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8歳の旅回り。
名の一団の敗北。
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かつて「名の一団」と呼ばれた秘密結社は、記録を自在に操る恐るべき能力を持っていた。歴史文書、系譜、族譜…あらゆる正式記録を改竄し、標的の名前を消し去る。消せない相手には暗殺を仕掛け、存在を完全に消すという恐怖の手段で支配を築いていた。
リョウエスト・バァン・スサン(8歳)。その名が標的となるのも常だった。今回もまた、彼の記録を徹底的に抹消しようと関係者が動き始めた。だが王都の隅々に名が書き残されていく不可思議な逆現象が起きた。新たに功績を記録しようとする者が増え、暗殺を企てても、青の技や陽炎隊、水竜人たちの精鋭たちが護衛を固め、結局作戦は失敗に終わる。
エメイラが険しい顔で報告する。
「リョウ、暗殺犯が接近したけど、ミザーリと陽炎隊の迅速な動きで防げたわ」
リョウエストは静かに呟く。
「記録を消す者ほど、逆に名を残したくなるのかもしれないね……」
ストークが巻物に目を落としながら言った。
「しかも、消そうとした書類に新たな記述が追加されてます。リョウエスト・バァン・スサンとして…王命により非設立官職が記されてる」
青の技のアインスが苦笑した。
「こりゃ名の一団、相当慌ててやすな。逃げる前に名前が拡散してやす」
名の一団からの暗殺と抹消工作は続いたが、一方で六種族の連携と情報網を駆使して、彼らの暗躍は徐々に表面化していく。報告の紙片には次のような文言があった。
「記録に残らぬ者こそが支配者」
「存在を消せば、国の枠組みを操れる」
「選民たる貴族派の理想を実現するため」
しかし、今、リョウエストと仲間、精鋭たちが組織した連合情報網によって…標的の記名は次々に復活し、改竄されていた記録は復元されつつあった。名の一団の影は、次第に日の下に晒され始めたのだった。
名の一団は追い詰められた。王国領中の登録官、司書、調査商会のヤートまでもがリョウエストと六種族への協力を申し出てその動きを封じた。地下に逃げ込もうとする結社メンバーを、六種族の精鋭…地装隊、風撃隊、水波隊、小刃隊、獣爪隊、陽炎隊、青の技、陽炎隊以外に陽炎隊の別隊、エルフ狩り対策隊、水竜人の密偵隊までが、持ち味を活かして連携し、包囲網を形成する。
ドワーフ伯グラドが前線で声を張る。
「地下道から出るな! 我らの地装隊が封鎖! 外壁と連携して封じ込める!」
エルフ伯は空を見据え指示。
「風撃隊、風の視線で地下からの動きを探れ。逃げ道の先まで読んで動くぞ」
小人伯が声高に言う。
「小刃隊は暗闘用に小回り利く道具を準備! 地面の塞がり具合も調査済みだっ!」
水竜人伯が語る。
「水波隊が下水路や地下水路を清掃しつつ、逃亡ルートを封じる。水流で仕掛けも封じるぞ!」
獣人伯が吠えるように指示。
「獣爪隊、匿名の通路を把握せずとも匂いで追跡だ! 鋭爪で鍵もこじ開けよう!」
ストークが地図を広げて前夜の会議を回想。
「暗殺と改竄仕事の拠点はここ、ここ、そしてここ。名簿が秒単位で書き換えられる場所です…でも司書たちが協力して現場を押さえてあります。」
エメイラは冷静に魔術の火を灯しながら言った。
「地下の拘束室には魔法の印が施されている予定よ。奴らは記録が消えるように使おうとした、禁忌の魔法道具ね。でも解除できるわ」
陽炎隊のエルグナが拳を握った。
「記録も暗殺も…もう通用しないわ。奴らの闇を、光の連携で断ち切ります!」
数日かけて地下深く、名の一団は徹底的に追いつめられた。最後に残った上級貴族派重鎮数名と高官たちが名を暴かれ、処刑の対象となる。彼らは選民思想に染まり、排他主義を掲げた王国内部の者たちだった。
