2 / 54
1
しおりを挟むうん?お願い後もう少し…
ぬくぬくとしたベッドの中で瑠衣はいつもの朝を想像していた。
後、ほんの少しだけ寝かせて……
「瑠衣…」
優しい声がすると、耳朶に温かい感触が伝わる。
「うん?やだ…くすぐったい…」
もう修仁ったら朝からやめてよ!
でも今日の彼はいつもと違う。なんだか肌を滑る指がとっても気持ちいい。なんだろう?この感触?彼は今までこんな事したこともなかったはず?
修仁ならいきなりわたしに襲い掛かりパンティーを脱がせにかかって来るはず…優しい愛撫の一つでもしたためしがない。カツカツすぐにわたしの中に穿ってきて、自分が満足すれば、はい終わり!なのに…?
温かい肌の感触が伝わってきて、喉元に彼の息遣いを感じる。
「あっ、そんなとこ…うっ、んん…」
胸の先を指でつまんで転がされる。
唇にはついばむような優しいキスをされて、わたしはうっとりしてその首に腕を回した。
もう一体どうしたの修仁?
そして瑠衣はベッドの横たわったままうっすら目を開いた。
「うん?……あなた誰?」一瞬時間が止まる。
そして改めてじっくりその人を見た。誰?この人?
「ギャー!知らない人がいる…どろぼう!誰か…」
もう、修仁(しゅうじん)ったらこんな時にどこにいるのよ。役立たず!
「そんなに怒鳴らなくてもいいだろう?いきなり現れたのは君の方で…」
「えっ?どういう事?」
男が申し訳なさそうに言う。
「君、瑠衣だろう?」
「はいそうですけど、あなたは?」
なに、この人どうしてわたしの名前を知ってるの?
目の前に横たわる男は修仁だとばかり思っていたのに、実際には見たこともない男がいた。
瑠衣はもちろん顎が外れるほど驚いた。
おまけに悪いけど修仁なんて比べ物にならないほどイケメンで…
嘘みたい…
プラチナの髪が銀色のベールのように彼の顔半分にかかっていて、片方の目はルビーの様な美しい赤色で、顔半分でもそれは見事に彫の深い顔だと分かった。
そして鍛えられた怒涛の筋肉のオンパレード。
見事な胸筋に割れたシックスパットの腹筋、太ももの引き締まった筋肉の隆起がそりゃあ見事だ。
と言うのもその男は下着しか付けていなかったから…というかもっこりボクサーパンツの下着を着用されていて…
その…押し付けられたなにはかなり大きいような…
ああ…そうか!
これは夢だ。きっと夢に違いない。最近いいことがなかったわたしへの神様からのご褒美。きっとそうに違いない。
それにしてもなんてして素敵なの…
わたしはその引き締まった筋肉に手を伸ばす。見た目は硬そうな胸の筋肉は触ると、しっとりと滑らかでもっちりしている。
すごい…
わたしは思わず吐息を履いてうっとりとその筋肉を撫ぜてさすりながらめでる。
相手の男がいきなりうめき声を上げて深く息を吐いた。
「ぐっ!…はぁ……」
男の手が優しくわたしの手をつかんで後ろにまわす。
「何するのよ!」
「それはこっちの言いたいことだ。いきなり消えたと思ったら、また急に表れて、瑠衣どうやって俺のベッドに入った?」
俺のベッドって?これって夢なんでしょう?そんな設定必要ないはず…
瑠衣はうつろな寝ぼけまなこから、一変して目を見開いた。脳のあちこちの歯車が火を噴いたように一気に活動を始める。
「待って…?あの…?あなた誰?」
瑠衣の脳みそは事の状況が全くつかめていない。
”夢でないなら、ここはどこ?あなたは誰?えっ?その頭の上にある三角な銀色の毛のようなものは?なに?”
「あの…ここはどこなの?」
”それにその耳のような物体はなに?”と聞きたくなるのをぐっとこらえる。
「それに…どうしてわたしを知ってるの?」
そうよ、この人わたしの名前を呼んだ。
「いえ、その前にあなた誰なの?おまけにおかしなものを頭につけて!」やっぱり聞かずにはいられない。
「俺か?俺はレオナルド・スペンサーだ。前に会った時は洞窟の中で狼だった。覚えてないのか瑠衣?それにおかしくはない。これは俺の耳で……」
レオナルドはすっかりしょげてしまっている。
「覚えてないかですって、あなたこそ何を言ってるの?狼だったですって?失礼な人ね。人をからかうなんて…どうなってるか聞きたいのはこっちなんだから…もう、ちゃんとわかるように説明してよ!」
”これはやっぱり夢よ。これから仮装パーティーでもするつもり?”
わたしはちょっとした…いや完全にパニッくっている。
瑠衣は起き上がると悲鳴を上げた。
「きゃー!うそよ…わたし…どうして…」
瑠衣は驚いて慌てて上掛を引っ張ると胸の周りに巻き付けた。
わたしは裸だった。下着も何もつけていない正真正銘の素っ裸で彼の横に寝ていたのだ。
瑠衣はレオナルドを見た。彼は彫刻のような完璧な顔の目尻を垂らしてうっとりとしてこちらを見ている。
思わず瑠衣はレオナルドの頬をバシーンと殴った。
「見ないでよ!あっち向いてよ!」
「ああ、そうだな。何か着るものを取ってこよう」
レオナルドは気まずそうに頬をさすりながら反対側からベッドを下りて部屋を出て行った。
瑠衣はクスッと笑った。あんなたくましい男が頬をさすってる。
だが笑っていたのも束の間だった。
うそ!
瑠衣は今度こそ顎が外れそうになった。レオナルドの後ろには尻尾があった。彼が歩くたびに銀色のふさふさしたしっぽはわっさわっさと揺れた。
瑠衣はベッドの端まで体をずらして、その光景をポカンと見ていた。
これは夢なんだから。わたしってよほど人間が嫌になったみたい。狼人間を作ってしまうなんて…
彼が出て行くと今度はまわりをゆっくりと見まわした。
どうも空想の部屋にいるらしい。それもベッドは見たこともない四柱式ベッドで、ベルベットのような豪華な天蓋まである。壁は見事なレリーフ模様で天井は折り上げ天井、そこにも見事な彫刻が施されている。そして美しいシャンデリアが…まるで中世のヨーロッパの建物の中にいるみたいな…
うん?
豪華な格子窓から見える景色には、緑の木々が茂っている。鳥のさえずりさえ聞こえてきそうなほどのどかで…
まるで知らないところみたい。
どうして?わたし一体どうしたのかしら?そう言えばつい最近ヨーロッパ旅行のパンフレットを見たじゃない。きっとその時見たものを空想したんだわ。
瑠衣はベッドにふにゃふにゃと崩れ落ちた。
でも夢ならもっと楽しいことをしてもいいんじゃない?
不意に瑠衣は彼とのベッドシーンを想像していた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる