66 / 248
幕間 ──導かれし者たち──
第64話 side 影山孝太郎① ──高校生、クラスごと異世界転移する──
しおりを挟む
春の午後。
窓から差し込む陽光が、教室の床をまばゆく照らしていた。
都内私立・西都学園高校の1年3組。四月の新学期が始まってまもない午後のことだった。
午後の授業が始まる五分前。
教室には、昼休みの余熱がまだ揺らめいていた。
窓の外では、春の陽射しがぼんやりと差し込んでいる。
桜の花びらはもう散り終えて、遠くの校庭にちらちらと舞う影もない。
代わりに、教室内ではまばゆい日差しが反射して、ざわつく机や椅子の音、スマホの電子音がけだるく混じり合っていた。
「ねぇねぇ、ミオってさ、これ知ってる?原宿の"フォトンカフェ"。めっちゃ映えない?」
前列の左側、窓際から三番目あたり。
艶やかな茶髪をゆるく巻いた女子が、スマホを覗き込みながらはしゃいでいた。名前は高崎ミサキ。
髪色に負けず劣らず、声も明るくはじけていた。
「え~~めちゃくちゃ可愛い~っ♡うちらも行こ行こ!てか制服で行ったら最強じゃね?」
隣に座る内田ミオが、画面を覗き込みながら顔を近づける。
長めのカラコンと睫毛の影が、画面の光に照らされてキラキラと揺れた。
「マジで?じゃあ日曜ヒマ?さっちゃんも来るっしょ?」
「あー、ワンチャンいけるかも~。てかミサキ、またストーリー撮ってるし~笑」
最後に応じたのは、少し落ち着いた雰囲気の佐倉サチコ。
それでも指先はスマホを器用に滑らせ、タイムラインに流れるカフェやコスメの動画を流し見している。
女子三人組の笑い声が弾けるたび、空気が軽く跳ねる。
──だがそれをどこか、舞台裏から眺めるように見ていた者がいた。
教室の一番後ろ、窓際の席。
いわゆる“主人公席”。
そこに座る男子──"影山孝太郎"は、肘をつきながらその光景を眺めていた。
手元のシャーペンは回すでもなく、ただ親指と人差し指の間でゆるく揺れているだけ。
(……元気だな、ほんと。あいつら)
思っただけで、口には出さない。
出しても、誰かが反応するとは限らないからだ。
視線を少し右にずらす。今度は別の騒がしさが耳に入る。
「だからよ!この前の『異世界メシ神様』、チート過ぎだろ!?野菜洗っただけでスキル爆上がりとか、作者どうしたよ!」
「いやいや、俺は逆にアレ好きだわ。チートって言うか、もう神だしな、あいつ!」
「そもそも“野菜を洗うだけ”って日常の美学だから!異世界でリアル路線に振り切るってマジあり」
「わかる!あと、ヒロインのリリィたんが合法ロリ過ぎて最高!」
前列右側、机を四人で囲むように座るオタクグループ。
メンバーは、快活なオタボイスの石田ユウマ、ちょっとぽっちゃり気味の藤野マコト、メガネがずり落ちそうな久賀レンジ、そして一見まともそうな西條ケイスケ。
会話の内容は……まあいつも通り。
だが、耳を塞ぐ気にはなれなかった。むしろ、慣れてしまっている自分がいた。
(それにしても、異世界ねぇ……)
孝太郎は、ため息混じりに窓の外へ目を向けた。
流れる雲の形を目でなぞる。
しばしの無言。
彼の存在は、まるで風のようにクラスの誰にも引っかからず、通り過ぎていく。
良くも悪くも、“普通”で、“そこそこ”。
勉強も運動もできる方だ。
顔だって、悪くはない。
……だが、何かが足りない。
主に、存在感が。
それを彼自身が、最もよく分かっていた。
(まあ、俺には関係ない話か)
目を細めたそのときだった。
「……あーもう!鬼塚、またそんな座り方してる!」
教室の前の方で響いた声に、孝太郎は思わず顔を上げる。
声の主は、クラスの女子委員長、天野唯。眼鏡の奥の瞳が怒りで細くなっている。
「ああ~、こりゃ落ちても知らねーぞ~。背もたれギシギシじゃねーかよ、あれ」
と、隣の男子委員長、佐川颯太が苦笑しながら続けた。
二人が見ているのは、教室後方、廊下側最後尾の席。
──鬼塚玲司。
机に足を投げ出し、椅子を後ろにギシギシと揺らしながら、両手を頭の後ろで組んでいる。
口元にはいつものように無愛想な線だけが浮かんでいた。
