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シャル嬢、彼と結婚してくれるね?
しおりを挟むこの国に唯一ある国立学園は能力を持つ者が選ばれ入学する。
だが、努力が足りないもの、いる価値が見込めないものはすぐに退学になる。そんな学園に入学し、高位の成績で卒業した平民が私、シャルだ。
私の中に込められた魔力と魔力制御の力は国でも有数なのだと領主様に無理に連れていかれたその学園は酷く苦しかった。
私を蔑む貴族達と共に学問を頭に詰めながら、何度使っても慣れない魔法を使い、常に親が大丈夫かと不安になる。魔力と体力が疲弊して常にお腹が空いている。そんな生活だった。
私としては家に早く帰りたかったし、親へ連絡をするにもなにか功績があるならさせてやると次々成果を急かされた。もし上手くやらなければ家族を殺すぞと人質にされたりもした。それに、気位の高い貴族達の中だったから、どれだけ努力しても平民だからと侮られ取られた成果もあった。
だから、それ以上に努力して、努力して、努力して。ようやく卒業にこぎつけられたのに。
「シャル嬢。彼と結婚してくれるね?」
何故か王から呼び出されたと思うと私はセザー・クロウ辺境伯令息と結婚を命じられた。
彼はクロウ領の次の領主様であり、その隣とあらばこんな平民が嫁ぐ場所では無い。だが、王がそう言うのならば、しなければならないのだろう。彼は国に忠誠を誓う騎士でもあるのだから。
『君は家族を守りたいのだろう』
そう隣にいるセザーには聞こえないよう言われてしまえば私も何も出来なかった。家族を取られてしまえば、尚更従うしかない。
魔法という人をも殺せる力を持っても私は無力だった。
「シャル、悪かったな」
「仕方ないでしょう。それが王のご命令なんだから」
「……では、互いに干渉しないようにしよう。シャルは自分の望むように恋人でも愛人でもいくらでも作ればいい」
「分かってるよ」
そんな意地を張った発言をしても、本心では泣きそうになった。私だって、愛して愛される結婚がしたかったのだ。セザーは顔が綺麗だし、優しい。私にだって他の貴族と対等に、気軽に接してくれて、いい人だと思っていた。なのに相手が何故私なのだろう。彼ほどの貴族と人柄なら選択肢は幾らでもあったはず。私が相手など可哀想だ。
私は、誰かに選ばれ唯一になって、幸せになりたかった。今まで捨ててきた数々の夢の中、その夢すら捨てなくてはならないと、彼から愛人を許されたこのタイミングでしっかりと理解した。
部屋に帰ってベッドで目が開かなくなるほど泣いた。
悲しかった。
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