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婚前の初夜1
しおりを挟むその後、私は卒業するまで今までと同じ部屋で変わりの少ない日々を暮らした。
結局、誰が私の知らない所で動いていたのかは分からなかったが、私に請求が来ていないのでもうどうでもよくなっていた。満身創痍な私にはそこに割く頭が無い。
無理な活動を続けたせいで頭がいっぱいいっぱいになっている。
まともな思考が出来ている自信がなかった。
そして、学園を卒業したその日、王都にある辺境伯の別邸へ連れていかれることになる。
セザーと私はその日が初夜となるのだからと。
婚前に行う初夜は辺境伯の習慣として、なくてはならないものだと彼の家の侍女のような人に教えられた。辺境の地は戦闘が多く、血を荒ぶらせることが多い。だから、それを収められるだけの者か、相性はどうなのかなどを最終確認する場らしい。
彼からは1度もそんなことを聞いていない。知らなかった。
そうは言っても、婚約後にセザーと初夜はどうするのなどと話す機会もなかったし、私とセザーの距離感だ。いきなりそのような触れ合いをするのは不思議な気分だった。悲しい気持ちもあるし、困惑した気持ちもある。不快感が無いとは言えないのは確かだった。
その日の朝から夜にかけてことはあまり覚えていない。
豪奢で大きくて立派な邸宅の景色も、彼にかけられた言葉も、私を整えてくれた侍女も、何もかもが怖くて、耳鳴りがして何も頭に何も入ってこなかった。
セザーとの会話も彼と2人で取った食事も、言葉が左から右へ抜けた。今までの疲れが溜まりに溜まり普通に過ごすのも無理になっていたのだ。
適当に打っていた相槌は上手く出来ていたと信じたい。
このために私は整えられて連れてこられたのだと鈍麻していながらも、体を奮い立たせ緊張して向かった夫婦の寝室で、セザーから発された発言に耳を疑った。
「……俺たちはまだ結婚もしていないし、シャルは疲れている。だから、今日俺は自室で寝ることにする。シャルはそこで寝てくれ」
なんで。
初夜をしないと。子作りをしないと。そう思っていたのに。
貴方は今なんと言ったのか。
私は、この結婚に家族の命がかかっているのに。私の全てがかかっているのに。
わざわざ離婚理由を作るようなことを望むのか。
私の未来は。私の将来は。
絶対に初夜を成功させないと。
体は直ぐに疲れ以上に恐怖に支配された。
私は瞬時に魔力を練って、彼を拘束する。
「シャル!?」
セザーは拘束されるとすぐ体を捻ったり、起き上がろうとしたりと必死に動こうとしていたが私が込めた魔力で押し込めた。彼は騎士ということもあり力が強く込められるが、彼の力より私の魔力の方が上回っている。
「め、命令なのよ……全てが懸かった命令なのに!」
せめて綺麗にと着せられたキラキラした夜着を解き床に落とす。細々とした装飾が手をもたつかせた。
「なにを言って……」
拘束を後ろへ引っ張り、セザーをベッドに転がす。そして、彼の体に跨って服を割き、彼の肉棒を私の女膣に宛てがった。
初夜についての知識は浅いが多分私の血が出る方の穴に彼のものを突っ込んで射精させればいいはずだ。確か前に読んだ、対象を性的に堕とす為の魔術書にそんなことが書いてあったはずだ。
軽く掴んだ彼の肉棒は固く、先端からはなにかの汁が滴っていて。私の腕くらいの大きさに思われるそれは大きくて怖いが治癒魔法を使い続ければ無理なものでは無い。そう無理やり覚悟を決めた。
彼の体験の1つに私を入れてしまうのは申し訳ないが、結婚してしまったのでいつかは急かされることだったろう。
ごめんなさい、私の都合で迫って。
口にはせずとも心で何度も謝罪を告げつつげた。恐怖と疲労が身を蝕んだ。
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