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第二章
三話 散歩
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イーヌ曜日から始まり八日間働くと、待ちに待った休日が二日続く。トルバート王国は十日をひとくくりにした暦を使用しており、農民も市民も貴族たちも皆、この暦にしたがって生活していた。とはいえ、ニーナ市の市場に休みはない。
そこで、リーヌ曜日の午後、アザミはハナミとともに市場に繰りだしていた。
「ずいぶんマシ国の文化が浸透しているんだね」
ニーナ市にやってきてまだ二十日ほどしか経っていないハナミには、この地域に漂う異国情緒が珍しいようだった。アザミにとってはすでに見慣れた光景なので、彼の反応は逆に新鮮である。
「僕はこの市から出たことがないんだけれど、他の地域ってどんな様子なんだ? ニーナ市とはぜんぜん違うのか?」
アザミはトルバート王国という国の大きさも知らない。異世界に飛ばされるというファンタジーなできごとに巻きこまれたわりに、勇者になって国中を旅するとか、王都に出向いて王族と結婚するとか、そういう特別なことは何も起きなかったので、アザミにとっては日本の田舎町から異世界の地方都市に引っ越しただけという認識なのである。もちろん、言葉も常識も何もかもが違う異世界で暮らすのは非常に大変なことだけれど。今の暮らしに満足していて、壁の外に出たいと思ったことはなかったが、ハナミがこれまでどんなものを見てきたのかは気になる。
「そうだねえ、やっぱり王都はどの場所よりも栄えているよ。それに、この国でしか採れないトルバート青石っていう鮮やかな青い石があるんだけれど、その石をふんだんに使った王宮と教会は本当に美しくて、国内外でも有名なんだ。あとは、ソシロー伯領では温泉があったよ。まさか異世界で温泉に出会うとは思わなくてびっくりした」
「温泉かあ。いいなあ」
貴族以外の家にはたいてい浴室がないため、体を洗うためには広場にある公共の浴場に行かなくてはならない。しかし、入浴料がかかるので、アザミは夏場以外は二日に一度しか風呂に入っていなかった。日本では蛇口をひねれば水も湯も出てくるのがあたりまえだったが、この二年でそれが非常に恵まれたことだと思い知った。
「今度一緒に行こうよ。ソシローはダフキっていうおだんごみたいなお菓子もおいしかったし、何より葡萄酒がうまいんだ」
「いや、僕まだ十九だし……」
「何言ってるの。この国では十五から成人だろう?」
「そうだけど」
なんとなく気が引けて、アザミは今まで酒を口にしたことがなかった。
「もったいないなあ。でも、それだけ身持ちが固いのは安心だ。あ、マシ国の酒って透明で日本酒みたいなんだね。おいしい」
市場を歩くといろんな店の人に声をかけられる。ハナミは目立つから余計だ。酒樽が並んだ露店では試飲を勧められ、パンを売る店では試食を勧められる。
「こんにちは。今日も天気が良くて絶好の買い物日和ですね」
買い物客にまで話しかけられている。ハナミの背後から声の主を確認して、アザミは思わず「あ」と漏らしそうになった。
(エメさんだ……)
パーマがかった赤髪が特徴的な彼女は、肉屋の看板娘であり、マルクの思い人である。ゆったりとした服の上からでもわかる豊満な体つきは、ニーナ市の多くの男性をとりこにしている、らしい。マルクたちの噂話が聞こえてきただけなので、真偽のほどは定かではない。しかし、彼女の人当たりの良い笑顔は、確かに多くの人を惹きつけるだろう。
「そうですね」
ハナミもにこやかに応じている。彼が姿勢を正した際にアザミの前に立ちふさがったため、エメの姿は見えなくなってしまったが、彼女が何か言葉を返したように聞こえた。ハナミには聞こえなかったのだろうか。きびすを返そうとしたので引き留める。
「なあ、話の途中……」
すると、今度は腰の曲がった老婆が話に加わった。
「王様のご威光のおかげでこのお天気なんだよ。皆、王様に感謝しな」
「これだけ天気が続くと雨もほしくなるけどな」
芋類を並べた露店の中年男性が口を挟む。
「大丈夫だよ、何年か前に王様が貯水池の整備をしてくれたろ。多少の雨不足なんてどうってことないさ」
