ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり

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6 入学説明会は出会いの場?

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春、麗らかにみんなお揃いの制服を着て…
「嘘っ」

馬車から降りてその光景に驚いた。
門に入っていく急ぐ後ろ姿は、男女ともに彩り様々な私服だった。
馬車から降りた私の呆然とした表情は、きっと後世に残る笑い者かもしれない。

ここは少し前まで、ストーカー的散歩道だった。だから、何でも知っている気になっていた。みんな制服を着ていたから。今だって確かに制服姿の人もいる。
しかし本日は、入学説明会の日だった。
資料をもらって、クラス分けを確認したりで、まだこの学園の生徒ではないため、私服オッケーの日だった。

今日という日を、私は、気にしていなかった。

御者の憐れむ視線を感じた。振り返り、どうしようと彼の心に問いかけた。
そう彼もまたストーカー的追いかけに、無制限待機のプロ。道を知っている彼なら、今から屋敷に戻ったりなんて…
ゆっくり顔を振る御者…
相談相手がいない。
馬車留からエスコートをしてくれる人もいない。前に一人で進むしかない。
もう一度御者に振り返り、強めに念波を飛ばす。
制服姿で進むしか道はないのか?今日入学説明会で、休んだって良くない?
体調が悪くなったとか、良い考えだよね。資料は、あなたがもらって来てよ。
御者は顔を振った。

いやいやいやいや…

そんな念波のやり取りをしていると、煌びやかな豪華な馬車が入ってきて、私の念波を遮断してきた。

「まぶ…」

「学園に緊張しているのかな、大丈夫?案内をしようか、新入生は講堂に入らなければいけないし」

太陽の反射のせいなのか、同じ人でありながら、キラキラピカピカの金髪青目の綺麗な美青年が、声をかけてくれた。その煌めく何かに当てられて考えていた事は飛んだ。

「眩しいー」

私の放った一言。だって第一印象なんだもの。思わず、口から出た一言よ。私は派手な色なんて言わないよ、キラキラしている美青年に対してね。

「ハッハハハ、面白いことを言うね、学園は、いろんな人がいるからね。貴族も平民もないよ、気遅れせずに私についてきて、講堂まで案内するよ」

と言う。
美青年の後を引き寄せられるように足が勝手に動く。不思議だわ、足元がふわふわしている。
きっと私は花(美青年)に引き寄せられた蜂になったのね。

彼を見れば制服だ。先輩方は、制服が普通なのだから、私も年上感をだして、資料だけ貰って帰れば良い。
そう考えれば、これも新たな出会い、春ですからね。友人達が羨ましがりそうな美青年に私も心がウキウキする。足元もしっかりしてきた。
すっかり制服なんて些細な事どうでもよくて。

「トリスタンおーじーさーまー」

とかなり前方から聞こえてきた。あの声は!
トリスタン?おじさま?王子様?この国の王子様!

「ゲッ」

とはしたない声をあげてしまった。振り返る美青年。瞬きをされた。
キラキラが眩しいーー肌まで反射している!?
出来ればこちらを見ないでいただきたい。

「失礼しました。トリスタン王子様とは知らず、案内していただくなんて。前方からお知り合いのご令嬢が、手を振っておりますね。私は、新入生なので、このまま真っ直ぐに進みまして、受付に行きます。本日はご親切に対応してくださりありがとうございました」

と言うだけ言って、王子を抜き去り足を進める。

「いや、同じ方向に行くから。挨拶があるんだ私も」

と言われたが、前から来た彼女は、関わりたくない人物。

「新入生ね~、早く行かないと目立ってしまうわよ。制服組同士固まった席にしないと怖いから、急いで席を確保した方が良いですよー」

と駆け足で近づきながら、こちらに話しかけてきた。ただ目は合わない。王子様しか見ていない?
ルーナさんとすれ違う。特別睨まれもせず、私は見えている?

