アイドル候補生の初めてもらったテレビの企画が「天才アイドルは異世界で勇者になれるのか」だった件

静内燕

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一緒に食事を……

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 その突然の問いかけに幸乃は腕を組んで考え込む。

「う~~んそう問いかけられると返答にこまるな~~」

 そしてしばしの時間が流れたあと、答え始める。

「んまあ、意地というか……私いつもそうなんだよね、こういうときって自分が損しても感情的になってやり遂げたいって思っちゃうんだよね。 そんな時もあるけど、まあ妥協したくないって考えるからかな?」

 ベルも話に入る。

「まあ幸乃さんってそういうところありますよね、なんだかんだ言ってそういう人を見捨てておけないというところが」

「ちょっと、あんまりほめられると私だって恥ずかしいよ~」

 そう言いながら幸乃はベルの腕をぎゅっと握り始める。そんなやりとりをしながら3人は教会に帰って行った。



 ※



 夜、今日はゲントナーさんと一緒に食事をする日だった。
 3人ともせめてものお礼になればいいと妻が料理しているところを手伝った。

「いつもりがとうございます」

 幸乃は申し訳なさそうな表情をして口元の前で手を合わせるようなそぶりでお礼を言う。

 そして食事の時間になる。 サンドイッチにチキンステーキにサラダという内容だった。 しかし、ステーキのソースには味わい深い果物のソースが添えられていたりと食事の内容でも味にひと工夫が加えられたりしていてお店で食べる料理に負けないくらいおいしかった。

 食事をしながら幸乃はゲントナーに話しかける。

「すいません、ちょっとよろしいですか?」

何かね? と彼はほほ笑んで口を開く

「エルリス教の事で聞きたい事があります」

 幸乃は彼に話し始めた、昨日のクエストで起こったことをエンデバーが私欲で冒険者たちの力を悪用しようとしたこと、バルディビアの事も……

「ああ、そのことか……」

 するとエンデバーは沈黙し出し、腕を組み考えを巡らせ始める。 そして言葉を整理したのか1分ほどすると重い口を開き始める。

「我々は古来より海の向こうの国からこの国のような遠い地に進出していた」

「それは自らの欲ではなく神のご加護を世界中の人々へ広げるためであった、ただ……」

 ゲントナーは気まずい表情になる。 そしてゆっくりと口を開き始める。

 最近の本部の覇権主義的なやり方には目に余るものを感じる。

 まるで自分達がすべての人種や宗教の頂点にいるような態度だ
 何でも自分たちのやりたいことばかりを通そうとし、逆らえば力づくで押し通してばかり

 実際は違う、人種にも、宗教にも何だって上も下もないはずなんだ
 おまけに無理に武力で押し通そうとすれば反感を買うのは当然だ
 全ての教団の者たちがそうではないと信じたいが、そういうものを感じているよ……

 彼はそう語った。

「あ、ありがとうございます……」

 意外な答えに幸乃は戸惑う。 その言葉に再びこの場が沈黙しだした。

 そのまま食事を進めながら幸乃は今度はベルにどうして私と行動しているのかを質問し始める。するとベルはそっと何かを考えたようなそぶりの後答え始める。

「私が幸乃さんと行動するのはこの地の存在している冥王とその手下たちを倒すこと、そして彼にとらわれた親友を救い出す事です」

「冥王?」

 突然の単語に幸乃は戸惑い始める。 そのそぶりにベルは説明しだす。

「順を追って説明します、まず冥王とは最近になってどこかからかこの地方に現れた存在です」

「え?」

 リルカのその言葉に反応する、その反応に幸乃が質問する。

「リルカちゃん、どうしたの?」

「あ、いえ何でもないです」

 リルカは両手を振って否定する。 ベルはそれを見て話を続ける

「彼は人々の心の闇や欲望に反応します、そしてそれらに悪霊のように取り付き始めます、そしてその心を増大させ、絶大な魔力を生み出します」

「そして取りついた人間は冥王とその手下は宿主隣に人格そのものを乗っ取ります、その力を利用し冥王は世界を征服しようとしています」

 そしてベルはそっぽを向きうつむき始める。


 「私の親友もそうです、でも悪いのは私です、親友でありながら彼女の心の闇を理解できなかった……だから取り戻すために戦うんです。
 そして私は冥王の存在に気付き、彼を追っている人物と出会い、そこで遠い世界から来た青い髪の少女と一緒に行動するように指示を受け、その通り幸乃さんと行動を開始しました」

「へぇ~~、私がここに来る前にそんな事があったんだ……」

 驚く幸乃、ベルの過去の何かありそうな言動はしていたがそこまでの事がある事に驚く、そして彼女は思い出す。

(冥王、奈美からの手紙にも書いてあったわね……)
 そう、この世界に来た時の奈美からの手紙にも書いてあった。

 目的は皆を支配しようとしている冥王を打倒す事だと。 そして今の情報通りならベルに私と行動するように指示をした人は私の世界とつながりを持っている事になる。

(ちょっとその事について聞いてみようか)

 幸乃はそう考えベルに質問しようとするが……

「そういえば、連日ベンチで寝て疲れないのかい?」

「大丈夫です、私も冒険者ですしなれています、それに毛布だって借りていますし心配ご無用です」

「私も、寝床がみつからず公園のベンチで寝たこともあります、それに比べれば暖かいですし心配ないです」

 ゲントナーの心配にベルとリルカは大丈夫そうに答える。 それが幸乃にはベルとリルカはゲントナーと楽しそうに話しているように聞こえた。

(まあ、デリケートな質問になりそうだし後ででいっか)

 そう考え幸乃も会話に参加する。

 今度はリルカがシェルリについて彼はどういった存在なのか質問する
 さらに幸乃はリルカとゲントナーにもカメラというものを教えた、これを通して大勢の人が私たちを見ているということを説明すると……

「へえ~~すごいですねぇ~~」

 リルカはカメラを向いて笑顔になり手を振る、さらにシェルリについても興味を示し始め体を指でつんつんする。

「そうなんだーかわいい~~」

 そして1時間ほど楽しい会話の時間となり、この食事会はお開きとなった。 幸乃達3人は後片付けを行い、いつもの湖のほとりで特訓、2時間ほどで特訓は終わりいつものように川で体を洗ってから3人は礼拝堂のベンチに布団にくるまって就寝した。

 最後にカメラを回し始める、しかしその前にリルカと幸乃がカメラの前に行こうとしないベルに対して服を引っ張って出させようとする。

「ほら、たまにはベルちゃんもとるよ」

「そうですよ、写りましょうよ」

「いいですよ、恥ずかしいですから!!」

 ベルは顔を真っ赤にして首を横に振り、手をあわあわと振って断る姿勢を取る。

「ダメですよ~~今の姿勢いなんかとってもかわいいですよ、もったいないですよ、ほらほら~~」

 リルカが強引にシェルリが持っているカメラの前にベルを出させてカメラの前に3人が集う形になる、そして幸乃が締めの言葉をしゃべり始める。

「今日はいろいろあったけどおいしい料理ができてよかったです。 明日はどんなクエストが待っているんだろう、今度は3人で楽しめるクエストだといいな?じゃあまた明日!!」

 幸乃とリルカはにっこりとした笑顔に、ベルは恥ずかしそうにうつむいた表情になりカメラの収録は終わった。

「うぅぅ~~」
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