シーズイモを買いあげた神経質そうな若い男性がそう言い残して去っていった。国の南端にまで、王族に対する信仰と彼らの治政は広く浸透していた。
どさくさに紛れて、ハナミに腕を引かれる。会話の途中で抜けるのは申しわけなかったが、
「いつまでも解放してもらえなさそうだから」
と、ハナミが小声で言うのは確かにそのとおりだったので、アザミは小さくうなずいて彼に続いた。
その後も少し歩くたびに人々――主に女性に声をかけられた。
酒や汁物の試飲はともかく、腰紐の飾りや花束がどんどんハナミの籠に放りこまれていく。損得に敏感な商売人が無償で人に物をあげるなんて驚きである。
「す、すごいな……」
貢物の数も、それを平然と受け取るハナミも。さすがイケメン。慣れているに違いない。彼は高校生だったころもバレンタインで山ほどのチョコをもらっていたし。
「アザミくん、ごめんね。荷物持ってもらっちゃって」
「いや、僕はそのためについてきたんだから」
「飼い主サマに荷物持ちさせるなんて犬失格だよ」
「まだそんなこと言ってるのか」
ハナミは犬を自称するのが気にいったらしく、たびたび自分のことを犬と呼んではばからない。そんな自称犬がどうして飼い主と出かけることになったかというと、話は昨晩に遡る。
「ただいま戻りました」
「帰った」
アザミたちがモンフォール邸からゴーチエ宅兼食堂に帰るのは夜の六時過ぎだ。扉を開けると、酒に酔った男たちでほとんど席がうまっている中を、アンリとハナミが忙しく立ち回っている様子が目に飛びこんでくる。
「おーい、麦酒が足りねえぞお」
「少々お待ちください」
「こっちも二つ麦酒追加ぁ」
ニーナ市でも指折りの人気店だけあって、まだ日が沈む前からこの賑わいだ。
「これ、今日の夕飯ね」
「はい!」
チーヌ曜日は休みの前日ということもあり、夜半まで客が途切れることがない。そのため、親方をはじめギルドの面々は、食堂ではなく部屋で夕飯をとることにしていた。アザミはアンリの指示に従ってゴーチエと先輩方に食事を届けると、自分も部屋でパンと鶏肉の香草焼きをかっこむ。そして、大急ぎで食堂に舞い戻った。
調理場は戦場だ。注文が通るたびに葡萄酒を煮詰めたかけだれを温め、肉を焼く。その合間に汁物や豆の煮込みをよそう。手際の良さが物を言う調理場ではアザミはかえって邪魔になるので、もっぱら注文の聞き役と酒を注ぐことに徹していた。
「おい、アザミ、早く麦酒持ってこい!」
「は、はい……!」
常連客とはいえ、大声で急かされるといまだに少し萎縮してしまう。ここに来てまだ日が浅いハナミは、調理の手伝いだけでなく、客との立ち回りもそつがないのに。
考えると落ちこむので、アザミはとにかく仕事に集中した。あっという間に週末の夜は更けていく。
十時半に営業を終えて明日の準備まですませると、いつものように夜のお茶会だ。部屋から降りてきたゴーチエも加わり、大人三人は葡萄酒、アザミだけが牛乳で乾杯する。お供はアザミ好みの甘さ控えめなフォンダンである。
「明日の午後、お休みをいただいていいですか? お菓子の材料を仕入れに行きたいんです」
「いいわよ。アンタのお菓子、本当によく売れてるわよねえ」
「おかげさまで」
(そうなんだ)
ハナミが食堂の手伝いと並行して菓子販売を始めてから五日が経った。通りに面した窓に細長い板を置いてカウンターを作り、即席の販売所を設けているらしい。毎日大盛況で、店の前には人だかりができるほどだという。昼過ぎには完売してしまうようで、アザミはまだ菓子販売の現場を見たことがないのだが。
「今日の売り上げは一万五千トルです。五千トルお渡しします」
そう言って、アザミは銅貨の山をアンリに渡した。五千トルは、銅貨五十枚のことである。菓子販売の場所代や衣食住の費用として、毎日売り上げの三分の一をアンリに渡すことにしたのだそうだ。アンリは「そんなにもらえないよ」と固辞したが、ハナミが折れなかったらしい。彼はいつだって、こうと決めたら頑固なのだ。
「僕も一緒に行くよ」
リーヌ曜日は家で家族そろって食事をするのが一般的なので、食堂の客足は多くない。そのため、アザミもリーヌ曜日の午後は休みなのである。
「大丈夫だよ、せっかくの休みなんだからちゃんと休みな」
「いつもお菓子をごちそうになってるんだから、このくらい手伝わせてほしい」
