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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食
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「遅い」
フィリップ兄様は紅茶を啜りながら、私を睨み上げた。
「いつまでクロードと話し込んでいたの」
「も、申し訳ありません」
「側によって。……その剣奴は外に」
イルはしらっという顔をして壁に背中をつけた。出ていくものかという意志を感じる。
フィリップ兄様が苛々とした様子で睨み上げたので、慌てて口を開いた。
「クロードを呼ばれたのはフィリップ兄様ですか?」
「……そうだ。その剣奴を退出させて」
はっきりと言われたが、イルのことを追い出そうとする言葉は無視した。苛立つように眉が上がる。
「どうして呼ばれたのですか?」
「……知りたいなら座って。首が痛くなる」
イルに鋭い一瞥をくれたフィリップ兄様は手で座るように促した。
どうやら、イルのことを見逃してくれるらしい。
腰掛けると垂れていた髪を耳にかけて、フィリップ兄様は私を見た。
「これ」
差し出されたのはロスドロゥの王家の印璽がなされた手紙だった。
紙は分厚く、肌触りがいい。インクの匂いが持った瞬間香ってきた。
中身には、マイク兄様が無事にロスドロゥについたことが書かれていた。
マイク兄様は確か、砂漠の国の蠍王との和平交渉のためにライドル王国を出国され、ロスドロゥに向かったはず。
「無事につかれたのですね」
「どうだが。……兄上からの手紙はない。これは勝手にロスドロゥが送り付けたものだ」
「どういう意味ですか?」
まさかフィリップ兄様は、ロスドロゥで何かあったと言いたいのだろうか。
だが、確かにマイク兄様からの連絡がないのはおかしい……。
ロスドロゥ側が送るのも妙だ。こういうものは、マイク兄様か、側近のものが送るのが一般的だ。わざわざ王室が無事についたと連絡するのは稀なことだった。
「そのままの意味。マイク兄上の安否は不明だ。やはり、行かせるべきではなかった。……ロスドロゥは現在、民衆達の暴動がいたるところで行われているという。兄上が民衆達に人質に取られた可能性もある」
「ロスドロゥがそのことを隠蔽するために手紙を寄越したと? ですが、そんなことをしてもいずれ知られます。隠蔽は自分の首を絞めることになるのでは」
「ロスドロゥ側の事情は不明。……とにかく、今ロスドロゥにいるライドル国の者に確認を取らせている。兄上に何もなければいいが。……ロスドロゥ側は兄上が長旅で疲れて寝込んでいるということにしているらしい」
「そうだとしても、マイク兄様の側近がその旨を報告しないのはおかしいですね。……清族に確認を取らせるのは難しいのですか?」
昔、一度だけ清族達がまじないをしているところを見たことがある。
ウィジャ盤と言われるボードで、成否を占うのだ。妖精達が答えてくれるのだと教えて貰った。簡単なことならば答えるはず。
例えば、マイク兄様は生きていますか、みたいな質問をすると答えが返ってくる。
はいかいいえで。
