自治領と風精自治領に生えてるはずだー」
「そうなんだね。まだ旅に出られないからダメだ」
「そうだな。お取り寄せしようにもそもそも食べ物だとわからないからねー」
「旅に出れるようになったら絶対採りに行くよ」
「そうしてくれるー?」
「うん」
「早く塩むすびが食べたいー」
「わかった。頑張る」
「それで次は何を作るつもり?」
「グンヴォルさんと話をしたやつをやっていくよ」
「なんだってー!?」
「あれとあれを発明する」
「早くやってくれるー?」
「わかった」
「また天啓を下さねば。じゃあまたねー」
「じゃあまた」
祈りが終わると先程の僧侶が立って祈っていた。ほっといて祭壇から離れると僧侶が追いかけてくる。
「技術と商業の子よ、お名前をお聞かせ下さい」
「リョウエスト・スサン」
「は?あの、リョウエスト様で」
「リョウエストだよ」
「リョウエスト様、リョウエスト様が訪れた時は呼ぶようにと司教から言われております。どうぞこちらへ」
「ストーク、行く」
「かしこまりました。私も同道致します。かまいませんか?」
「はい、どうぞ」
僧侶について神殿の中を歩く。階段を登り2階に上がると大きな扉の前に着き、僧侶はノックする。返事があると一旦中に入り招き入れられる。なかには地精の女の人がいた。年齢は全くわからない。ドワーフって年齢不詳の所があるんだよね。
「すみません。お呼びしたみたいで。私の名はステラ。ここで司教をやっております。リョウエスト様はグンヴォル神の加護があるとグンヴォル神からの天啓を受けております」
「そうなの?」
「はい。ですからリョウエスト様は我々にとっては大事なお方です。今後なにかあれば我が神殿を訪れて頂きたい。リョウエスト様の支援を最大限させてもらいます」
「ありがと」
「早速ですがわが神殿内の隠された目的をお見せいたします」
「うん」
「リョウエスト様、案内致します。従者の方はこの事を漏らさないと契約をさせて頂きます。
「はい」
ストークは契約し、守秘を誓った。
ステラ師についていく。彼女は一つのドアの前で止まった。開けるとエレベーターがあった。エレベーターは下に降りるようになっている。僕はステラ師に導かれるまま、エレベーターに乗り込む。エレベーターは動き出し一階をスルーして地下に降りて行った。
「こちらです」
エレベーターを降りた先で扉が開けられる。そこには沢山の本が並ぶ図書館があった。
「どの神殿にもある施設ですが、ここは有史からすべての発明の事を記しています。亡国で作られた発明なども記載されているのですが、既存の商業登録をされていないものも多いので持ち出す事は禁忌とされています。リョウエスト様はこちらの資料を全て閲覧する事が可能です。いつでも気軽にお越し下さい。僧侶以上には周知しておきます」
「膨大な資料だから、どれを読んだら良いか、わからない」
「専属の司書をお付けいたします。大体どこに何があるか把握しておりますのでお聞きになってください」
「わかった」
「こちらの叡智を活かせるのはリョウエスト様のような加護を得た者だけです。是非お役立てください」
「技術の子、商業の子よ。よくぞ参られた。技術、商業の発表かな?参拝かな?」
「参拝でお願い」
「わかりました。こちらへどうぞ」
「これ、喜捨」
僕は金貨1枚を渡す。
「おお。敬虔な信徒よ。ありがとうございます」
「僕、お祈りする。邪魔、嫌」
「かしこまりました。ゆっくりお祈り下さい」
「ありがと」
他の神殿と同じように跪いて祈るようだ。僕は跪いて祈る。
精神があっちの世界へ飛んだ。
「リョウ。久しぶりー」
「グンヴォルさん、久しぶり」
「リョウ、とんでもないもの発明したなー」
「遊び道具?」
「あー。あんな面白いもの作るとは最高だよー」
「うん」
「あのな、あれは大ウケする。早い事王家に贈るといいぞー」
「やっぱりそうか」
「早いうちに利権を確保しなければならんねー。あれは類似品でるし、今のスサン商会だけではニーズを抑えきれんわ」