頑固なハナミは絶対に金を受け取らないので、こういうことでないとお返しができないのだ。
「それじゃあ、せっかくだし買い物がてら市内の案内してよ。まだぜんぜんニーナ市のことわからないからさ、犬の散歩に付き合って」
「僕はおまえの飼い主じゃない」
「そんなつれないこと言わないでよ」
そんな会話を経て、アザミはハナミの買い出しについていくことになった。犬の散歩云々はさておき、彼の要望どおり町の散策にもつきあうことにしたのだった。
一度食堂に戻り、買いこんだ荷物を置いてから、アザミたちはふたたび広場に繰りだす。
ニーナ市では、広場を中心に道路が同心円状に作られている。また、東西南北に設けられた四つの市門から、大通りが真っ直ぐ広場まで続いている。つまり、どこに向かうにも広場を起点にしたほうがわかりやすいのだ。
「この店は食堂、うちのライバル。それでその隣はパン屋」
通り沿いの店を一店ずつ教えてやる。しかし、その隣の店がなんだったか思い出せない。
「えーっと、なんだっけ」
店の窓が閉まっているため中を覗くこともできず、うんうん考えこんでいると、看板をちらっと見たハナミが、
「宿屋?」
と、言った。
「そうだった、宿屋だ。おまえ、この国の文字が読めるんだな」
「まあね」
(看板に絵が描いてあればなあ……)
そうは思うが、王族以外を絵にあらわすのは不敬だと禁じられている以上、仕方がない。
「広場の真ん中から見て、教会が北側。広場より北側の区画には偉い人やお金持ちが多く住んでるんだよ」
観光案内よろしく、教会を指して説明する。陽光に照らされて、白亜の壁がまぶしく輝いている。
「本当に豪奢だな」
「王都の教会を見たことがあるハナミでもそう思うのか」
「ああ、こんなに立派な教会はあまり見かけないよ」
全国を旅したハナミが言うのだからそうなのだろう。アザミも初めてこの建物を見たときは、あまりの荘厳さに圧倒された。アザミが言葉を覚え始めたころ、司教にそんな話をしたことがある。司教はそういう気持ちから信心が生まれるのだと言っていた。信じるに値するものがいかに神聖であるか演出するのが重要なのだ、と。
それを聞いたアザミは、
(だったら自分ももっと真面目な言動をすればいいのに)
と思ったのだが、それが顔に出ていたらしく、ふっと笑われた。
「これだけ異教徒がこの町に入りこんでいるのだから、教会の教えを緩くしてやらないといろいろ軋轢が生まれるだろうが」
方便のような気もするが、確かにニーナ市にはたくさんのマシ人が出入りしているから、あまり厳しい戒律で人々を縛るのは得策ではないのかもしれない。
「オベール司教に挨拶してきてもいい? すぐ終わるから」
「いいよ」
ハナミと連れ立って教会に足を踏み入れる。薄暗い室内に目が慣れてくると、祭壇の奥でオベールがかがんでいるのが見えた。アザミが近づくと、彼は鷹揚に顔を上げる。
「こんにちは」
「おう、アザミよ。元気か」
「はい、元気です」
顔を見せるだけでオベールはいつも安心したように笑ってくれるので、アザミは定期的に司教のもとを訪れるようにしていた。アザミにとっては転移した先で初めて出会った人物であり、保護者の一人でもあるのだ。
「そうか、それは良かった。これからもアザミに王族の皆様のご加護が続くように。フリイ」
オベールはそう唱えて、顔の前で手を振った。
「ありがとうございます。司教にも変わらぬ幸運とご加護がありますように。フリイ」
彼は次にハナミを見上げた。
「転移者殿は、最近菓子作りを始められたそうですな」
「ええ。もうダルヴリッセル司教のお耳に届いているなんて光栄です」
ハナミが小さく会釈すると、彼はうなずく。
「ここにはいろんな人間が集まってくるので、どうしても耳が早くなるのですよ。すぐに完売してしまうので、幻の菓子などと言われているようですね」
(すごいな)
まだ菓子販売を開始して十日足らずなのに、とんでもない反響だ。
「それにしても、どうして菓子を売ることにしたのですか? アンリのところだったら、大酒飲みの連中のほうがよく集まるのに」
「お菓子を作るのが特技だからです」
「ほう。それでは、王宮では料理人をされていたのですか?」
オベールが上目遣いでうかがうと、ハナミはにこやかにうなずいた。
