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学園での会話
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「シャルは、これが終わったら今日も図書館か?」
「うん、そっちも青龍騎士団へ向かうんでしょ。決まってからも、頑張ってるんだもんね」
「まぁ、そうだな。……時間か。じゃあ、また」
「うん、またね」
先月までは必死に書いていた体力増強魔法の効率化についての卒業論文に手伝って貰ってはいたが、論文関係なしにセザーと話すのはこれくらいだった。授業後に軽く一言、二言、言葉を交わす程度だ。
そもそも私は学校でずっと一人で、セザーは同じく騎士になる者数人とよく一緒に過ごしていた。そうなると、彼とは話す機会も少ない、話す内容も無い。だから、他の人よりは話していても特に仲がいいという訳でもなかった。私が他の人と話すことがほぼ無いということもあるだろうけど。
彼が何か協力出来ないかと問いかけてくれるまで、彼には話しかけられる事も、話しかける事も無かったし。
それは結婚が決まってもあまり変わらないようだ。
「シャル、どうしたんだ。目が腫れているようだが」
「……別に何も無いよ」
「そうか。シャルが大丈夫ならいいんだ」
セザーは本を抱えて図書館から出る私が目に付いたようだった。訓練場から見える位置にあるここは彼の移動範囲にあったらしい。訓練用の服を着て汗を流している彼の姿を見るのは先月ぶりだろうか。目を合わせないように手元の魔導書に目を向けた。
ちらりと彼の横を見ると何時も隣に立っている友達の姿が無い。そこから偶々見つけた私に声を掛けたと考えることが出来た。
周りから見ても小さい背だし周囲と身なりが全然違うから遠くから判別できそうなほど目立っている自覚がある。ここで結婚したから私を気にして貰えているなどと自惚れるつもりはなかった。その勘違いは彼に可哀想だ。
「あ、あと。シャル、すまないが卒業まであまり時間が取れそうにないんだ。卒業後迎えに行くように頼むから待っていてくれ」
「うん」
「悪いな」
彼にとって望まない結婚をした私にまでわざわざ直接連絡してくれる所はやはり彼の性格が出ている。そのまま過ごしたっていいはずなのに。脅されるように結婚してもちゃんとこういうことを報告してもらえるのは安堵感がある。
オレンジに染まっていく世界。彼の顔を見上げれば彼の背後に夕日が沈んでいくのが見えた。彼の焦げ茶の髪が夕陽にキラキラと照らされていく。
「私、そろそろ部屋に戻らないと」
「なら、寮の前まででも送るか?」
「良いよ。私は大丈夫。じゃあね」
「……あぁ、また」
私は彼に背を向けて自分の寮の部屋に向かった。
やはり、彼は優しいのだ。送ろうかと声をかけてくれるなんて。
私はこの後も領主様に都合のいい存在扱いを受けていくかもしれない。
結婚命令の前から領主からの手紙がピタリと止まったのだ。王の発言からして、私の家族を王に取られたのだろうとは分かる。
だが、私には脅す材料が無くなったはずなのに寮を追い出されたりはしていない。入寮にかかる費用は領主が払っているはずなのに。部屋に住むのもあと数ヶ月といえど友達も頼れるような知り合いも居ないのだ。あの人にはそれ以外にも頼っていた所が沢山ある。不安で仕方がない。
私はどうなってしまうのだろう。
何に追われるでもなく、早足で自室に戻った。
不安に襲われている私は残された日数で図書館に置かれた魔術書に書かれた詠唱を頭に叩き込み続けた。そうでもしないと耐えられそうになかった。
いくらセザーが優しくてもそこで私はどうなるのだろう。
誰にも愛されない人生を何故、送らされるのだろう。
「うん、そっちも青龍騎士団へ向かうんでしょ。決まってからも、頑張ってるんだもんね」
「まぁ、そうだな。……時間か。じゃあ、また」
「うん、またね」
先月までは必死に書いていた体力増強魔法の効率化についての卒業論文に手伝って貰ってはいたが、論文関係なしにセザーと話すのはこれくらいだった。授業後に軽く一言、二言、言葉を交わす程度だ。
そもそも私は学校でずっと一人で、セザーは同じく騎士になる者数人とよく一緒に過ごしていた。そうなると、彼とは話す機会も少ない、話す内容も無い。だから、他の人よりは話していても特に仲がいいという訳でもなかった。私が他の人と話すことがほぼ無いということもあるだろうけど。
彼が何か協力出来ないかと問いかけてくれるまで、彼には話しかけられる事も、話しかける事も無かったし。
それは結婚が決まってもあまり変わらないようだ。
「シャル、どうしたんだ。目が腫れているようだが」
「……別に何も無いよ」
「そうか。シャルが大丈夫ならいいんだ」
セザーは本を抱えて図書館から出る私が目に付いたようだった。訓練場から見える位置にあるここは彼の移動範囲にあったらしい。訓練用の服を着て汗を流している彼の姿を見るのは先月ぶりだろうか。目を合わせないように手元の魔導書に目を向けた。
ちらりと彼の横を見ると何時も隣に立っている友達の姿が無い。そこから偶々見つけた私に声を掛けたと考えることが出来た。
周りから見ても小さい背だし周囲と身なりが全然違うから遠くから判別できそうなほど目立っている自覚がある。ここで結婚したから私を気にして貰えているなどと自惚れるつもりはなかった。その勘違いは彼に可哀想だ。
「あ、あと。シャル、すまないが卒業まであまり時間が取れそうにないんだ。卒業後迎えに行くように頼むから待っていてくれ」
「うん」
「悪いな」
彼にとって望まない結婚をした私にまでわざわざ直接連絡してくれる所はやはり彼の性格が出ている。そのまま過ごしたっていいはずなのに。脅されるように結婚してもちゃんとこういうことを報告してもらえるのは安堵感がある。
オレンジに染まっていく世界。彼の顔を見上げれば彼の背後に夕日が沈んでいくのが見えた。彼の焦げ茶の髪が夕陽にキラキラと照らされていく。
「私、そろそろ部屋に戻らないと」
「なら、寮の前まででも送るか?」
「良いよ。私は大丈夫。じゃあね」
「……あぁ、また」
私は彼に背を向けて自分の寮の部屋に向かった。
やはり、彼は優しいのだ。送ろうかと声をかけてくれるなんて。
私はこの後も領主様に都合のいい存在扱いを受けていくかもしれない。
結婚命令の前から領主からの手紙がピタリと止まったのだ。王の発言からして、私の家族を王に取られたのだろうとは分かる。
だが、私には脅す材料が無くなったはずなのに寮を追い出されたりはしていない。入寮にかかる費用は領主が払っているはずなのに。部屋に住むのもあと数ヶ月といえど友達も頼れるような知り合いも居ないのだ。あの人にはそれ以外にも頼っていた所が沢山ある。不安で仕方がない。
私はどうなってしまうのだろう。
何に追われるでもなく、早足で自室に戻った。
不安に襲われている私は残された日数で図書館に置かれた魔術書に書かれた詠唱を頭に叩き込み続けた。そうでもしないと耐えられそうになかった。
いくらセザーが優しくてもそこで私はどうなるのだろう。
誰にも愛されない人生を何故、送らされるのだろう。
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