崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二話 目指せスキルアップ!

友達になれる予感

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「ジョー! あの時の約束、忘れてないだろうな!」
「約束……?」
「ほら、バッファローの町に遊びに来るって約束さ!」
「……!」
 ジョーの目に、僅かながら迷いが生じたように見えた。それがどうしてかは分からない。しかしナガレはその様子を見てニッと笑った。取り繕うのはもうヤメだ、自分の伝えたいことを伝えるのみ。
「あの時のお礼、まだ終わってないぞ。今日のところは気分悪そうだしやめておく。だけど、忙しく無い時がきたら絶対に来てくれ! 交通費も出すし、たっくさん飯も酒もご馳走するよ!」
「…………」
「だから恩返しされに来いよ、ジョー! オレ、お前に助けてもらった時思ったんだ。スッゲー奴と出会えたってさ!」
 ジョーは何も答えない。黙ってナガレの話を聞いている。
「オレたち、結構似たもの同士だと思うんだ。だってジョーはピンチのオレを放っておいても良かったのに、助けに来てくれただろ! オレは昔、冒険者に助けられたことがあって、それに憧れたんだ! 困っている人に手を差し伸べられる、そんな存在にさ!」
「……困っている人を助けるのは当然のことだ」
 ジョーは素っ気なく、そう言っただけだ。しかしナガレは「いいや、そんなことないっ!」と、素早くジョーに詰め寄った。

「実際に困ってる人を『助けたい』って思うのは当然だ。だけどそれを実行に移せるヤツはそういない。それにはすごい勇気がいることなんだ!」

 人助けをすることの一番のハードル、それは最初の『手を差し伸べる』と言うことだとナガレは考えている。『空回りして役に立たなかったらどうしよう』『断られたら嫌だ』『悪口を言われるかもしれない』そんな思いが巡り躊躇してしまうこともあるだろう。だからこそ、実行に移す『勇気』が必要なのだ。
 ……あの時幼かった自分は、何かを言い出すことすらできなかった。大口を叩き顰蹙を買うのが嫌で縮こまっているだけだった。子供だから仕方ないと思われるかもしれない。
 だがあの冒険者……アーバンは、赤の他人の通りすがりなのにも関わらず『おせっかい』だけで手を差し伸べた。『困ってるから助けた』と言っても、みんなが躊躇する中それを易々と実行してみせた。それを見たナガレは、自分の意気地なさを子供ながらに心底後悔したのだ。

「あの時みたいに、強大なモンスターに襲われてるってんなら尚更だ。ジョーにとっては格下だったのかもしれないけど、それでも危険なことだし……でもジョーは、命を張ってオレたちを助けてくれたじゃんか!」
「……!」
「オレはそんなヤツになりたいんだ。どんな知らない人のためにも、命を張って戦えるような冒険者に! そのためにも強くならなきゃいけない……でも強さはずいぶん違っても、心は似たもの同士……だろ? だからオレたち、仲良くなれそうな気がしたんだよな」
 そこまで言い終えて、ナガレは再びニッと笑った。太陽のように明るい笑顔だ。
「酒も飲んで肉も食っていっぱい話そうぜ! ジョーっていくつだ?」
「二十歳だが……」
「そうか、オレと同い年だ! 奇遇だな! あのなジョー、オレはただ、お前ともっと話したいんだ。ゼッタイ来いよ、な! 約束だぞ!」
「……ああ、分かった。約束だ、また会おう」
 暗かったジョーの目に、一瞬だけ光が宿ったような気がした。しかし今度こそ踵を返し、ナガレがさっき入ってきたゲートの向こうへ進んでいく。ナガレはもう着いて行ったりはしなかった。

 去り際にジョーは、ナガレの言ったことを考える。
(……お前の論理は確かにそうだ。俺はお前と似ている。俺は、誰かの希望になりたくて、冒険者になったんだ)
 そして目を閉じた。
(……しかし、お前の言ったことには一つ誤算がある。お前は『ジョーのような冒険者になりたい』と言っていたが……お前は俺以上だろう)
 あの時あの少女のために戦っていたのは、他の誰でもないナガレ。ジョーのことばかり言っていたが、彼もまた誰かのために戦っていたのだ。ジョーはそれを手助けしただけにすぎない……。
(お前は力が無いのを自覚してもなお逃げることはなかった。弱くても誰かの為に戦う……それは並大抵の覚悟で可能なことじゃない)
 目を開けて、顔を上げる。晴れ渡る青空と太陽が眩しかった。

『ジョー、あなたなら大丈夫。ジョーが強く気高くいてくれる限り、私はあなたの中で生き続ける……』

 優しかった彼女の顔が浮かび上がったように感じる。最期の時までジョーを想ってくれた、あの穏やかな笑顔……。

(姉さん……)
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