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7.連れてこられた場所
しおりを挟む少し歩くとそこには荷物を運ぶような小さな馬車があった。その荷台に、近くの小屋で飼われていた馬をつなぎ、御車席に座った。
私はどうしたらいいかわからずきょろきょろとしていると
「あんたはどうする?横に座るかい?それとも荷台に乗るかい?」と声がかけられた。
私は黙って女性の横に座る。
だってこんな経験はきっともうないと思うのに、後ろにいるなんて絶対損だと思う。
それに女性に聞きたいこともあるのに。
私が隣に座ったのを見計らって、女性は馬車をすすめた。
早いわけではないけれど、だからこそ風が気持ちがいい。
馬車が進み出して、女性は「ジャリッタ・ドコモサだ」と名前を教えてくれた。
そうだ、確か母はこの女性の事を”リッタ”と呼んでいた。
それからいろいろと話をしながら3日間、2人で馬車に揺られた。
途中の町で休憩しながら、ゆっくりとした時間が過ぎていく。
どこに向かっているのかと思っていた馬車は3日間走り続け、大きなお屋敷の前に止まった。
3日もかけて馬車で向かうような場所。記憶にないのに、懐かしい匂いのする場所。
きっと私はずっと昔ここに来たことがある。
そう考えていると、リッタさんが門番の方に何か話していた。そして門番が中に確認に行って少しすると、戻ってきて門を開けた。
どうやらリッタさんはこの屋敷の方と知り合いらしい。
開いた門の中をリッタさんは馬車のまま進んでいく。
すると玄関には人が集まり、こちらを見ていた。
リッタさんはそんなに凄い人なのかしら。
そう思っていると馬車が止まった瞬間、ドレスを来た女性が馬車に近寄り
「ナタリア?ナタリアなの?顔を見せて」
そう私の名前を呼んで心配そうに私の顔に手を当て、顔を覗き込んでくる。
覗き込んでくる心配そうな顔。この顔知ってる。
母とどこか似た雰囲気で母と同じように笑うと目尻に3本線ができる女性。
ネックレスの中で母と共に笑っている女性。
「お、おばあさま?」
「あぁぁ!!ナタリー、逢いたかった。ようやく逢えた。こんなに痩せてしまって。おいで」
まだ御車席にすわったままの私にだきついてくる祖母。
どういうことなのか。
だって母が亡くなって一度も逢いにもきてくれなかった祖母がこんなに心配してくれていた?私なんてどうでもいいんじゃないの?
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