「そんなところです」
(そうなんだ……)
アザミはハナミのことをよく知らない。以前はぐらかされてから、聞くに聞けなくなってしまった。彼はこちらに転移してから五年もの間、どうしていたのだろう。昔から器用だし、菓子作りの腕前はプロ並みだったから、王宮でも重宝されていたとは思う。しかし、彼のようなはっきりした性格の人間がうやむやにしたがるということは、きっと辛い思いもたくさんしたに違いない。そう思うと、無理に聞きだすことははばかられた。
「ダルヴリッセル司教は、王都にいらしたことはありますか?」
「ええ、何度か。ずいぶん昔ですが」
「そうなんですね。祭壇の意匠も、そこに飾られているトルバート青石の花瓶も、最近王都で流行っているものだったので、よくいらっしゃっているのかと思いました」
「最近王都からやってきた商人に勧められるまま買い替えたのですよ。いつまでも古びたままだと、教会の威信にも関わりますので」
「ええ、わかります。印象の九割は見た目で決まると言われていますからね。その点、この教会は外装だけでなく装飾品の一つ一つまで素晴らしい」
「ええ、来た人すべてに王族の権威を感じていただきたいですからね」
「なるほど」
その後もしばらく雑談したのち――アザミは聞いていただけだが――、二人は教会を出た。途端に喧騒が広がり、一気に現実に引き戻される。
「北門の近くには仕立て屋が多くあるんだ。おまえ、この間もう一回り大きな小袋がほしいって言ってただろ。新調したくなったら、タノーって職人の店がおすすめだよ。案内するな」
北門に続く大通りを歩きだすとすぐに、通り沿いに長い鉄柵が続く。鉄柵の内側には木々が茂り、中の様子はわからない。鉄柵のすぐ前には、等間隔で警備の私兵が配置されていた。
「ここがギヨーム・トレゾール様の屋敷。このニーナ市で一番金持ちの商人だって聞いてる」
「ずいぶん物々しいね」
「美術品を集めるのが好きらしい。貴重な作品をたくさん持ってるから、盗まれないか心配なんじゃないか?」
ふと、アザミは先日の会話を思いだす。
「マルクさんが、ニーナ辺境伯の城は王都の貴族の屋敷より立派だったって言ってたんだよな。トレゾール様の屋敷の何倍くらいあるんだろう?」
ハナミは曲がり角の見えない囲いを一瞥して「どうかなあ」と曖昧な返事をした。
「さすがに一商人の屋敷と辺境伯の城は比較にもならないだろうけれど、貴族の端くれの屋敷と比べたら同じくらい広いかもね。本当にこの町は羽振りがいいみたいだ。王都に匹敵するくらいに」
「へえ」
確かに市場は活気に満ちているし、皆明るい印象だ。
しかし、そう感じるのは広場にほど近い中流階級の住宅街で暮らしているおかげだからなのだと、このときまでアザミは知るよしもなかった。
そこで、リーヌ曜日の午後、アザミはハナミとともに市場に繰りだしていた。
「ずいぶんマシ国の文化が浸透しているんだね」
ニーナ市にやってきてまだ二十日ほどしか経っていないハナミには、この地域に漂う異国情緒が珍しいようだった。アザミにとってはすでに見慣れた光景なので、彼の反応は逆に新鮮である。
「僕はこの市から出たことがないんだけれど、他の地域ってどんな様子なんだ? ニーナ市とはぜんぜん違うのか?」
アザミはトルバート王国という国の大きさも知らない。異世界に飛ばされるというファンタジーなできごとに巻きこまれたわりに、勇者になって国中を旅するとか、王都に出向いて王族と結婚するとか、そういう特別なことは何も起きなかったので、アザミにとっては日本の田舎町から異世界の地方都市に引っ越しただけという認識なのである。もちろん、言葉も常識も何もかもが違う異世界で暮らすのは非常に大変なことだけれど。今の暮らしに満足していて、壁の外に出たいと思ったことはなかったが、ハナミがこれまでどんなものを見てきたのかは気になる。
「そうだねえ、やっぱり王都はどの場所よりも栄えているよ。それに、この国でしか採れないトルバート青石っていう鮮やかな青い石があるんだけれど、その石をふんだんに使った王宮と教会は本当に美しくて、国内外でも有名なんだ。あとは、ソシロー伯領では温泉があったよ。まさか異世界で温泉に出会うとは思わなくてびっくりした」
「温泉かあ。いいなあ」
