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8歳の旅回り。
8歳の誕生日。
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「誕生日、おめでとうございます、リョウ様」
「今年もずいぶん届いてるなぁ……」
僕の部屋には、贈り物の山が積まれていた。綺麗な包み紙に、金のリボン、銀の封蝋。貴族たちから例年通り、山のようにプレゼントが届いていた。贈り主の名前が添えてあって、去年と同じものも多かったけど、見覚えのない名もある。中には、僕より年下の子からの贈り物も。
「覚えきれないなぁ…」
「リストにしておきました」
「ありがと、ストーク。ナビは?」
「はい。アレクとボルクが面倒を見ています」
「そうか。それはありがたいな」
しばしリストを見ているとタウンハウスの召使いが入ってきた。
「ニメイジ家のラーモン様、ミシェレル様がご到着です。こちらにいらっしゃる模様です」
「わかった。ありがと!」
ノックの音がする。どうぞ、と言った。
「リョウー。おめでとー」
そう言って部屋に入ってきたのは、姉のミシェレルお姉さんだ。明るい色のドレスに、にこやかな笑顔。そしてその後ろに、旦那さんのラーモンさんが控えていた。
「やあ、リョウエストくん。八歳、おめでとう」
「ラーモン兄さん、ありがとう。お姉さんも来てくれて嬉しいよ」
「去年と同じね。あなたの誕生日には、できるだけ来たいから到着はこの日にしたの」
「ありがと」
「リョウ、元気だった?無理してない?」
「元気だよ。無理してないよ。ミシェ姉さんは?」
「私は元気よ。今年も社交、がんばるわ」
「うん。頑張って」
「リョウエスト君、これ我々からだ」
ラーモンさんは、手に持っていた包みを僕に渡した。開けると、中には食器セットだった。なにこれ、季節ごとの風景が皿に表現してある。料理のせてみたいな。
「これはうちの陶工の新しい作品だ。料理が映えるように作ってある。是非使ってくれ」
「わぁ、ありがとう…!これセンス良いなあ。大事に使うよ!」
しばらくして、マックスさんが現れた。奥様のレイアムさんは、優しい顔で微笑んでいる。マックスさんは僕に箱を渡してくる。
「今年も立派に育ったな、リョウ」
「あなたが毎年成長するのを見るのが、私の楽しみなのですよ」
「ありがとうございます。あの、これ…受け取っても?」
「もちろん」
マックスさんとレイアムさんのプレゼントはかなり小さい時計だった。持ち運ぶのにはちょっとだけ大きいが、前に比べてかなり小さい。
「これはルステインで一番の技師が作った時計だ。すごく小さいだろ?この国でこれより小さい時計は今のところないと思う」
「ありがとう、マックスさん、レイアムさん」
「何事もやりすぎないようにするのが肝心だ。この時計でちゃんと自己管理してほしい」
「うん」
皆が僕の成長を喜んでくれる。それが少し、くすぐったくて、でも嬉しい。
誕生日の祝いが一段落すると、僕は王都の宗教区にある聖堂へ向かった。
「ひとりで行ける。というかひとりで行かせてくれる?」
そう言って、護衛たちには外で待ってもらった。
聖堂の中は、静かで広くて、天井の高いドームに光が差し込んでいた。中央の祭壇には、白銀の像――主神リーリシアが立っていた。誰よりも美しく、優しく、強く、僕の『妻』でもある神様だ。
僕は、ひざまずいて、目を閉じた。
「…来たよ、リーリシア。僕、今日で八歳になった」
その瞬間、意識がふっと浮かんだ。
気がつくと、僕はあの場所にいた。
空がない空間。リーリシアが、そこに立っていた。美しさと神々しさが溶け合った姿。
「ようこそ、リョウ。お誕生日、おめでとう」
リーリシアは優しく微笑んで、僕を抱きしめてくれた。あたたかくて、香りがして、ほんとうに、ここが好きだ。
「ありがとう、リーリシア」
「三年。あなたがこの地に降りてくれて、私はずっと見守ってきたの。今日まで無事に、立派に育ってくれて、ありがとう」
「まだ、全然立派じゃないけど…頑張ってるよ」
「知ってる。誰よりも、私は知ってる」
そのとき、光の中から六柱の神々が現れた。僕と関わりの深い六神。
「お誕生日おめでとう、リョウエスト!」
「まだ小さいけど、芯は強くなってきてますね!」
「私の加護、ちゃんと使ってくれてる?」
「誠実に歩んでる君を、誇りに思うよ」
「無理はするなよ。お前が倒れたら、リーリシアが泣くぞ」
「成長が楽しみです。来年も来て欲しいです!」
みんなが、順番に声をかけてくれる。冗談交じりだったり、真面目だったり。でも、どの言葉も、胸の奥に届いた。
僕は思わず、涙ぐんでしまった。
「…ありがとう。僕、もっと頑張る。もっとみんなと…リーリシアと一緒にいたい」
リーリシアが、僕の手を包み込む。
「私たちも、あなたと共にある。けれど、時間よ。もう、戻らなければならないわ」
「うん。また、来るよ」
リーリシアは、僕の額にそっと口づけた。
「おめでとう、リョウ」
…目を開けると、聖堂の中だった。
誰もいない空間に、僕だけが立っていた。
「ただいま」
僕は小さく呟いて、そっと立ち上がった。
まだ胸の奥に、神々の声が響いている。