「トリスタンおーじ、おはようございます!今の子、知り合いでしたか?私、邪魔してしまいましたか?あの、私も困っているんですけど助けて下さーい。ウィルが、補習なのに今日も学園にきてないんでーす。最近、連絡も取れなくて心配です。どうしたんでしょうか?」

「ルーナ嬢、ウィルソンのことは知らないな。風邪でもひいたんではないかな」

「え~、私困る~、ウィル、ウィルソン様に教えてもらわないと、勉強わからないんです。おーじ、教えてくれますか?風邪のお見舞いにも行きたいし。あ、そう言えば、この間のお休みの間、ボランティアの奉仕活動でハンカチの刺繍をしていたのですが、トリスタンおーじにも差し上げます。今、皆に配っていたのです。あ、アンネリーネ様にまた怒られるかしら?」

王子の返答は聞こえなかったが、彼女は、声が大きいのか、しっかり話が聞こえた…ウィルソン様は、今謹慎中ですよ。風邪ではないよ。街に行った出会いを一から十まで報告したよ。ルーナさんと愛称呼びでデートしてたよと。
まぁ婚約解消したからいいんだけども、本当は。
両親は、ボリシュ侯爵に嫌味を言うよね、それはネチネチとね。自分で婚約解消を持ち出して、家族に説得されたのか婚約解消を嫌だと謝罪をして、婚約維持しようと毎日私に熱烈に手紙を書いて、15回届いたら、1度、『もう止めてください』と書くつもりだったけど、15回も謝罪の手紙は届かなかった。嘘がみんなにバレて、本当にどうしようもない人だ。最低男だと気づかせてくれてありがとう。前世の私に感謝!

チラッと後ろを見た。もう彼女の話し声は聞こえない。
まとわりつきは、止めてない。王子様にあんなに馴れ馴れしく出来るなんて、どんな育てをしているんだろう、男爵家。

男爵令嬢ルーナ、私は嫌い。今の会話で図々しい人だと思ったし、なんか異様な人に見えた。王子様にハンカチを手渡しで贈るなんて、沢山作った一枚だとしても、婚約者のアンネリーネ様も、気分が悪くなると思う。
私の中で彼女も最低の烙印を押した。
ついこの前までの私なら、飛びついて手を叩き落として、ハンカチなんて燃やすわね。

最低同士お似合いだわ。ふふ

「気持ち悪いな、ニヤニヤしてないで、さっさと講堂に入れ、新入生」

制服に腕章、金に赤を混ぜたように光り輝きながらも、燃えるような夕日色?前髪長いし、言い方怖いし、思わずすぐに、

「すいません」

と謝ってしまった。
その後、何故、私は謝ったのかと思って顔を見て驚いた。綺麗な青い目が見えたから。こ、この人は知っている!?

「ぼけっとするな早く行け、いつまで見てる新入生!時間厳守だぞ」

と追い立てられた。これだけは言いたい。かっこいいからって見惚れていたわけではない。驚いた状態だっただけ。あの時のあの人か!状態で。
同じ腕章を付けた人達が、

「グレン、言い方!ごめんね、言い方怖かったよね。でも本当に急いだ方が良いよ。静かな所に入ると注目されてしまうからね」

「席も埋まってしまうよ」

私は、反論も言い訳もしないままに、講堂に一名様ご案内~と言わんばかりの速さで、制服組の塊に着席していた。
頭の中の整理が追いつかず、茫然として機能を停止。

「一体なんなのよ」

と呟けたのは、カリキュラムの説明中。隣の席の子が、私を見て指を立ててシィーと小声で言う。同じ制服の人達も私を見るし、一言言ってやりたくなる。

『私、侯爵令嬢よ、あなた達覚えてらっしゃい』

なんてね。これじゃ嫌われてしまうじゃない、悪役だわ、その台詞。
ハアー。トリスタン王子が挨拶をしていたし、腕章をつけた先程の怖い人は、前方で並んでいる。

「かっこいい」

見目に騙されるな、私。顔を振ると、隣の席の人に、

「目立つから、落ち着きなよ」

と注意された。知らない人達の中って怖いよね。
クロエ達に会いたい。
友人達の輪に入れば、こんな肩身の狭い思いはしないのに。今日私だけが、制服だとしても、笑って揶揄われて終わるぐらいだった。もう少し早く出発すれば良かったのよね。
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