【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】

暖夢 由

文字の大きさ
146 / 166
第2章

話し出した事実①

しおりを挟む

「申し訳ありません…全てお話しいたします。ですがどうかひとつだけ。
こんなこと頼める立場でないのはもちろん承知です。ですがどうか、、、、家族は……どうか、、見逃してください……お願いします!!どうか……どうか……」

「とりあえず先に話を聞こう。ただし、もし虚偽があった場合、こちらとしては即刻王家に君も家族も引き渡しことにする。くれぐれも虚偽がないように」

その言葉にポツポツと話しだした内容は聞くだけで気分が悪くなるような内容だった。

まず予想通りだったのは、私を襲おうとしたことは第4王女から指示されたからだと言うこと。
だが肝心なのはなぜ彼女が王女に従ってしまったかと言うこと。もちろん王女という立場の前には従うしか、他なかったんだろう。だがそれ以上の恐怖を彼女は感じていた。
7歳の時にパーティーで男性に褒められてしまった。それがために、ただそれがために、彼女は王女に目をつけられてしまった。そして嫌がらせが始まった。

でもそのぐらいならよかった。自分は伯爵家の長女でもない。跡継ぎでもない。だから王女のこれ以上の不興を買わない為にも、社交界に出なければ良い、そう思っていた。
でもそんなセレーン嬢の思惑とは裏腹に、社交界にでなければ王女からの招待状が届いた。皇女からの招待状が届くと、当主である父に参加しろと叱責される。社交界では侮辱され、ドレスにジュースをかけられることだって何度だってあった。

そんな社交の場での嫌がらせでは満足できなくなったのか、王女からメイドとして採用したいと言う申し出が伯爵家にあった。それを受けた父は嬉々として王女に会いに行った。そして相場より多い契約金を受け取ってしまった。

「私はその料金で王女に売られたのです。それからは最下級の仕事を割り振られ、水仕事ばかりで、荒れている手のまま社交の場に必ず参加させられました。そんなにしてもまだ何が気にいらないのか、ある日私が部屋で寝ていると部屋で物音がし、1枚の衣類も身にまとわない男の人がそこにはいました。その人は普段、王女の寝室に出入りしている方の1人で、誰の差し金かなんてすぐにわかりました。けれどわかったところでどうしようもできなかった。王宮の中に住んでいる私に逃げる場所なんてない。逃げようとしたところで表に兵士がいたらきっと捕まえられる。逃げることなんてできなかった。ただただ溢れ出る涙を流して、ニヤニヤとする男の顔を見ながら、気持ち悪さとその痛みにただ耐えるだけ。

男がいつ帰ったかも分からないけれど、ぼーっとして朝になっても、シーツが汚れていたって、誰が変えてくれるわけでもなく、男の欲求が体中を汚していても、誰が清めてくれるわけでもない。

こんな状況を作ってしまった自分を呪うしかできなかった。

それなのに王女の気が済むことなんてなくって、次は他の令嬢を男に襲わせる手伝いをしろと言ってきたんです。もちろん最初は断りました。でもそうすると妹のセリーヌを襲わせると言ったんです。まだ12歳になったばかりの妹を男に襲わせると。

そんなことどうしても許せなかった。

父は女は自分の道具としか思っていない。それでも私たちは、母と妹3人で協力してどうにか助け合ってきた。もしも王女が妹を襲わせようとしているだなんて父に言ったところで助けてくれるとは限らない。それどころか慰謝料としてお金だけ受け取って何もなかったことにする可能性の方が大きかった。お金ではとても片付けられないことなのに。そんなことを当たり前にする父だから私が妹を守らなきゃと思ったんです。

だからといって他の人を傷つけたかったわけではない。謝っても許されないことをしたとわかっています。でも私には当時、いえ、今だって他にどうしたらよかったのかわからない。他の方法なんて私にはなかった………


どうかお願いします。

お願いします。罰は私だけで、家族は知らないのです。

お願いします。どうか、どうか……」
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

悪役だから仕方がないなんて言わせない!

音無砂月
恋愛
マリア・フォン・オレスト オレスト国の第一王女として生まれた。 王女として政略結婚の為嫁いだのは隣国、シスタミナ帝国 政略結婚でも多少の期待をして嫁いだが夫には既に思い合う人が居た。 見下され、邪険にされ続けるマリアの運命は・・・・・。

良いものは全部ヒトのもの

猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。 ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。 翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。 一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。 『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』 憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。 自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

謹んで、婚約破棄をお受けいたします。

パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

【完結】優雅に踊ってくださいまし

きつね
恋愛
とある国のとある夜会で起きた事件。 この国の王子ジルベルトは、大切な夜会で長年の婚約者クリスティーナに婚約の破棄を叫んだ。傍らに愛らしい少女シエナを置いて…。 完璧令嬢として多くの子息と令嬢に慕われてきたクリスティーナ。周囲はクリスティーナが泣き崩れるのでは無いかと心配した。 が、そんな心配はどこ吹く風。クリスティーナは淑女の仮面を脱ぎ捨て、全力の反撃をする事にした。 -ーさぁ、わたくしを楽しませて下さいな。 #よくある婚約破棄のよくある話。ただし御令嬢はめっちゃ喋ります。言いたい放題です。1話目はほぼ説明回。 #鬱展開が無いため、過激さはありません。 #ひたすら主人公(と周囲)が楽しみながら仕返しするお話です。きっつーいのをお求めの方には合わないかも知れません。

処理中です...