誕生日は、いつも特別だけど、今年はもっと…心に深く残った。
「今年もずいぶん届いてるなぁ……」
僕の部屋には、贈り物の山が積まれていた。綺麗な包み紙に、金のリボン、銀の封蝋。貴族たちから例年通り、山のようにプレゼントが届いていた。贈り主の名前が添えてあって、去年と同じものも多かったけど、見覚えのない名もある。中には、僕より年下の子からの贈り物も。
「覚えきれないなぁ…」
「リストにしておきました」
「ありがと、ストーク。ナビは?」
「はい。アレクとボルクが面倒を見ています」
「そうか。それはありがたいな」
しばしリストを見ているとタウンハウスの召使いが入ってきた。
「ニメイジ家のラーモン様、ミシェレル様がご到着です。こちらにいらっしゃる模様です」
「わかった。ありがと!」
ノックの音がする。どうぞ、と言った。
「リョウー。おめでとー」
そう言って部屋に入ってきたのは、姉のミシェレルお姉さんだ。明るい色のドレスに、にこやかな笑顔。そしてその後ろに、旦那さんのラーモンさんが控えていた。
「やあ、リョウエストくん。八歳、おめでとう」
「ラーモン兄さん、ありがとう。お姉さんも来てくれて嬉しいよ」
「去年と同じね。あなたの誕生日には、できるだけ来たいから到着はこの日にしたの」
「ありがと」
「リョウ、元気だった?無理してない?」
「元気だよ。無理してないよ。ミシェ姉さんは?」
「私は元気よ。今年も社交、がんばるわ」
「うん。頑張って」
「リョウエスト君、これ我々からだ」
ラーモンさんは、手に持っていた包みを僕に渡した。開けると、中には食器セットだった。なにこれ、季節ごとの風景が皿に表現してある。料理のせてみたいな。
「これはうちの陶工の新しい作品だ。料理が映えるように作ってある。是非使ってくれ」
「わぁ、ありがとう…!これセンス良いなあ。大事に使うよ!」
しばらくして、マックスさんが現れた。奥様のレイアムさんは、優しい顔で微笑んでいる。マックスさんは僕に箱を渡してくる。
「今年も立派に育ったな、リョウ」
「あなたが毎年成長するのを見るのが、私の楽しみなのですよ」
「ありがとうございます。あの、これ…受け取っても?」
「もちろん」
マックスさんとレイアムさんのプレゼントはかなり小さい時計だった。持ち運ぶのにはちょっとだけ大きいが、前に比べてかなり小さい。
「これはルステインで一番の技師が作った時計だ。すごく小さいだろ?この国でこれより小さい時計は今のところないと思う」
「ありがとう、マックスさん、レイアムさん」
「何事もやりすぎないようにするのが肝心だ。この時計でちゃんと自己管理してほしい」
「うん」
皆が僕の成長を喜んでくれる。それが少し、くすぐったくて、でも嬉しい。
誕生日の祝いが一段落すると、僕は王都の宗教区にある聖堂へ向かった。
「ひとりで行ける。というかひとりで行かせてくれる?」
そう言って、護衛たちには外で待ってもらった。
聖堂の中は、静かで広くて、天井の高いドームに光が差し込んでいた。中央の祭壇には、白銀の像――主神リーリシアが立っていた。誰よりも美しく、優しく、強く、僕の『妻』でもある神様だ。
僕は、ひざまずいて、目を閉じた。
「…来たよ、リーリシア。僕、今日で八歳になった」
その瞬間、意識がふっと浮かんだ。
気がつくと、僕はあの場所にいた。
空がない空間。リーリシアが、そこに立っていた。美しさと神々しさが溶け合った姿。
「ようこそ、リョウ。お誕生日、おめでとう」
リーリシアは優しく微笑んで、僕を抱きしめてくれた。あたたかくて、香りがして、ほんとうに、ここが好きだ。
「ありがとう、リーリシア」
「三年。あなたがこの地に降りてくれて、私はずっと見守ってきたの。今日まで無事に、立派に育ってくれて、ありがとう」
「まだ、全然立派じゃないけど…頑張ってるよ」
「知ってる。誰よりも、私は知ってる」
そのとき、光の中から六柱の神々が現れた。僕と関わりの深い六神。
「お誕生日おめでとう、リョウエスト!」
「まだ小さいけど、芯は強くなってきてますね!」
「私の加護、ちゃんと使ってくれてる?」
「誠実に歩んでる君を、誇りに思うよ」
「無理はするなよ。お前が倒れたら、リーリシアが泣くぞ」
「成長が楽しみです。来年も来て欲しいです!」
みんなが、順番に声をかけてくれる。冗談交じりだったり、真面目だったり。でも、どの言葉も、胸の奥に届いた。
僕は思わず、涙ぐんでしまった。
「…ありがとう。僕、もっと頑張る。もっとみんなと…リーリシアと一緒にいたい」
リーリシアが、僕の手を包み込む。
「私たちも、あなたと共にある。けれど、時間よ。もう、戻らなければならないわ」
「うん。また、来るよ」
リーリシアは、僕の額にそっと口づけた。
「おめでとう、リョウ」
…目を開けると、聖堂の中だった。
誰もいない空間に、僕だけが立っていた。
「ただいま」
僕は小さく呟いて、そっと立ち上がった。
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誕生日は、いつも特別だけど、今年はもっと…心に深く残った。
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