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第1章
娘を不幸にするようでしたら私たちはそれ相応の対応をさせて頂きます
しおりを挟む「お父様、ドルマン侯爵令息との婚約はナシェルカ伯爵家にはなんのメリットもありませんでした。特にお父様が陞爵を断っていたのならなおのこと!私は侯爵家との繋がりはあったほうが伯爵家の為にいいと思ったから耐えていたんです。
しかし、フレッド様との婚約にはメリットしかございません。私も貴族の娘です。自分の気持ちだけで結婚したいと願ったことはございません。しかし、せめてメリットがある婚約がいいとは望んでいました。それがこんな形で提案頂けるのであれば、それは歓迎いたします。これは自分を犠牲にしているのではありません。どちらかというとこれも売り込みの一つなのです!」
私が父にこう言い切ると目の前に座っているフレッド様が笑いを堪えて…いえ、はっきりと笑ってらっしゃる。
「サリー…あなた、婚約を申し込んでくださった殿方の、しかも王子殿下の前でいう言葉じゃないと思うわよ…」
私の言葉を受けて母が呆れたような顔を私に向けている。
あら?私なにか間違ったかしら。だってフレッド様だって私を愛しく思ってくださって結婚するわけではないのだし失礼ではないわよね。でも淑女が心の内を明かすべきではなかったかしら。
「フレッド様、大変失礼いたしました…」
「いや、構わないですよ。くくっ...伯爵、サリー嬢はこのように言っているが、了承いただけますか?」
父はそれでも不安気に母を見るが、母がこくんと頷くと観念したような顔になり、一つ息をはいてフレッド様に答える。
「はぁぁ……
畏まりました。しかし、サリーは大事な私たちの娘です。王子殿下といえど娘を不幸にするようでしたら私たちはそれ相応の対応をさせて頂きますので、そのようにご承知おきください。」
厳しい顔をしながら念を押す父。
お父様………………
その対応を何故ドルマン侯爵にしなかった!?根本的に間違ってる!
「畏まりました。サリー嬢を必ず幸せにすると誓います」
フレッド様がそのように言い、私に微笑まれる……
あぁ、かっこいい人はなにを言っても絵になる……
もうその一言だけでいい気がしてしまう……
そう私が空想の世界へ飛び立とうとしているとフレッド様が目の前に歩いてきて、思考を引き戻されてしまう。
「サリー嬢、領地改革へ向ける探求心、それを実行し、売り込みをかけ、一つの産業とする手腕。全てにおいて尊敬しております。どうかこれからの人生、その手腕を私と共に存分に発揮してほしい。そしてナシェルカ伯爵領をこれからも発展させていってほしい。どうか私と婚約してください。」
手の上に小さな箱を乗せて、その中に青く輝く石がついたリングを見せながら、そう言ってくれる。
これは何度夢で見ても、そのたびににやけてしまえる程の威力……
かっこいい人って素晴らしい……
「フレッド様、私だけでは伯爵領を背負っていくには力不足です。どうかそのお力を貸してください。
どうぞ、これからよろしくお願いいたします……」
こうして年に一度の一番大きな催しから始まった怒涛の展開は、私の2度目の婚約ということで幕を閉じた…
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