「今代でウィジャ盤を担当しているのはトーマだよ。でも、トーマは今それどころじゃないだろう。他の清族が担当したが、安否は正確には分からなかった。生存と死亡を何度も繰り返したから、全く当てにならない。ロスドロゥ側の清族が目眩しでもしているのだろう。トーマが呪術に精通していたから、目眩し程度壊せると言っていたが……。本人が呪われているのでは意味がない」
「も、申し訳ありません」
「どうしてお前が謝る? ……ああ、トーマはそういえばお前の従者になったんだっけ? ぼくに断りもなく、従者にしたのだったもんね」
「従者にするのに兄様の許可は必要なかったと思いますが……?」
ふいと顔を背けられた。
トーマは有能な清族だから、勝手に従者にするなという意味だろうか。
確かに、トーマ自身が清族でどんな立場なのか、よく分かっていない。
それなりに将来有望なのだろうけれど、実際清族としてはどれほどの男なのだろう。
あいつ自身、みたい本があるからと嘯いていたし、何となくあなあなにしていた。
トーマの体調も心配だ。どうしてトーマが瀕死の状態なのかということも含めて色々ときちんとした方がいいのではないか。
「クロードには、ロスドロゥへ送り込む人間の選定を手伝わせた。ロスドロゥ王家は属国とはいえ配慮しなくてはならない相手だ。勅使として人を送るのならばどの貴族がいいか、と」
なるほど。
マイク兄様がロスドロゥで本当に無事に生活しているのだったらいいが本当に問題が起こっている時、行った貴族が口封じのために身柄を拘束されかねない。
それを見越して、選定を行うとなると確かに難しい。仰々しく私兵を連れ込めば、怒れる民衆の反感を喰らいかねない。
フィリップ兄様は口にしないが、ギスランが動ける状態ならばギスランーーロイスター卿を派遣していただろう。息子ならば見聞のためにと理由をつけて連れまわせる。ギスランは清族の技を使えるし、いざとなれば自分で移動することも出来る。ロスドロゥへの偵察にはもってこいの人材だ。
だが、あいつはいない。誰が選出されたのだろう。
「決まったのですか?」
「まだだが、おそらく叔父上……、バルカス公爵にお願いすることになる」
「バルカス公爵に……」
適任と言えるかもしれない。
何せ、ヨハン・ハウスベル、騎士の中の騎士と名高い彼がついているのだから。些細な揉め事は彼が軽く解決してしまえる。
化物だって倒して見せた無類の剣豪だ。
民衆に囲まれても活路を見出すに違いない。何せ彼は襲いかかる兵士達を相手に殿を任せられたほどの実力だ。
……とはいえ、万全であればの話だけど。
「ヨハンはこの間の戦いで負傷したと聞きましたが」
「あの怪物騎士はもうすっかりピンピンしているよ。剣を握る力が弱くなったなどと嘯いていたけれど、とんでもない。あれで弱くなったというのならば一般の兵達は鍛錬をサボった怠け者どもになる」
「……ヨハンらしい」
イルもすっかり元気になっているし、もしかして二人ともおかしいのか? 清族の治療が凄かったのだと思いたい。
「あとは叔父上がどれだけ早く国王陛下を説得できるかだ。国王陛下は行く意味がないと言ったからね。……兄上の安否以上に重要なことなんてこの世にあるわけがないのに」
「陛下は、マイク兄様が心配ではないのでしょうか」
「心配というのは情のある人間に向けるものだろう。陛下にもしそういうものがあるのだとしたら、それはお前の母親に対してだけだ」
断言されて目線が泳いだ。正直、私は父王様のことを知らない。
本当に兄様達に情はないのだろうか。母だけがそれを向けられていた?
