いきなり騎士隊長の前にアナザーダイブなんて…これって病んでるの?もしかして運命とか言わないですよね?

はなまる

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 レオナルドが部屋に戻って来た。

 「だいたい君はまるで魔法みたいにいきなり現れて…ああ…瑠衣…」

 彼は自分のシャツだろうか?ひらひらとフリルが付いたシャツをわたしの肩にかけてくれた。

 そして満面の笑みを浮かべたと思ったらまた困惑した顔をした。

 ”瑠衣は3か月前に突然現れた。そしていきなりまた消えた。俺がその間どれだけ気をもんだと思ってる。君は命の恩人なのにどこを探しても行方はわからず、あのこぼれる様な笑顔があどけない声が頭に浮かぶともう何も考えられなくなる始末だ。騎士として情けないとは思いながら彼女を求める気持ちが抑えられなくなる。この気持ちをどうしていいか持て余していたというのに……

 ああ、でもよく来てくれた瑠衣。”


 瑠衣はたまらなくなって聞いた。

 「瑠衣、瑠衣って?そんなに気安く呼ばないでよ。それにあの時って?わたしたちいつ知り合ったの?それにここは一体どこなの?」

 もうせっかく楽しい夢を期待してたのに…どうして彼がわたしに尋ねるのよ!

 あなたはわたしを抱きしめてキスでもしてくれればいいだけなのよ…

 これってわたしが勝手に作った妄想の世界なんでしょう?まあ、彼に怒るのもおかしい話だけど…それにしても狼の夢って見たかしら?

 あっ!そう言えばわたし…

 何かを思い出せそうで思い出せない。そんなもやもやしている時に、レオナルドがわたしの方に向いて座るとわたしの手を引き寄せてぎゅっと握った。


 もうどういうつもり?そうか。そうか。これから良いところなのかも…さあいつでもいいわよ。

 いい夢みせて…どうかわたしにひとときの潤いを…

 瑠衣は目を閉じてみた。

 「瑠衣…はぁ…」

 「君は…」

 レオナルドはため息をつくばかりで…おまけに握られた手を強く握りしめられて痛くなってきた。

 「あの…痛いんだけど」

 わたしは自分が勝手に妄想したはずの夢にイライラし始めた。

 「あの…レオナルドとか言ったわね。わたしあなたのこと知らないと思うんだけど。あなたってどこの誰なの?」

 わたしは目を開けて彼を見る。

 もうばか!これってわたしが勝手に創作すればいい事じゃない?彼に聞くなんてばかげてる?


 レオナルドはわたしの顔をじっと見つめたままだ。

 顔を真っ赤にして眉間にしわを寄せて、唇をかみしめている。

 赤い瞳は怒りなのか苛立ちなのか、燃えたぎっているように見えた。こんな色の瞳は初めて見たわ。瞳が燃えてるみたい。


 それでも、彼は落ち着こうとしているかのようで、拳をぐっと握りしめると関節のふしが白くなり骨が浮き出た。そして深く息を吸い込んだ。

 「そうだな、君にばかり聞いて悪かった。先に俺の事を話すべきだった。ここはアディドラ国。俺は国の騎士隊の隊長で、今は国の最西端であるヘッソンという所に派遣されている。それにここは俺の部屋で…だからその…瑠衣何も心配ない。さあ今度は瑠衣、君の番だ。君は一体どこから来たんだ。教えてくれ!」

 レオナルドは焦る気持ちを抑えて何とか話をしたらしい。

 「さあ瑠衣、俺の事は話した。今は自分のことより君の事が知りたいんだ。どこから彼女が来たのか…早く教えてくれ!」


 えっ?レオナルドったらまさか応えてくれるなんて思っていなかったけど…

 アディドラ国?そんな国地球上にあった?初めて聞く国名なんだけど…それに騎士隊って…中世じゃあるまいし…よく話に出てくる騎士団みたいな?おかしな耳の事などこの際問題ではなくなった。瑠衣の頭には地球上の国名が次々に浮かんでくる。そして中世にこんな奴がいたの?

 もう、わたし歴史はあまり得意じゃないのよね…

 瑠衣はレオナルドが聞いたことなど全く耳には入っていなかった。


 「あのレオナルド、騎士隊って?今の時代なら軍隊の間違いじゃない?」

 「あのなぁ、君は質問に質問で答えるつもりか?でもその軍隊とはなんだ?」

 「軍隊って、鉄砲や機関銃、ミサイルに戦車とかジェット戦闘機とかそういう兵器を持った戦いのエキスパートを集めた集団の事じゃない。ほら他国が攻めてきたときとかに戦う…もう知ってるくせに…」

 違うってば!そんな話じゃないんだってば!知りたいのはここがどこなのか。それにあなたのその耳はどうしたのかと言うことで……よく見ると彼のその耳らしいものは時々ぴくぴく動いてた。


 「そのミサイルとかジェット何とかとはどんなものだ?」

 「うーん?説明は難しいわ。じゃあ、あなたの騎士隊にはどんな武器があるのよ」

 もうわたしもどうしてそんな事聞いてるのよ。

 「そりゃあもちろん長い剣、それに楯もあるしもちろん馬もいる。短剣や目つぶし弓矢もあるし、中くらいの剣もあるぞ」

 わたしって、もしかしてやっぱり…いきなり中世にタイムスリップしたとか?うわっ、どうしよう……

 「あの…今は西暦何年?」

 「なんだ?西暦って?今はアディドラ国が建国して296年かな。この世界の始まりをさかのぼって言うなら、エパクトウス暦3216年になるはずだが…」

 「エパクトウス暦3216年?噓でしょう?ここって地球じゃないの?」

 「はぁ?地球って何だ?」


 じゃあ…じゃあ…もしかしてわたし…全く違う世界に来てしまったって事?

 どうしよう…どうしよう…どうやって元の世界に帰ればいいの?まさかわたしがあの時もうこんな世界なんか嫌だって思ったから…

 っていうか、これ絶対に夢だわ。リアルな夢に違いない。

 やっぱり地球にはこんな国もないしこんな人種もいないから…でも一体どこからそんな国名を考え付いたのか…

 ああ…わたしってやっぱりおかしくなったのかも…


 瑠衣は両手の指を組み合わせ、神様にお祈りを捧げるポーズで綾指に唇でキスをしていた。体は小刻みに震え顔色も真っ青だった。

 ”神様お願いです。どうかわたしを元の世界に…じゃなかった、早く夢から目覚めさせてください。”



 「どうした瑠衣、どこか痛いのか?それとも…なぜ泣いている?」

 レオナルドがうろたえたらしく優しい言葉をかけてくれた。

 「泣くな瑠衣。泣かなくていい。俺が君を守ってやるから…」

 レオナルドが優しく瑠衣にささやく。そして瑠衣の体をたくましい腕の中に包み込んだ。

 優しいささやき。極上のたくましい筋肉。愛に溢れた温かな居場所。これこそ瑠衣が求めていたものだ。


 がっちりした筋肉のたくましい体に抱き留められ、瑠衣は思わず彼の胸にすべてをゆだねる。

 一瞬ここにいれば何も心配ない気がした。レオナルドの胸の中はそれほど瑠衣の心に安堵をもたらした。

 ああ、出来るならずっとこうしていたい…‥





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