天野唯が詰め寄ろうと一歩踏み出しかけた時、鬼塚はちらりとこちらを見やる。
……目が合った。
……様な気がした。
(うわっ)
孝太郎は思わず視線を逸らした。
まるで小動物のように、咄嗟に逃げる本能が働く。
(今時こんなテンプレ不良、ホントにいるんだな……)
そんな思考が頭をよぎる。
でも、たぶん、誰もが鬼塚には触れない。関わらない。
そういう空気だった。
そして、そんな彼を少し離れた席から観察している自分もまた──
誰からも、触れられない存在だった。
(……まぁ、俺も似たようなもんか)
孝太郎は、小さく笑った。
誰にも見られない笑みを、こっそりと、ひとりで。
──それは、変わらぬ日常のはずだった。
だが、このあと訪れる“非日常”が、すべてを一変させるとも知らずに。
◇◆◇
鬼塚玲司が投げ出した足を降ろすことはなかった。
天野唯の声にも、佐川颯太の苦笑にも、一切の反応を示さず、ただ窓の外をじっと見ていた。
教室の喧騒のなかにあって、彼の存在だけがどこか異質だった。
風景に馴染まぬままに、彫像のように沈黙を守っている。
(まるで……この空間に、興味がないみたいだ)
そう思ったのは、影山孝太郎だった。
彼はまた、そっと目線を上げて鬼塚を見た。
先ほど一瞬だけ目が合った相手。あの目の奥にあった、深く濁った黒。
あれは——何かを見捨てた者の目だった。
「も~う、鬼塚くん! せめて座り方だけは普通にしてくれない?椅子壊れたら、また職員室で怒られるの私なんだからね!」
「うっせぇな。教師の肩持つとか、どんだけ真面目ちゃんだよ、委員長さん?」
「委員長だから、真面目にやってるの!」
天野唯が言い返すその声は、苛立ちというよりも──心配に近い。
彼女は真剣だった。クラスの雰囲気、秩序、先生たちとの橋渡し。すべてに気を配っていた。
その表情も、どこか母性を滲ませるように柔らかい。
だが鬼塚は、その優しさにさえ、刺々しい拒絶で返す。
「うぜぇよ。どうせ俺がどんな座り方してようが、お前の人生には関係ねぇだろ」
「……そういう言い方、しないで」
小さな沈黙。
だがその沈黙を、隣の佐川颯太がやんわりとした声で解いた。
「まあまあ。鬼塚、そろそろ先生来るし、な?
一応、授業前だしよ。」
「……チッ」
不良の溜め息と、委員長の眼鏡の曇り。
両者の間にある溝は、あまりにも深く、そして誰もそこに橋をかけようとはしなかった。
そのやりとりのすべてを、孝太郎は静かに見ていた。
(……正義感と、無関心。真っ直ぐな人と、ひねくれた人)
彼らが発する言葉はどちらも本気だ。それは分かる。
だからこそ、互いの心が交わらないのが、なんとなく苦しかった。
(俺は、どっち側なんだろう)
その問いは、誰に向けるでもなく、ただ教室の騒がしさに紛れていった。
その時だった。
教室の前の席で、ふと一人の男子が声を上げた。
「なぁなぁ、もしさ、突然“異世界”とかに召喚されたら、どうする?」
声の主は、だった。目を輝かせ、両手で机をバンと叩きながら立ち上がる。
「やっぱ最初にスキル確認するっしょ!」
「あと、ステータスオープンだよな!」
「俺はまず女神に挨拶かな……ふふふ、エルフ耳の美少女がいい……」
「お前それ“挨拶”じゃねぇし……」
爆笑が起きる。オタク四天王の異世界妄想談義。いつものことだ。
だが、今日はそれに、別の男子が食いついた。
「おいおい、オマエらアホか? 異世界とかリアルであるわけねぇだろ?」
声の主は、野球部のエース、乾流星。いつも目立つ彼が、机をドンと鳴らして笑った。
「……でも、あったら面白くね?」
と、隣の榊タケルが軽口を叩く。
「部活ない日だったら、俺も行ってみたいかな~」
「俺は無理!スマホないと死ぬ!」
「わかるー!」
クラスが笑いに包まれた。
異世界召喚──それは、たとえ冗談でも、どこか皆の心に刺さる響きだった。
だが、そのなかで、ただ一人だけ。
影山孝太郎は、冷めた目で彼らを見ていた。
(……なんで、そんなに簡単に“行きたい”とか言えるんだよ)
心のなかで、そっと呟く。
(大切な人も、場所も、全部置いていくってことだろ……?)