貴族以外の家にはたいてい浴室がないため、体を洗うためには広場にある公共の浴場に行かなくてはならない。しかし、入浴料がかかるので、アザミは夏場以外は二日に一度しか風呂に入っていなかった。日本では蛇口をひねれば水も湯も出てくるのがあたりまえだったが、この二年でそれが非常に恵まれたことだと思い知った。
「今度一緒に行こうよ。ソシローはダフキっていうおだんごみたいなお菓子もおいしかったし、何より葡萄酒がうまいんだ」
「いや、僕まだ十九だし……」
「何言ってるの。この国では十五から成人だろう?」
「そうだけど」
なんとなく気が引けて、アザミは今まで酒を口にしたことがなかった。
「もったいないなあ。でも、それだけ身持ちが固いのは安心だ。あ、マシ国の酒って透明で日本酒みたいなんだね。おいしい」
市場を歩くといろんな店の人に声をかけられる。ハナミは目立つから余計だ。酒樽が並んだ露店では試飲を勧められ、パンを売る店では試食を勧められる。
「こんにちは。今日も天気が良くて絶好の買い物日和ですね」
買い物客にまで話しかけられている。ハナミの背後から声の主を確認して、アザミは思わず「あ」と漏らしそうになった。
(エメさんだ……)
パーマがかった赤髪が特徴的な彼女は、肉屋の看板娘であり、マルクの思い人である。ゆったりとした服の上からでもわかる豊満な体つきは、ニーナ市の多くの男性をとりこにしている、らしい。マルクたちの噂話が聞こえてきただけなので、真偽のほどは定かではない。しかし、彼女の人当たりの良い笑顔は、確かに多くの人を惹きつけるだろう。
「そうですね」
ハナミもにこやかに応じている。彼が姿勢を正した際にアザミの前に立ちふさがったため、エメの姿は見えなくなってしまったが、彼女が何か言葉を返したように聞こえた。ハナミには聞こえなかったのだろうか。きびすを返そうとしたので引き留める。
「なあ、話の途中……」
すると、今度は腰の曲がった老婆が話に加わった。
「王様のご威光のおかげでこのお天気なんだよ。皆、王様に感謝しな」
「これだけ天気が続くと雨もほしくなるけどな」
芋類を並べた露店の中年男性が口を挟む。
「大丈夫だよ、何年か前に王様が貯水池の整備をしてくれたろ。多少の雨不足なんてどうってことないさ」
シーズイモを買いあげた神経質そうな若い男性がそう言い残して去っていった。国の南端にまで、王族に対する信仰と彼らの治政は広く浸透していた。
どさくさに紛れて、ハナミに腕を引かれる。会話の途中で抜けるのは申しわけなかったが、
「いつまでも解放してもらえなさそうだから」
と、ハナミが小声で言うのは確かにそのとおりだったので、アザミは小さくうなずいて彼に続いた。
その後も少し歩くたびに人々――主に女性に声をかけられた。
酒や汁物の試飲はともかく、腰紐の飾りや花束がどんどんハナミの籠に放りこまれていく。損得に敏感な商売人が無償で人に物をあげるなんて驚きである。
「す、すごいな……」
貢物の数も、それを平然と受け取るハナミも。さすがイケメン。慣れているに違いない。彼は高校生だったころもバレンタインで山ほどのチョコをもらっていたし。
「アザミくん、ごめんね。荷物持ってもらっちゃって」
「いや、僕はそのためについてきたんだから」
「飼い主サマに荷物持ちさせるなんて犬失格だよ」
「まだそんなこと言ってるのか」
ハナミは犬を自称するのが気にいったらしく、たびたび自分のことを犬と呼んではばからない。そんな自称犬がどうして飼い主と出かけることになったかというと、話は昨晩に遡る。
「ただいま戻りました」
「帰った」
アザミたちがモンフォール邸からゴーチエ宅兼食堂に帰るのは夜の六時過ぎだ。扉を開けると、酒に酔った男たちでほとんど席がうまっている中を、アンリとハナミが忙しく立ち回っている様子が目に飛びこんでくる。
「おーい、麦酒が足りねえぞお」
「少々お待ちください」
「こっちも二つ麦酒追加ぁ」
ニーナ市でも指折りの人気店だけあって、まだ日が沈む前からこの賑わいだ。
「これ、今日の夕飯ね」
「はい!」
チーヌ曜日は休みの前日ということもあり、夜半まで客が途切れることがない。そのため、親方をはじめギルドの面々は、食堂ではなく部屋で夕飯をとることにしていた。アザミはアンリの指示に従ってゴーチエと先輩方に食事を届けると、自分も部屋でパンと鶏肉の香草焼きをかっこむ。そして、大急ぎで食堂に舞い戻った。
