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第1章
不貞腐れたロディ様
しおりを挟むそう、父が怒っていたので特に言えなかったけど、私から言えば父も元凶の一人。
勝手に決めた婚約者がお茶会でまともに話さえしないと何度八つ当たりしたくなったか。
でもそんな私の想いを先に母が代弁してくれた。きっと今までも結婚した後のことも考えてくれていたんだろう。これだけで自分が大切にされていると実感してしまう。自分よりも怒ってくれている人がいるとわかるとこれ以上怒ることはできないもので。
「離縁!???でもそうか……結婚したらあちらの家も家族になったわけで……
その………サリー、すまなかった」
さっきまで鼻息荒く、怒りを露わにしていた父も、母の言葉に我に返ったのか、息を呑み、今度は肩を落としてしまった。そして弱弱しい声で私に謝ってくれる。
でもこれで終わるのならしっかり怒ってくれたし、もういいの…
「もういいです。でも、次はやめてください。
特に婚約・結婚は今後の私の人生です。一人で勝手に決めないでください」
「わかった…ほんとうにすまなかった……」
こんなに弱弱しい父を見るとなんだか可哀想になってしまうけど、でも本当に悪いのはドルマン侯爵家。
これからどうなっても自業自得。
パーティーから帰った父はそのままの足で執務室に籠り、婚約破棄の申立書や婚約破棄に伴う慰謝料請求書、支援金返済要求書などを作成した。あわせて、業務提携破棄の契約書、店舗移転に伴う従業員の異動要請を執事に指示していた。1週間以内にドルマン侯爵領で行っていた20もの店舗を閉店することにしたのだ。その代わりにその店舗で働いていた従業員の了承が得られれば、我が領や他領で新たに開店する店舗で働けるように手筈を整えるように店長達に通達を出した。
帰ってきてからそんなことをやっている間にもドルマン侯爵が謝罪と称してやってきた。きっとまた父を誑し込みにやってきたんだろうが、我が家の優秀なトムが入れるはずがない。
一度目の侵入をかなり悔やんでいたトムが入れるわけがないの。
それに、さすがの父でもあんなことがあった後では泣き落としでも許すはずがない!……たぶん。
1時間くらいは粘っていたかと思うが、諦めたのか帰って行った。
それを見届けたトムが「ロディ様の左頬が腫れ、不貞腐れていらっしゃいました」と教えてくれた。
左頬の腫れはきっとぶたれたのでしょうね。
でも不貞腐れてって………いまだ反省はしていないようだし、勝手にすればいいと思う。というか、できれば謝罪なんて欲しくもないから、家に来ないでほしい。
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