孝太郎は、机の上に伏せていた左手を、無意識に握りしめた。
(行ってどうする。チート能力もない、自信もない。俺なんか、向こうでもどうせ“目立たないやつ”で終わるだけじゃん)
自嘲気味に、ふっと鼻で笑った。
(ヒーロー願望? 馬鹿か。そんなの、物語の中だけで十分だろ)
だが、彼の笑みは誰にも見えない。
誰も、気づかない。
教室は今、誰かの「異世界」という言葉に、沸き上がっていた。
まるで、何かの“前兆”であるかのように──。
◇◆◇
チャイムが鳴る少し前――。
教室に、ふと、風が吹き込んだ。
(……あれ?)
影山孝太郎は、何の気なしに窓に目をやった。
しかし、窓はすべて閉じている。カーテンも揺れていない。
なのに、教室の空気が……妙だった。
温度が下がったわけでもない。音が消えたわけでもない。ただ、感覚だけが違っていた。
皮膚の表面を撫でるような、薄く、淡く、それでいてぞわりとするものが、背筋を這い上がってくる。
(なんだ、これ……)
周囲のざわめきも次第に止んでいく。誰からともなく、空気を察したように。
教室の隅でふざけていたオタク四天王が声を止め、ギャルズがスマホから顔を上げた。
鬼塚玲司でさえ、初めて驚いたように目を細めていた。
そのときだった。
「……え?」
誰かが小さく声を漏らした直後、
床に、光が走った。
ギィィィッ──という耳鳴りのような音と共に、
教室の床……黒板前のスペースから始まり、あっという間に、一面に円形の紋様が広がっていく。
幾何学模様、ルーン文字、複雑な円が何重にも重なり合い、まるでSFとファンタジーが融合したような巨大な魔法陣が、淡い紫光を放ちながら浮かび上がる。
「な、なにこれ……!」
「CG? ドッキリ? は?」
「床が……光ってる……っ!?」
「おい、誰かふざけてんのか!?」
誰もが叫び、騒ぎ、席を立つ。
だが、逃げ出すことはできなかった。足が……動かない。
まるで、身体が空気に縫い止められたように、膝から下が硬直している。
影山もまた、立ち上がろうとしたが、無理だった。
足が鉛のように重い。いや、拘束されているとしか思えない。
(違う……これ、夢とかじゃない)
彼の目が、魔法陣の中心を捉えた。
そこには、淡く青い炎のような光がゆらゆらと揺らめいている。
(これは──)
「異世界……召喚……?」
不意に、隣の席の佐川颯太が小さく呟いた。
「……マジで……あるのかよ……こういうの……」
その声には、興奮でも好奇心でもなく、かすかな怯えが混じっていた。
そして、次の瞬間。
世界が、裏返った。
空間が、音ごとねじれた。
光と影が反転し、天井と床が入れ替わるような錯覚。
教室の壁が溶け、視界がぶわっと広がったかと思うと、次にはすべてが吸い込まれるように収束していく。
「――っあああッ!!」
「痛いッ、やめろッ!」
「何!? 何なのこれ!?」
「お母さんっ!!」
叫び声が、悲鳴が、四方から飛び交う。
影山は、自分の身体が宙に浮いていることに気づいた。
それでも、不思議と痛みはない。ただ、感覚が――異様だった。
手足の感触が薄れ、皮膚が空気に分解されていくような、そんな錯覚。
(……俺たちは今……“どこか”に連れて行かれてる……?)