調理場は戦場だ。注文が通るたびに葡萄酒を煮詰めたかけだれを温め、肉を焼く。その合間に汁物や豆の煮込みをよそう。手際の良さが物を言う調理場ではアザミはかえって邪魔になるので、もっぱら注文の聞き役と酒を注ぐことに徹していた。
「おい、アザミ、早く麦酒持ってこい!」
「は、はい……!」
常連客とはいえ、大声で急かされるといまだに少し萎縮してしまう。ここに来てまだ日が浅いハナミは、調理の手伝いだけでなく、客との立ち回りもそつがないのに。
考えると落ちこむので、アザミはとにかく仕事に集中した。あっという間に週末の夜は更けていく。
十時半に営業を終えて明日の準備まですませると、いつものように夜のお茶会だ。部屋から降りてきたゴーチエも加わり、大人三人は葡萄酒、アザミだけが牛乳で乾杯する。お供はアザミ好みの甘さ控えめなフォンダンである。
「明日の午後、お休みをいただいていいですか? お菓子の材料を仕入れに行きたいんです」
「いいわよ。アンタのお菓子、本当によく売れてるわよねえ」
「おかげさまで」
(そうなんだ)
ハナミが食堂の手伝いと並行して菓子販売を始めてから五日が経った。通りに面した窓に細長い板を置いてカウンターを作り、即席の販売所を設けているらしい。毎日大盛況で、店の前には人だかりができるほどだという。昼過ぎには完売してしまうようで、アザミはまだ菓子販売の現場を見たことがないのだが。
「今日の売り上げは一万五千トルです。五千トルお渡しします」
そう言って、アザミは銅貨の山をアンリに渡した。五千トルは、銅貨五十枚のことである。菓子販売の場所代や衣食住の費用として、毎日売り上げの三分の一をアンリに渡すことにしたのだそうだ。アンリは「そんなにもらえないよ」と固辞したが、ハナミが折れなかったらしい。彼はいつだって、こうと決めたら頑固なのだ。
「僕も一緒に行くよ」
リーヌ曜日は家で家族そろって食事をするのが一般的なので、食堂の客足は多くない。そのため、アザミもリーヌ曜日の午後は休みなのである。
「大丈夫だよ、せっかくの休みなんだからちゃんと休みな」
「いつもお菓子をごちそうになってるんだから、このくらい手伝わせてほしい」
頑固なハナミは絶対に金を受け取らないので、こういうことでないとお返しができないのだ。
「それじゃあ、せっかくだし買い物がてら市内の案内してよ。まだぜんぜんニーナ市のことわからないからさ、犬の散歩に付き合って」
「僕はおまえの飼い主じゃない」
「そんなつれないこと言わないでよ」
そんな会話を経て、アザミはハナミの買い出しについていくことになった。犬の散歩云々はさておき、彼の要望どおり町の散策にもつきあうことにしたのだった。
一度食堂に戻り、買いこんだ荷物を置いてから、アザミたちはふたたび広場に繰りだす。
ニーナ市では、広場を中心に道路が同心円状に作られている。また、東西南北に設けられた四つの市門から、大通りが真っ直ぐ広場まで続いている。つまり、どこに向かうにも広場を起点にしたほうがわかりやすいのだ。
「この店は食堂、うちのライバル。それでその隣はパン屋」
通り沿いの店を一店ずつ教えてやる。しかし、その隣の店がなんだったか思い出せない。
「えーっと、なんだっけ」
店の窓が閉まっているため中を覗くこともできず、うんうん考えこんでいると、看板をちらっと見たハナミが、
「宿屋?」
と、言った。
「そうだった、宿屋だ。おまえ、この国の文字が読めるんだな」
「まあね」
(看板に絵が描いてあればなあ……)
そうは思うが、王族以外を絵にあらわすのは不敬だと禁じられている以上、仕方がない。
「広場の真ん中から見て、教会が北側。広場より北側の区画には偉い人やお金持ちが多く住んでるんだよ」
観光案内よろしく、教会を指して説明する。陽光に照らされて、白亜の壁がまぶしく輝いている。
「本当に豪奢だな」
「王都の教会を見たことがあるハナミでもそう思うのか」
「ああ、こんなに立派な教会はあまり見かけないよ」
全国を旅したハナミが言うのだからそうなのだろう。アザミも初めてこの建物を見たときは、あまりの荘厳さに圧倒された。アザミが言葉を覚え始めたころ、司教にそんな話をしたことがある。司教はそういう気持ちから信心が生まれるのだと言っていた。信じるに値するものがいかに神聖であるか演出するのが重要なのだ、と。