「お前には与えられないものだよ。兄妹は皆、誰も陛下の寵愛を受けない」
「私に与えられるなんて思ったこともありません。父を恋しいと思ったこともあまりありません」
「……そうなの? サガルでさえ、陛下に会いたいと思ったのに?」
「兄様も、会いたいと思っていましたか?」
ん、とフィリップ兄様は黙り込んだ。不思議な間だった。
私にとって父王様は遠い存在だった。目を向けてくれと思ったことはあったかもしれない。でも心を砕いて欲しいとは思わなかった気がする。声をかけられて、それだけで緊張していたし、それ以上のことがあるとは思えなかった。
フィリップ兄様はバツが悪いと思ったのか、こほんと咳払いをして話題を変えた。
少しだけマイク兄様に似ていた。
「――それで、ぼくに何のようだったの? このままお前の気まずげな顔を見ているのも面白いけれど」
「に、兄様にお聞きしたいことがあるんです」
「ふうん?」
片肘をついて、フィリップ兄様はソファーに寄りかかった。
こちらを見透かすような怜悧な瞳が向けられて、喉が震えるのが分かった。
「フィリップ兄様は、レオン兄様をーー殺そうとしたのですか?」
フィリップ兄様は紅茶を啜りながら、私を睨み上げた。
「いつまでクロードと話し込んでいたの」
「も、申し訳ありません」
「側によって。……その剣奴は外に」
イルはしらっという顔をして壁に背中をつけた。出ていくものかという意志を感じる。
フィリップ兄様が苛々とした様子で睨み上げたので、慌てて口を開いた。
「クロードを呼ばれたのはフィリップ兄様ですか?」
「……そうだ。その剣奴を退出させて」
はっきりと言われたが、イルのことを追い出そうとする言葉は無視した。苛立つように眉が上がる。
「どうして呼ばれたのですか?」
「……知りたいなら座って。首が痛くなる」
イルに鋭い一瞥をくれたフィリップ兄様は手で座るように促した。
どうやら、イルのことを見逃してくれるらしい。
腰掛けると垂れていた髪を耳にかけて、フィリップ兄様は私を見た。
「これ」
差し出されたのはロスドロゥの王家の印璽がなされた手紙だった。
紙は分厚く、肌触りがいい。インクの匂いが持った瞬間香ってきた。
中身には、マイク兄様が無事にロスドロゥについたことが書かれていた。
マイク兄様は確か、砂漠の国の蠍王との和平交渉のためにライドル王国を出国され、ロスドロゥに向かったはず。
「無事につかれたのですね」
「どうだが。……兄上からの手紙はない。これは勝手にロスドロゥが送り付けたものだ」
「どういう意味ですか?」
まさかフィリップ兄様は、ロスドロゥで何かあったと言いたいのだろうか。
だが、確かにマイク兄様からの連絡がないのはおかしい……。
ロスドロゥ側が送るのも妙だ。こういうものは、マイク兄様か、側近のものが送るのが一般的だ。わざわざ王室が無事についたと連絡するのは稀なことだった。
「そのままの意味。マイク兄上の安否は不明だ。やはり、行かせるべきではなかった。……ロスドロゥは現在、民衆達の暴動がいたるところで行われているという。兄上が民衆達に人質に取られた可能性もある」
「ロスドロゥがそのことを隠蔽するために手紙を寄越したと? ですが、そんなことをしてもいずれ知られます。隠蔽は自分の首を絞めることになるのでは」
「ロスドロゥ側の事情は不明。……とにかく、今ロスドロゥにいるライドル国の者に確認を取らせている。兄上に何もなければいいが。……ロスドロゥ側は兄上が長旅で疲れて寝込んでいるということにしているらしい」
「そうだとしても、マイク兄様の側近がその旨を報告しないのはおかしいですね。……清族に確認を取らせるのは難しいのですか?」
昔、一度だけ清族達がまじないをしているところを見たことがある。
ウィジャ盤と言われるボードで、成否を占うのだ。妖精達が答えてくれるのだと教えて貰った。簡単なことならば答えるはず。
例えば、マイク兄様は生きていますか、みたいな質問をすると答えが返ってくる。
はいかいいえで。
「今代でウィジャ盤を担当しているのはトーマだよ。でも、トーマは今それどころじゃないだろう。他の清族が担当したが、安否は正確には分からなかった。生存と死亡を何度も繰り返したから、全く当てにならない。ロスドロゥ側の清族が目眩しでもしているのだろう。トーマが呪術に精通していたから、目眩し程度壊せると言っていたが……。本人が呪われているのでは意味がない」