そんな思考の直後、
脳が、強制的に──ブラックアウトした。
──全てが、光に包まれた。
……
影山孝太郎が、次に目を開けた時、
そこはもう、“教室”ではなかった。
◇◆◇
──遠くで、何かが軋んだ。
機械のような、風のような、そして何より人間の声のような、いくつもの音が混じりあい、
波のように耳へと押し寄せてきた。
まぶたの裏が、赤い。
いや、紫か。いや、もっと複雑な色だ。
何重にも折り重なった色彩が、まるで意志を持つかのように、影山の視界を押し開こうとしていた。
(……俺は……)
彼の意識はまだ深い霧の中にあった。
思考はまとまらず、身体も重い。
ただ、脳の奥底で「何か大きなことが起きた」という確信だけが、かすかに灯っている。
そして──次の瞬間。
「……ぅ、あ……」
かすかに、自分の声が漏れた。
まぶたが開いた。
天井が、そこにあった。
けれど、それは見慣れた蛍光灯でも、教室の白い天井でもなかった。
幾何学的な金属構造の天井。
浮かび上がる発光回路のような紋様。
中心部には、水晶のような半透明の球体が浮遊しており、青白い光を静かに脈動させている。
(どこだ、ここは……)
ゆっくりと起き上がる。
頭が重い。
背中はまだ教室の床の感触を探していたが、そこは冷たい金属のような感触だった。
左右を見渡す。
自分と同じように、他のクラスメイトたちも次々と目を覚ましていた。
「……うっ……えっ……ええぇ……っ?」
「どこ……? これ……?」
「……なんか、すっごい……SFっぽい……」
「俺、まだ夢見てんのかな……?」
彼らは困惑と混乱の中、震える声でそう呟いていた。
それもそのはずだ。目の前の光景はあまりにも──非現実的だった。
天井の水晶球から伸びる光のラインが、床や壁にまで続き、部屋全体を柔らかく照らしていた。
柱のように並ぶ半透明の浮遊スクリーンには、読めない文字が浮かんでは消える。
空気の香りすら、学校とはまったく違う。
金属と薬草、オゾンの混じったような、澄んでいて、それでいて少し痺れるような匂い。
(……これ……本当に……)
「……異世界、なのか……」
影山は、口の中でそう零した。
その時だった。
「──目覚めたようね。」
響いたのは、凛とした、女の声。
はっとして前方に視線を向けると――そこにいた。
灰銀色の長い髪が、魔力の風に靡いていた。
漆黒のスーツに紫紺のラインが走る、密着型の戦闘服──まるで未来の魔法騎士のような風貌の女。
そして、背中にはマントを翻し、六名の衛兵たちを従えていた。
顔立ちは整っていて、神秘的な雰囲気を漂わせている。
その瞳は、赤紫のような、魔力を宿した光を放ち……彼女は、確かに“こちら”を見ていた。
「私の名は、フラム・クレイドル。魔導帝国ベルゼリアが誇る、上級魔導官にして召喚管理局の責任者よ。」
クラスの誰かが「えっ、なにその設定……」と呟いたのを、影山は耳の端で聞いた。
でも、それよりも──フラムの目が気になった。
その目は、誰一人見逃さないように、全員を順に観察していた。
教師のようでもあり、研究者のようでもあり……そして何より、獲物を選ぶ狩人のようでもあった。
「異なる世界より来たる者たちよ。ようこそ、ベルゼリアへ」
フラムは笑みを浮かべて言った。その笑みは、美しくもあり、どこか薄気味悪くもあった。
「君たちは、“世界の危機”に抗う力として選ばれたの。だけど、安心してほしい。我々は君たちを悪い様にする気は無いわ。」
騒然とする教室──いや、もう“教室”ではないこの空間に、ざわめきが広がる。
「悪いようにはしない……って……!」
「いや、もう、無理矢理誘拐してるようなもんじゃ……?」
「選ばれたって……俺たちに何ができんだよ……」
フラムはひとつ、指を立てる。
「答えは、これから明らかになる。
まずは、この“魔導院”にて、君たち自身がどんな可能性を秘めているのかを知ってもらうわ。」
そして、ゆっくりと指を下ろした。
衛兵たちが、一斉に前に出る。
「どうか、落ち着いて。君たちは、すでに“異世界召喚”の初期症状を乗り越えたの。
次に行うのは、“適性の測定”よ。君たちの魂の波長を調べ、どの魔導式が最も共鳴するかを確認するだけ。痛みはないわ。」
(魂の……波長……?)