それを聞いたアザミは、
(だったら自分ももっと真面目な言動をすればいいのに)
と思ったのだが、それが顔に出ていたらしく、ふっと笑われた。
「これだけ異教徒がこの町に入りこんでいるのだから、教会の教えを緩くしてやらないといろいろ軋轢が生まれるだろうが」
方便のような気もするが、確かにニーナ市にはたくさんのマシ人が出入りしているから、あまり厳しい戒律で人々を縛るのは得策ではないのかもしれない。
「オベール司教に挨拶してきてもいい? すぐ終わるから」
「いいよ」
ハナミと連れ立って教会に足を踏み入れる。薄暗い室内に目が慣れてくると、祭壇の奥でオベールがかがんでいるのが見えた。アザミが近づくと、彼は鷹揚に顔を上げる。
「こんにちは」
「おう、アザミよ。元気か」
「はい、元気です」
顔を見せるだけでオベールはいつも安心したように笑ってくれるので、アザミは定期的に司教のもとを訪れるようにしていた。アザミにとっては転移した先で初めて出会った人物であり、保護者の一人でもあるのだ。
「そうか、それは良かった。これからもアザミに王族の皆様のご加護が続くように。フリイ」
オベールはそう唱えて、顔の前で手を振った。
「ありがとうございます。司教にも変わらぬ幸運とご加護がありますように。フリイ」
彼は次にハナミを見上げた。
「転移者殿は、最近菓子作りを始められたそうですな」
「ええ。もうダルヴリッセル司教のお耳に届いているなんて光栄です」
ハナミが小さく会釈すると、彼はうなずく。
「ここにはいろんな人間が集まってくるので、どうしても耳が早くなるのですよ。すぐに完売してしまうので、幻の菓子などと言われているようですね」
(すごいな)
まだ菓子販売を開始して十日足らずなのに、とんでもない反響だ。
「それにしても、どうして菓子を売ることにしたのですか? アンリのところだったら、大酒飲みの連中のほうがよく集まるのに」
「お菓子を作るのが特技だからです」
「ほう。それでは、王宮では料理人をされていたのですか?」
オベールが上目遣いでうかがうと、ハナミはにこやかにうなずいた。
「そんなところです」
(そうなんだ……)
アザミはハナミのことをよく知らない。以前はぐらかされてから、聞くに聞けなくなってしまった。彼はこちらに転移してから五年もの間、どうしていたのだろう。昔から器用だし、菓子作りの腕前はプロ並みだったから、王宮でも重宝されていたとは思う。しかし、彼のようなはっきりした性格の人間がうやむやにしたがるということは、きっと辛い思いもたくさんしたに違いない。そう思うと、無理に聞きだすことははばかられた。
「ダルヴリッセル司教は、王都にいらしたことはありますか?」
「ええ、何度か。ずいぶん昔ですが」
「そうなんですね。祭壇の意匠も、そこに飾られているトルバート青石の花瓶も、最近王都で流行っているものだったので、よくいらっしゃっているのかと思いました」
「最近王都からやってきた商人に勧められるまま買い替えたのですよ。いつまでも古びたままだと、教会の威信にも関わりますので」
「ええ、わかります。印象の九割は見た目で決まると言われていますからね。その点、この教会は外装だけでなく装飾品の一つ一つまで素晴らしい」
「ええ、来た人すべてに王族の権威を感じていただきたいですからね」
「なるほど」
その後もしばらく雑談したのち――アザミは聞いていただけだが――、二人は教会を出た。途端に喧騒が広がり、一気に現実に引き戻される。
「北門の近くには仕立て屋が多くあるんだ。おまえ、この間もう一回り大きな小袋がほしいって言ってただろ。新調したくなったら、タノーって職人の店がおすすめだよ。案内するな」
北門に続く大通りを歩きだすとすぐに、通り沿いに長い鉄柵が続く。鉄柵の内側には木々が茂り、中の様子はわからない。鉄柵のすぐ前には、等間隔で警備の私兵が配置されていた。
「ここがギヨーム・トレゾール様の屋敷。このニーナ市で一番金持ちの商人だって聞いてる」
「ずいぶん物々しいね」
「美術品を集めるのが好きらしい。貴重な作品をたくさん持ってるから、盗まれないか心配なんじゃないか?」
ふと、アザミは先日の会話を思いだす。