最終決戦の朝、捕縛された主犯たちは王城広場に引き出された。市民、異種族代表、王族、貴族、庶民…全員がその場に集まった。壇上に立たされた重鎮らは震え、だが王の声は鈍く冷たい。
「ここに引き出された者らは、『名の一団』の中枢であった。記録を操り、消えるべき存在を命を以て排除しようとした者たちだ!」
王の一声に、広場が静寂に包まれる。陽光が額縁のように名を晒す。記録官が読み上げる。
「第一の主犯…貴族派重鎮ロードリン伯爵」
「第二の主犯…上級高官チェルボ運輸卿」
「第三の主犯…内務大臣カリオス卿」
「その他多数…総勢二十名以上!」
リョウエスト・バァン・スサン(8歳)の名も改めて記録され、王命として各種族代表が立ち合い署名した。これらが正式な王国の記録に刻まれる。
王は低く言った。
「彼らは選民思想に酔い、他の命を『名のない影』として排除せんとした。しかしその思想こそ、最も恐るべき『名の呪い』だ。故にその名は、記録に残し続ける。消えず、忘れられず、生涯『名の一団』の主犯として記す」
刃を上げた秩序が確かに勝利した瞬間だった。エルフ伯やドワーフ伯も獣人伯も水竜人伯も小人伯も火の民伯も、静かに名を読み上げて頷いた。
エルフ伯の声は静かだったが力強かった。
「歴史に記すことでこそ、同じ過ちを繰り返さぬ。名を消す者こそ最も記すべき対象となる」
ミザーリが近くで呟いた。
「名前を奪おうとした者を、名前を奪わずに裁く…それこそ正義だね」
ナビは静かに羽ばたきながら鳴いた。
「にゃーっ。にゃにゃ」
記録官が最後に行った宣言。
「これより名の一団の正式裁判を経て、死刑及び名誉剥奪の記録を整備し、『名の一団』という言葉とともに永遠の戒めとする」
広場に聖鐘が鳴り響き、多くの種族の代表たちが深く礼をした。リョウエストは静かに胸を張り、仲間たちと顔を見合わせた。
名を奪おうとした影の連中は…今や名を賭した正義に敗れ、歴史の記録にその名を刻まれて消えるどころか、永続的に残される存在となったのだった。
リョウエスト・バァン・スサン(8歳)。その名が標的となるのも常だった。今回もまた、彼の記録を徹底的に抹消しようと関係者が動き始めた。だが王都の隅々に名が書き残されていく不可思議な逆現象が起きた。新たに功績を記録しようとする者が増え、暗殺を企てても、青の技や陽炎隊、水竜人たちの精鋭たちが護衛を固め、結局作戦は失敗に終わる。
エメイラが険しい顔で報告する。
「リョウ、暗殺犯が接近したけど、ミザーリと陽炎隊の迅速な動きで防げたわ」
リョウエストは静かに呟く。
「記録を消す者ほど、逆に名を残したくなるのかもしれないね……」
ストークが巻物に目を落としながら言った。
「しかも、消そうとした書類に新たな記述が追加されてます。リョウエスト・バァン・スサンとして…王命により非設立官職が記されてる」
青の技のアインスが苦笑した。
「こりゃ名の一団、相当慌ててやすな。逃げる前に名前が拡散してやす」
名の一団からの暗殺と抹消工作は続いたが、一方で六種族の連携と情報網を駆使して、彼らの暗躍は徐々に表面化していく。報告の紙片には次のような文言があった。
「記録に残らぬ者こそが支配者」
「存在を消せば、国の枠組みを操れる」
「選民たる貴族派の理想を実現するため」
しかし、今、リョウエストと仲間、精鋭たちが組織した連合情報網によって…標的の記名は次々に復活し、改竄されていた記録は復元されつつあった。名の一団の影は、次第に日の下に晒され始めたのだった。