影山の眉がわずかに動く。
何を言っているのか理解できない──だが、それでも「現実」だという感覚は、はっきりと残っていた。
夢ではない。
これは──本当に、異世界召喚だ。
(マジかよ……)
心の奥底で、何かがずるりと動いた。
怯えでも、興奮でもない。それは、もっと根深い──予感だった。
──何か、ただごとじゃないことが、これから起こる。
窓から差し込む陽光が、教室の床をまばゆく照らしていた。
都内私立・西都学園高校の1年3組。四月の新学期が始まってまもない午後のことだった。
午後の授業が始まる五分前。
教室には、昼休みの余熱がまだ揺らめいていた。
窓の外では、春の陽射しがぼんやりと差し込んでいる。
桜の花びらはもう散り終えて、遠くの校庭にちらちらと舞う影もない。
代わりに、教室内ではまばゆい日差しが反射して、ざわつく机や椅子の音、スマホの電子音がけだるく混じり合っていた。
「ねぇねぇ、ミオってさ、これ知ってる?原宿の"フォトンカフェ"。めっちゃ映えない?」
前列の左側、窓際から三番目あたり。
艶やかな茶髪をゆるく巻いた女子が、スマホを覗き込みながらはしゃいでいた。名前は高崎ミサキ。
髪色に負けず劣らず、声も明るくはじけていた。
「え~~めちゃくちゃ可愛い~っ♡うちらも行こ行こ!てか制服で行ったら最強じゃね?」
隣に座る内田ミオが、画面を覗き込みながら顔を近づける。
長めのカラコンと睫毛の影が、画面の光に照らされてキラキラと揺れた。
「マジで?じゃあ日曜ヒマ?さっちゃんも来るっしょ?」
「あー、ワンチャンいけるかも~。てかミサキ、またストーリー撮ってるし~笑」
最後に応じたのは、少し落ち着いた雰囲気の佐倉サチコ。
それでも指先はスマホを器用に滑らせ、タイムラインに流れるカフェやコスメの動画を流し見している。
女子三人組の笑い声が弾けるたび、空気が軽く跳ねる。
──だがそれをどこか、舞台裏から眺めるように見ていた者がいた。
教室の一番後ろ、窓際の席。
いわゆる“主人公席”。
そこに座る男子──"影山孝太郎"は、肘をつきながらその光景を眺めていた。
手元のシャーペンは回すでもなく、ただ親指と人差し指の間でゆるく揺れているだけ。
(……元気だな、ほんと。あいつら)
思っただけで、口には出さない。
出しても、誰かが反応するとは限らないからだ。
視線を少し右にずらす。今度は別の騒がしさが耳に入る。
「だからよ!この前の『異世界メシ神様』、チート過ぎだろ!?野菜洗っただけでスキル爆上がりとか、作者どうしたよ!」
「いやいや、俺は逆にアレ好きだわ。チートって言うか、もう神だしな、あいつ!」
「そもそも“野菜を洗うだけ”って日常の美学だから!異世界でリアル路線に振り切るってマジあり」
「わかる!あと、ヒロインのリリィたんが合法ロリ過ぎて最高!」
前列右側、机を四人で囲むように座るオタクグループ。
メンバーは、快活なオタボイスの石田ユウマ、ちょっとぽっちゃり気味の藤野マコト、メガネがずり落ちそうな久賀レンジ、そして一見まともそうな西條ケイスケ。
会話の内容は……まあいつも通り。
だが、耳を塞ぐ気にはなれなかった。むしろ、慣れてしまっている自分がいた。
(それにしても、異世界ねぇ……)
孝太郎は、ため息混じりに窓の外へ目を向けた。
流れる雲の形を目でなぞる。
しばしの無言。
彼の存在は、まるで風のようにクラスの誰にも引っかからず、通り過ぎていく。
良くも悪くも、“普通”で、“そこそこ”。
勉強も運動もできる方だ。
顔だって、悪くはない。
……だが、何かが足りない。
主に、存在感が。
それを彼自身が、最もよく分かっていた。
(まあ、俺には関係ない話か)
目を細めたそのときだった。
「……あーもう!鬼塚、またそんな座り方してる!」
教室の前の方で響いた声に、孝太郎は思わず顔を上げる。
声の主は、クラスの女子委員長、天野唯。眼鏡の奥の瞳が怒りで細くなっている。
「ああ~、こりゃ落ちても知らねーぞ~。背もたれギシギシじゃねーかよ、あれ」
と、隣の男子委員長、佐川颯太が苦笑しながら続けた。
二人が見ているのは、教室後方、廊下側最後尾の席。
──鬼塚玲司。
机に足を投げ出し、椅子を後ろにギシギシと揺らしながら、両手を頭の後ろで組んでいる。
口元にはいつものように無愛想な線だけが浮かんでいた。
天野唯が詰め寄ろうと一歩踏み出しかけた時、鬼塚はちらりとこちらを見やる。
……目が合った。
……様な気がした。
(うわっ)
孝太郎は思わず視線を逸らした。