「マルクさんが、ニーナ辺境伯の城は王都の貴族の屋敷より立派だったって言ってたんだよな。トレゾール様の屋敷の何倍くらいあるんだろう?」
ハナミは曲がり角の見えない囲いを一瞥して「どうかなあ」と曖昧な返事をした。
「さすがに一商人の屋敷と辺境伯の城は比較にもならないだろうけれど、貴族の端くれの屋敷と比べたら同じくらい広いかもね。本当にこの町は羽振りがいいみたいだ。王都に匹敵するくらいに」
「へえ」
確かに市場は活気に満ちているし、皆明るい印象だ。
しかし、そう感じるのは広場にほど近い中流階級の住宅街で暮らしているおかげだからなのだと、このときまでアザミは知るよしもなかった。
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【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
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※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
【16+4話完結】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
もふもふ守護獣と運命の出会い—ある日、青年は異世界で大きな毛玉と恋に落ちた—
なの
BL
事故に巻き込まれ、雪深い森で倒れていた青年・ユナ。
命の危険に晒されていた彼を救ったのは、白銀の毛並みを持つ美しい人狼・ゼルだった。
ゼルは誰よりも優しくて、そして――独占欲がとにかく強い。
気がつけばユナは、もふもふの里へ連れていかれる。
そこでは人狼だけでなく、獣人や精霊、もふもふとした種族たちが仲良く暮らしており、ユナは珍しい「人間」として大歓迎される。
しかし、ゼルだけは露骨にユナを奪われまいとし、
「触るな」「見るな」「近づくな」と嫉妬を隠そうとしない。
もふもふに抱きしめられる日々。
嫉妬と優しさに包まれながら、ユナは少しずつ居場所を取り戻していく――。
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
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2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!
キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!?
あらすじ
「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」
前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。
今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。
お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。
顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……?
「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」
「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」
スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!?
しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。
【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】
「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」
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