王道学園のモブ

四季織

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第19話 剣道の試合イベント2

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 廊下に主人公を引っ張り出すと、副会長も双子庶務も付いてきた。

「剣道は声援、駄目って知らないのかよ。みんな拍手で応援してるだろ。それから、審判に文句言うな」
「なんだよ、俺が応援したいからするんだよ! 邪魔すんな!」
「あんなのヤジじゃないか! それで、もし先輩が退場になったら、お前どうすんだ!」

 副会長も双子庶務も俺に怒ってたけど、やっと気づいたような顔をした。

「あんたらも、ちゃんと諌めてください」
「き、決まりに囚われない自由さが、あおいなんです」

 何言ってんだ。
 あんたのいう自由さのせいで、仕事サボって、先輩の邪魔したくせに。


「剣道は礼節を重んじる武道ですよ。あんたらだって、苦しくてもしきたりを学んできたんでしょ? それ踏み躙られて、自由だからで許せるんですか」

「先輩は最後の試合なんですよ」

 続けられるかも、分からないんだ。
 これで本当に最後になったら。
 あの人の努力はどこへ行くんだ。


 副会長は茶道、双子庶務は能と、それぞれ格式ある家元の令息だ。
 礼節を重んじる意味は、十分理解しているはず。
 それが重荷で、屈託のない主人公に救いを求めたんだとしても。


 さっきまで一緒にきゃんきゃん言ってた双子庶務は黙ってしまい、副会長は神妙な顔で俺を見ていた。

「あおい、帰りましょう」
「あ! なんだよ、玲! 俺の味方だろ?! 離せって!」
 
 甲高い主人公の声は、廊下に消えていった。


 結局、お咎めはなく、先輩達は予選リーグを制したけど、翌日の決勝で敗れた。
 相手は七連覇っていう超強豪校だったんだし、先輩達も悔しそうだけど、表情は晴れ晴れしていた。

 そこはゲーム補正はかからなかったんだな。

 惜しみない拍手を送る応援席に、先輩が深く頭を下げていた。

 先輩の夏は終わった。



 そして、実家のお盆で。
 俺は、久々に柔道着に手を通していた。
 あれだけ、先輩の前で泣いてたくせに。

 俺の成績と補習に激怒した母さんが、祖父ちゃんに強制稽古をお願いしたんだ。
 祖父ちゃんも黙って従ってたから、母さんの怒りは半端なかった。

 せめて、先輩に感化されて柔道着を着たっていうカッコいい理由だったら良かったのにな。



□□□□



 秋は文化祭のシーズンだ。いよいよ、ゲームも大詰めになる。
 ここで親密度が高ければ、攻略対象者から告白されるんだ。

 俺といえば、有り難いことに嫌がらせは鳴りを潜めていた。
 5月の姫抱っこから時間も経ってるし、「俺は先輩が面倒みてる後輩なだけだから」って言うと、一ノ瀬が変な顔をした。

「本気で言ってる?」
「夏休み、寮で一緒の部屋にいたんだろ? 何もなかったのかよ」
「何もって……ないけど」
「マジか」
「斎木先輩、意外にヘタレ」
「斎木様をディスらないで!」

「小坂は、斎木先輩をどう思ってるの。好きなんでしょ?」

 加賀谷が直球で聞いてきた。


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