まるで小動物のように、咄嗟に逃げる本能が働く。
(今時こんなテンプレ不良、ホントにいるんだな……)
そんな思考が頭をよぎる。
でも、たぶん、誰もが鬼塚には触れない。関わらない。
そういう空気だった。
そして、そんな彼を少し離れた席から観察している自分もまた──
誰からも、触れられない存在だった。
(……まぁ、俺も似たようなもんか)
孝太郎は、小さく笑った。
誰にも見られない笑みを、こっそりと、ひとりで。
──それは、変わらぬ日常のはずだった。
だが、このあと訪れる“非日常”が、すべてを一変させるとも知らずに。
◇◆◇
鬼塚玲司が投げ出した足を降ろすことはなかった。
天野唯の声にも、佐川颯太の苦笑にも、一切の反応を示さず、ただ窓の外をじっと見ていた。
教室の喧騒のなかにあって、彼の存在だけがどこか異質だった。
風景に馴染まぬままに、彫像のように沈黙を守っている。
(まるで……この空間に、興味がないみたいだ)
そう思ったのは、影山孝太郎だった。
彼はまた、そっと目線を上げて鬼塚を見た。
先ほど一瞬だけ目が合った相手。あの目の奥にあった、深く濁った黒。
あれは——何かを見捨てた者の目だった。
「も~う、鬼塚くん! せめて座り方だけは普通にしてくれない?椅子壊れたら、また職員室で怒られるの私なんだからね!」
「うっせぇな。教師の肩持つとか、どんだけ真面目ちゃんだよ、委員長さん?」
「委員長だから、真面目にやってるの!」
天野唯が言い返すその声は、苛立ちというよりも──心配に近い。
彼女は真剣だった。クラスの雰囲気、秩序、先生たちとの橋渡し。すべてに気を配っていた。
その表情も、どこか母性を滲ませるように柔らかい。
だが鬼塚は、その優しさにさえ、刺々しい拒絶で返す。
「うぜぇよ。どうせ俺がどんな座り方してようが、お前の人生には関係ねぇだろ」
「……そういう言い方、しないで」
小さな沈黙。
だがその沈黙を、隣の佐川颯太がやんわりとした声で解いた。
「まあまあ。鬼塚、そろそろ先生来るし、な?
一応、授業前だしよ。」
「……チッ」
不良の溜め息と、委員長の眼鏡の曇り。
両者の間にある溝は、あまりにも深く、そして誰もそこに橋をかけようとはしなかった。
そのやりとりのすべてを、孝太郎は静かに見ていた。
(……正義感と、無関心。真っ直ぐな人と、ひねくれた人)
彼らが発する言葉はどちらも本気だ。それは分かる。
だからこそ、互いの心が交わらないのが、なんとなく苦しかった。
(俺は、どっち側なんだろう)
その問いは、誰に向けるでもなく、ただ教室の騒がしさに紛れていった。
その時だった。
教室の前の席で、ふと一人の男子が声を上げた。
「なぁなぁ、もしさ、突然“異世界”とかに召喚されたら、どうする?」
声の主は、だった。目を輝かせ、両手で机をバンと叩きながら立ち上がる。
「やっぱ最初にスキル確認するっしょ!」
「あと、ステータスオープンだよな!」
「俺はまず女神に挨拶かな……ふふふ、エルフ耳の美少女がいい……」
「お前それ“挨拶”じゃねぇし……」
爆笑が起きる。オタク四天王の異世界妄想談義。いつものことだ。
だが、今日はそれに、別の男子が食いついた。
「おいおい、オマエらアホか? 異世界とかリアルであるわけねぇだろ?」
声の主は、野球部のエース、乾流星。いつも目立つ彼が、机をドンと鳴らして笑った。
「……でも、あったら面白くね?」
と、隣の榊タケルが軽口を叩く。
「部活ない日だったら、俺も行ってみたいかな~」
「俺は無理!スマホないと死ぬ!」
「わかるー!」
クラスが笑いに包まれた。
異世界召喚──それは、たとえ冗談でも、どこか皆の心に刺さる響きだった。
だが、そのなかで、ただ一人だけ。
影山孝太郎は、冷めた目で彼らを見ていた。
(……なんで、そんなに簡単に“行きたい”とか言えるんだよ)
心のなかで、そっと呟く。
(大切な人も、場所も、全部置いていくってことだろ……?)
孝太郎は、机の上に伏せていた左手を、無意識に握りしめた。
(行ってどうする。チート能力もない、自信もない。俺なんか、向こうでもどうせ“目立たないやつ”で終わるだけじゃん)
自嘲気味に、ふっと鼻で笑った。
(ヒーロー願望? 馬鹿か。そんなの、物語の中だけで十分だろ)
だが、彼の笑みは誰にも見えない。
誰も、気づかない。
教室は今、誰かの「異世界」という言葉に、沸き上がっていた。
まるで、何かの“前兆”であるかのように──。
◇◆◇
チャイムが鳴る少し前――。
教室に、ふと、風が吹き込んだ。
(……あれ?)