「も、申し訳ありません」
「どうしてお前が謝る? ……ああ、トーマはそういえばお前の従者になったんだっけ? ぼくに断りもなく、従者にしたのだったもんね」
「従者にするのに兄様の許可は必要なかったと思いますが……?」
ふいと顔を背けられた。
トーマは有能な清族だから、勝手に従者にするなという意味だろうか。
確かに、トーマ自身が清族でどんな立場なのか、よく分かっていない。
それなりに将来有望なのだろうけれど、実際清族としてはどれほどの男なのだろう。
あいつ自身、みたい本があるからと嘯いていたし、何となくあなあなにしていた。
トーマの体調も心配だ。どうしてトーマが瀕死の状態なのかということも含めて色々ときちんとした方がいいのではないか。
「クロードには、ロスドロゥへ送り込む人間の選定を手伝わせた。ロスドロゥ王家は属国とはいえ配慮しなくてはならない相手だ。勅使として人を送るのならばどの貴族がいいか、と」
なるほど。
マイク兄様がロスドロゥで本当に無事に生活しているのだったらいいが本当に問題が起こっている時、行った貴族が口封じのために身柄を拘束されかねない。
それを見越して、選定を行うとなると確かに難しい。仰々しく私兵を連れ込めば、怒れる民衆の反感を喰らいかねない。
フィリップ兄様は口にしないが、ギスランが動ける状態ならばギスランーーロイスター卿を派遣していただろう。息子ならば見聞のためにと理由をつけて連れまわせる。ギスランは清族の技を使えるし、いざとなれば自分で移動することも出来る。ロスドロゥへの偵察にはもってこいの人材だ。
だが、あいつはいない。誰が選出されたのだろう。
「決まったのですか?」
「まだだが、おそらく叔父上……、バルカス公爵にお願いすることになる」
「バルカス公爵に……」
適任と言えるかもしれない。
何せ、ヨハン・ハウスベル、騎士の中の騎士と名高い彼がついているのだから。些細な揉め事は彼が軽く解決してしまえる。
化物だって倒して見せた無類の剣豪だ。
民衆に囲まれても活路を見出すに違いない。何せ彼は襲いかかる兵士達を相手に殿を任せられたほどの実力だ。
……とはいえ、万全であればの話だけど。
「ヨハンはこの間の戦いで負傷したと聞きましたが」
「あの怪物騎士はもうすっかりピンピンしているよ。剣を握る力が弱くなったなどと嘯いていたけれど、とんでもない。あれで弱くなったというのならば一般の兵達は鍛錬をサボった怠け者どもになる」
「……ヨハンらしい」
イルもすっかり元気になっているし、もしかして二人ともおかしいのか? 清族の治療が凄かったのだと思いたい。
「あとは叔父上がどれだけ早く国王陛下を説得できるかだ。国王陛下は行く意味がないと言ったからね。……兄上の安否以上に重要なことなんてこの世にあるわけがないのに」
「陛下は、マイク兄様が心配ではないのでしょうか」
「心配というのは情のある人間に向けるものだろう。陛下にもしそういうものがあるのだとしたら、それはお前の母親に対してだけだ」
断言されて目線が泳いだ。正直、私は父王様のことを知らない。
本当に兄様達に情はないのだろうか。母だけがそれを向けられていた?
「お前には与えられないものだよ。兄妹は皆、誰も陛下の寵愛を受けない」
「私に与えられるなんて思ったこともありません。父を恋しいと思ったこともあまりありません」
「……そうなの? サガルでさえ、陛下に会いたいと思ったのに?」
「兄様も、会いたいと思っていましたか?」
ん、とフィリップ兄様は黙り込んだ。不思議な間だった。
私にとって父王様は遠い存在だった。目を向けてくれと思ったことはあったかもしれない。でも心を砕いて欲しいとは思わなかった気がする。声をかけられて、それだけで緊張していたし、それ以上のことがあるとは思えなかった。
フィリップ兄様はバツが悪いと思ったのか、こほんと咳払いをして話題を変えた。
少しだけマイク兄様に似ていた。
「――それで、ぼくに何のようだったの? このままお前の気まずげな顔を見ているのも面白いけれど」
「に、兄様にお聞きしたいことがあるんです」
「ふうん?」
片肘をついて、フィリップ兄様はソファーに寄りかかった。
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