名の一団は追い詰められた。王国領中の登録官、司書、調査商会のヤートまでもがリョウエストと六種族への協力を申し出てその動きを封じた。地下に逃げ込もうとする結社メンバーを、六種族の精鋭…地装隊、風撃隊、水波隊、小刃隊、獣爪隊、陽炎隊、青の技、陽炎隊以外に陽炎隊の別隊、エルフ狩り対策隊、水竜人の密偵隊までが、持ち味を活かして連携し、包囲網を形成する。
ドワーフ伯グラドが前線で声を張る。
「地下道から出るな! 我らの地装隊が封鎖! 外壁と連携して封じ込める!」
エルフ伯は空を見据え指示。
「風撃隊、風の視線で地下からの動きを探れ。逃げ道の先まで読んで動くぞ」
小人伯が声高に言う。
「小刃隊は暗闘用に小回り利く道具を準備! 地面の塞がり具合も調査済みだっ!」
水竜人伯が語る。
「水波隊が下水路や地下水路を清掃しつつ、逃亡ルートを封じる。水流で仕掛けも封じるぞ!」
獣人伯が吠えるように指示。
「獣爪隊、匿名の通路を把握せずとも匂いで追跡だ! 鋭爪で鍵もこじ開けよう!」
ストークが地図を広げて前夜の会議を回想。
「暗殺と改竄仕事の拠点はここ、ここ、そしてここ。名簿が秒単位で書き換えられる場所です…でも司書たちが協力して現場を押さえてあります。」
エメイラは冷静に魔術の火を灯しながら言った。
「地下の拘束室には魔法の印が施されている予定よ。奴らは記録が消えるように使おうとした、禁忌の魔法道具ね。でも解除できるわ」
陽炎隊のエルグナが拳を握った。
「記録も暗殺も…もう通用しないわ。奴らの闇を、光の連携で断ち切ります!」
数日かけて地下深く、名の一団は徹底的に追いつめられた。最後に残った上級貴族派重鎮数名と高官たちが名を暴かれ、処刑の対象となる。彼らは選民思想に染まり、排他主義を掲げた王国内部の者たちだった。
最終決戦の朝、捕縛された主犯たちは王城広場に引き出された。市民、異種族代表、王族、貴族、庶民…全員がその場に集まった。壇上に立たされた重鎮らは震え、だが王の声は鈍く冷たい。
「ここに引き出された者らは、『名の一団』の中枢であった。記録を操り、消えるべき存在を命を以て排除しようとした者たちだ!」
王の一声に、広場が静寂に包まれる。陽光が額縁のように名を晒す。記録官が読み上げる。
「第一の主犯…貴族派重鎮ロードリン伯爵」
「第二の主犯…上級高官チェルボ運輸卿」
「第三の主犯…内務大臣カリオス卿」
「その他多数…総勢二十名以上!」
リョウエスト・バァン・スサン(8歳)の名も改めて記録され、王命として各種族代表が立ち合い署名した。これらが正式な王国の記録に刻まれる。
王は低く言った。
「彼らは選民思想に酔い、他の命を『名のない影』として排除せんとした。しかしその思想こそ、最も恐るべき『名の呪い』だ。故にその名は、記録に残し続ける。消えず、忘れられず、生涯『名の一団』の主犯として記す」
刃を上げた秩序が確かに勝利した瞬間だった。エルフ伯やドワーフ伯も獣人伯も水竜人伯も小人伯も火の民伯も、静かに名を読み上げて頷いた。
エルフ伯の声は静かだったが力強かった。
「歴史に記すことでこそ、同じ過ちを繰り返さぬ。名を消す者こそ最も記すべき対象となる」
ミザーリが近くで呟いた。
「名前を奪おうとした者を、名前を奪わずに裁く…それこそ正義だね」
ナビは静かに羽ばたきながら鳴いた。
「にゃーっ。にゃにゃ」
記録官が最後に行った宣言。
「これより名の一団の正式裁判を経て、死刑及び名誉剥奪の記録を整備し、『名の一団』という言葉とともに永遠の戒めとする」
広場に聖鐘が鳴り響き、多くの種族の代表たちが深く礼をした。リョウエストは静かに胸を張り、仲間たちと顔を見合わせた。
名を奪おうとした影の連中は…今や名を賭した正義に敗れ、歴史の記録にその名を刻まれて消えるどころか、永続的に残される存在となったのだった。
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