影山孝太郎は、何の気なしに窓に目をやった。
しかし、窓はすべて閉じている。カーテンも揺れていない。
なのに、教室の空気が……妙だった。
温度が下がったわけでもない。音が消えたわけでもない。ただ、感覚だけが違っていた。
皮膚の表面を撫でるような、薄く、淡く、それでいてぞわりとするものが、背筋を這い上がってくる。
(なんだ、これ……)
周囲のざわめきも次第に止んでいく。誰からともなく、空気を察したように。
教室の隅でふざけていたオタク四天王が声を止め、ギャルズがスマホから顔を上げた。
鬼塚玲司でさえ、初めて驚いたように目を細めていた。
そのときだった。
「……え?」
誰かが小さく声を漏らした直後、
床に、光が走った。
ギィィィッ──という耳鳴りのような音と共に、
教室の床……黒板前のスペースから始まり、あっという間に、一面に円形の紋様が広がっていく。
幾何学模様、ルーン文字、複雑な円が何重にも重なり合い、まるでSFとファンタジーが融合したような巨大な魔法陣が、淡い紫光を放ちながら浮かび上がる。
「な、なにこれ……!」
「CG? ドッキリ? は?」
「床が……光ってる……っ!?」
「おい、誰かふざけてんのか!?」
誰もが叫び、騒ぎ、席を立つ。
だが、逃げ出すことはできなかった。足が……動かない。
まるで、身体が空気に縫い止められたように、膝から下が硬直している。
影山もまた、立ち上がろうとしたが、無理だった。
足が鉛のように重い。いや、拘束されているとしか思えない。
(違う……これ、夢とかじゃない)
彼の目が、魔法陣の中心を捉えた。
そこには、淡く青い炎のような光がゆらゆらと揺らめいている。
(これは──)
「異世界……召喚……?」
不意に、隣の席の佐川颯太が小さく呟いた。
「……マジで……あるのかよ……こういうの……」
その声には、興奮でも好奇心でもなく、かすかな怯えが混じっていた。
そして、次の瞬間。
世界が、裏返った。
空間が、音ごとねじれた。
光と影が反転し、天井と床が入れ替わるような錯覚。
教室の壁が溶け、視界がぶわっと広がったかと思うと、次にはすべてが吸い込まれるように収束していく。
「――っあああッ!!」
「痛いッ、やめろッ!」
「何!? 何なのこれ!?」
「お母さんっ!!」
叫び声が、悲鳴が、四方から飛び交う。
影山は、自分の身体が宙に浮いていることに気づいた。
それでも、不思議と痛みはない。ただ、感覚が――異様だった。
手足の感触が薄れ、皮膚が空気に分解されていくような、そんな錯覚。
(……俺たちは今……“どこか”に連れて行かれてる……?)
そんな思考の直後、
脳が、強制的に──ブラックアウトした。
──全てが、光に包まれた。
……
影山孝太郎が、次に目を開けた時、
そこはもう、“教室”ではなかった。
◇◆◇
──遠くで、何かが軋んだ。
機械のような、風のような、そして何より人間の声のような、いくつもの音が混じりあい、
波のように耳へと押し寄せてきた。
まぶたの裏が、赤い。
いや、紫か。いや、もっと複雑な色だ。
何重にも折り重なった色彩が、まるで意志を持つかのように、影山の視界を押し開こうとしていた。
(……俺は……)
彼の意識はまだ深い霧の中にあった。
思考はまとまらず、身体も重い。
ただ、脳の奥底で「何か大きなことが起きた」という確信だけが、かすかに灯っている。
そして──次の瞬間。
「……ぅ、あ……」
かすかに、自分の声が漏れた。
まぶたが開いた。
天井が、そこにあった。
けれど、それは見慣れた蛍光灯でも、教室の白い天井でもなかった。
幾何学的な金属構造の天井。
浮かび上がる発光回路のような紋様。
中心部には、水晶のような半透明の球体が浮遊しており、青白い光を静かに脈動させている。
(どこだ、ここは……)
ゆっくりと起き上がる。
頭が重い。
背中はまだ教室の床の感触を探していたが、そこは冷たい金属のような感触だった。
左右を見渡す。
自分と同じように、他のクラスメイトたちも次々と目を覚ましていた。
「……うっ……えっ……ええぇ……っ?」
「どこ……? これ……?」
「……なんか、すっごい……SFっぽい……」
「俺、まだ夢見てんのかな……?」
彼らは困惑と混乱の中、震える声でそう呟いていた。
それもそのはずだ。目の前の光景はあまりにも──非現実的だった。
天井の水晶球から伸びる光のラインが、床や壁にまで続き、部屋全体を柔らかく照らしていた。
