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第1章
笑わないで聞いて
しおりを挟む「あの、フレッド様?お話したくないことはお話されなくても…「サリー、この後部屋に行ってもいい?さっきのことをちゃんと話す」」
少し苦そうな顔をしながらフレッド様が私の手をギュッと握り、そう言う。
「畏まりました。ではお茶の準備をしてお待ちしておりますね」
玄関まで私の手を引いてくれたフレッド様といったん別れ、私は自分の部屋へ、フレッド様はお父様の執務室へ今日の報告へ行った。
フレッド様はこうして父との会話を大事にしてくれ、一緒に政策や対策を考えてくれている。
私は一緒についてきてくれたアンにお茶の準備をお願いする。
父への報告がどれくらいかかるか分からないから、お茶はいつでも入れれるようにだけしてもらって。
私が椅子に腰掛けたところで、ドアをノックする音が聞こえてくる。
予想よりもかなり早いけど、きっとフレッド様だろう。
アンがドアを開けるとやはりフレッド様で、お茶を出してもらい、アンには席を外してもらう。
フレッド様は私の隣に腰をかけ、アンが準備してくれたお茶をごくごくごくと一気に飲み干した。
なんだか緊張しているように見えるのは私なのか。それともやはりまだ機嫌が悪いのか。
それでもお話をしたいとおっしゃったのはフレッド様。私はフレッド様がお話を始めるのを待ち、カップに口をつけて待つ。
でも…………………そんなにこのカップ大きくない……お茶がなくなってしまう……
そんな変などぎまぎを胸の中で抱えていると、フレッド様のか細い声が聞こえてくる。
「サリー、、、その笑わないで聞いてくれる?」
正直まだ話しを聞いていないので笑うか笑わないかはわからないけれど、とりあえず今の空気では笑えそうにもない。
「はい。もし面白い話であっても笑わないよう努力致します」
「………面白くはないと思うんだけど、、、その、、僕らが初めてあったのは王誕祭の時だよね。サリーのエスコートをできるようにデイヴに頼んで、そこで出会ったのが初めてだったと思う」
「はい、そうですね。
そのように記憶しております」
「でも僕はその前から何度もサリーの話しをデイヴから聞いてた。綺麗な子だけど、領地の特産品に関してとても深い知識を有し、特産品のことを聞くと目を輝かせて話し出すと。そのほかにもご令嬢とは思えないほどの知識があり、マナーも公爵家にも引けを取らないと。」
そう言えば、初めてお会いした時にデイヴから話しを聞いてたと言っていた。でも織物のことだけでなく、そんなことまで…
「そうですか…デイヴが…」
なんだかデイヴが少し恨めしい気がする。私の知らない人に領地のものに関して目を輝かせて話すだなんて、令嬢としてはあるまじき行為を吹聴して回っているだなんて…
「そう。だから興味を持った…以前そう話したよね。」
「そうですね。伺いました」
このぐらいの内容なら初めて我が家に来て頂いた時の話しと一致する。
だからこんなにも気まずそうにしているフレッド様と合わない気がする。
「………でも実はそれだけじゃなくて……その、、、一度学校に君を見に行っているんだ…
デイヴが話す女の子がどんな子なのか、見てみたくって…」
これは初めて聞いた。
学校自体は卒業生が先生に挨拶に来たり、就職相談だったりと、割と出入りは多いから知らない人が来ていても特に気にはならない。特に私はフレッド様の顔を知らなかったのだ。もしもすれ違っていたとしても覚えていないと思う。いや、こんな綺麗な人、忘れていない気もするけれど……ただ、それくらいならべつに隠すようなことでも、恥ずかしく思うことでもない。正直「そうなんですね」の一言で終わってしまいそうな話しだ。
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