「どうしたら良いと思う?スサン商会だけでやりたいんだけど」
「ちょっと地精巻き込もうと思って色々天啓下ろしたんだー。あの子ら横の繋がり強いしね」
「横の繋がり強いけどやる気もすごいね」
「まあ、リョウと仲良いから大丈夫でしょ。地精心がわかるって良く呼ばれてるの知ってるんだからー」
「うん。よくそう言われる」
「まあ物作りにかけては右に出るものいないから安心してくれるー?」
「わかった。聞きたい事があるんだけど」
「なにー?」
「米作りってどうなったの?」
「難しいなー。なかなか受け入れられん。米自体はアネーシャと話して各地に生えるようにしたんだけど。まず見つけてくれんわー」
「え?コリント王国でも生えてるの?」
「生えてる。確か火の民自治領と風精自治領に生えてるはずだー」
「そうなんだね。まだ旅に出られないからダメだ」
「そうだな。お取り寄せしようにもそもそも食べ物だとわからないからねー」
「旅に出れるようになったら絶対採りに行くよ」
「そうしてくれるー?」
「うん」
「早く塩むすびが食べたいー」
「わかった。頑張る」
「それで次は何を作るつもり?」
「グンヴォルさんと話をしたやつをやっていくよ」
「なんだってー!?」
「あれとあれを発明する」
「早くやってくれるー?」
「わかった」
「また天啓を下さねば。じゃあまたねー」
「じゃあまた」
祈りが終わると先程の僧侶が立って祈っていた。ほっといて祭壇から離れると僧侶が追いかけてくる。
「技術と商業の子よ、お名前をお聞かせ下さい」
「リョウエスト・スサン」
「は?あの、リョウエスト様で」
「リョウエストだよ」
「リョウエスト様、リョウエスト様が訪れた時は呼ぶようにと司教から言われております。どうぞこちらへ」
「ストーク、行く」
「かしこまりました。私も同道致します。かまいませんか?」
「はい、どうぞ」
僧侶について神殿の中を歩く。階段を登り2階に上がると大きな扉の前に着き、僧侶はノックする。返事があると一旦中に入り招き入れられる。なかには地精の女の人がいた。年齢は全くわからない。ドワーフって年齢不詳の所があるんだよね。
「すみません。お呼びしたみたいで。私の名はステラ。ここで司教をやっております。リョウエスト様はグンヴォル神の加護があるとグンヴォル神からの天啓を受けております」
「そうなの?」
「はい。ですからリョウエスト様は我々にとっては大事なお方です。今後なにかあれば我が神殿を訪れて頂きたい。リョウエスト様の支援を最大限させてもらいます」
「ありがと」
「早速ですがわが神殿内の隠された目的をお見せいたします」
「うん」
「リョウエスト様、案内致します。従者の方はこの事を漏らさないと契約をさせて頂きます。
「はい」
ストークは契約し、守秘を誓った。
ステラ師についていく。彼女は一つのドアの前で止まった。開けるとエレベーターがあった。エレベーターは下に降りるようになっている。僕はステラ師に導かれるまま、エレベーターに乗り込む。エレベーターは動き出し一階をスルーして地下に降りて行った。
「こちらです」
エレベーターを降りた先で扉が開けられる。そこには沢山の本が並ぶ図書館があった。
「どの神殿にもある施設ですが、ここは有史からすべての発明の事を記しています。亡国で作られた発明なども記載されているのですが、既存の商業登録をされていないものも多いので持ち出す事は禁忌とされています。リョウエスト様はこちらの資料を全て閲覧する事が可能です。いつでも気軽にお越し下さい。僧侶以上には周知しておきます」
「膨大な資料だから、どれを読んだら良いか、わからない」
「専属の司書をお付けいたします。大体どこに何があるか把握しておりますのでお聞きになってください」
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