柱のように並ぶ半透明の浮遊スクリーンには、読めない文字が浮かんでは消える。
空気の香りすら、学校とはまったく違う。
金属と薬草、オゾンの混じったような、澄んでいて、それでいて少し痺れるような匂い。
(……これ……本当に……)
「……異世界、なのか……」
影山は、口の中でそう零した。
その時だった。
「──目覚めたようね。」
響いたのは、凛とした、女の声。
はっとして前方に視線を向けると――そこにいた。
灰銀色の長い髪が、魔力の風に靡いていた。
漆黒のスーツに紫紺のラインが走る、密着型の戦闘服──まるで未来の魔法騎士のような風貌の女。
そして、背中にはマントを翻し、六名の衛兵たちを従えていた。
顔立ちは整っていて、神秘的な雰囲気を漂わせている。
その瞳は、赤紫のような、魔力を宿した光を放ち……彼女は、確かに“こちら”を見ていた。
「私の名は、フラム・クレイドル。魔導帝国ベルゼリアが誇る、上級魔導官にして召喚管理局の責任者よ。」
クラスの誰かが「えっ、なにその設定……」と呟いたのを、影山は耳の端で聞いた。
でも、それよりも──フラムの目が気になった。
その目は、誰一人見逃さないように、全員を順に観察していた。
教師のようでもあり、研究者のようでもあり……そして何より、獲物を選ぶ狩人のようでもあった。
「異なる世界より来たる者たちよ。ようこそ、ベルゼリアへ」
フラムは笑みを浮かべて言った。その笑みは、美しくもあり、どこか薄気味悪くもあった。
「君たちは、“世界の危機”に抗う力として選ばれたの。だけど、安心してほしい。我々は君たちを悪い様にする気は無いわ。」
騒然とする教室──いや、もう“教室”ではないこの空間に、ざわめきが広がる。
「悪いようにはしない……って……!」
「いや、もう、無理矢理誘拐してるようなもんじゃ……?」
「選ばれたって……俺たちに何ができんだよ……」
フラムはひとつ、指を立てる。
「答えは、これから明らかになる。
まずは、この“魔導院”にて、君たち自身がどんな可能性を秘めているのかを知ってもらうわ。」
そして、ゆっくりと指を下ろした。
衛兵たちが、一斉に前に出る。
「どうか、落ち着いて。君たちは、すでに“異世界召喚”の初期症状を乗り越えたの。
次に行うのは、“適性の測定”よ。君たちの魂の波長を調べ、どの魔導式が最も共鳴するかを確認するだけ。痛みはないわ。」
(魂の……波長……?)
影山の眉がわずかに動く。
何を言っているのか理解できない──だが、それでも「現実」だという感覚は、はっきりと残っていた。
夢ではない。
これは──本当に、異世界召喚だ。
(マジかよ……)
心の奥底で、何かがずるりと動いた。
怯えでも、興奮でもない。それは、もっと根深い──予感だった。
──何か、ただごとじゃないことが、これから起こる。
76
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【マグナギア無双】チー牛の俺、牛丼食ってボドゲしてただけで、国王と女神に崇拝される~神速の指先で戦場を支配し、気づけば英雄でした~
月神世一
ファンタジー
「え、これ戦争? 新作VRゲーじゃなくて?」神速の指先で無自覚に英雄化!
【あらすじ紹介文】
「三色チーズ牛丼、温玉乗せで」
それが、最強の英雄のエネルギー源だった――。
日本での辛い過去(ヤンキー客への恐怖)から逃げ出し、異世界「タロウ国」へ転移した元理髪師の千津牛太(22)。
コミュ障で陰キャな彼が、唯一輝ける場所……それは、大流行中の戦術ボードゲーム『マグナギア』の世界だった!
元世界ランク1位のFPS技術(動体視力)× 天才理髪師の指先(精密操作)。
この二つが融合した時、ただの量産型人形は「神速の殺戮兵器」へと変貌する!
「動きが単調ですね。Botですか?」
路地裏でヤンキーをボコボコにしていたら、その実力を国王に見初められ、軍事用巨大兵器『メガ・ギア』のテストパイロットに!?
本人は「ただのリアルな新作ゲーム」だと思い込んでいるが、彼がコントローラーを握るたび、敵国の騎士団は壊滅し、魔王軍は震え上がり、貧乏アイドルは救われる!
見た目はチー牛、中身は魔王級。
勘違いから始まる、痛快ロボット無双ファンタジー、開幕!
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる