いきなり騎士隊長の前にアナザーダイブなんて…これって病んでるの?もしかして運命とか言わないですよね?

はなまる

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 その翌日には公開処刑が行われることになって、レオナルドの所には両親が面会を許された。

 「ああ…レオナルドあなたなんてことを…どうして聖女なんかを番にしたの」母はレオナルドの手を握りしめて泣き崩れた。

 「母上悲しまないでください。わたしは間違ったことなどしていません。わたしは瑠衣を愛しています.心から愛して人と番に慣れてよかった。後悔などしません。ただ一つ心残りは最後に瑠衣と話が出来ない事です」

 「なんだ?言ってくれレオナルド。お前の願いはなんだ?」父親が悲し気な目で見る。

 「はい、父上。瑠衣にもしわたしが死んでもわたしを絶対に生き返らせないで欲しいと伝えて欲しいんです。もし生き返ったら瑠衣は死んでしまう。言い伝えなんか信じていなかった。でも、もしそんなことが起きたら…考えただけでも恐ろしいんです。わたしは瑠衣がいない世界を生きてはいけない。だから絶対にそんなことをしないように彼女を止めて欲しい。お願いします。そして彼女を見守ってほしい。どうか最後の願いを聞いてください」

 レオナルドは必死で両親に頼んだ。

 「ああ、わかった。必ず聖女に伝える。それでいいんだな?」

 「はい、父上。わがままな息子をどうかお許し下さい。母上もいつまでも元気でいてください」

 そしてレオナルドは兵士たちに連れていかれた。

 王宮前の広場にはおふれを聞いた群衆が詰めかけていた。

 レオナルドは高い壇の上に作られた処刑台に連れていかれると、両手両足を縄で固定された。

 イエルク国王も王宮の宮殿の2階テラスからそれを眺めて国民に手を振っている。


 ジャミル宰相が、刑の執行前に罪状を読み上げる。

 「皆もよく知っての通り、言い伝えではイエルク国王がアヒムの直径の子孫であり、今回現れた聖女と結ばれる運命であった。だがここに繋がれたレオナルド・ヴェルデックは事もあろうにその聖女を汚したのだ。許される事ではない。よってレオナルド・ヴェルデックをこの場で処刑するものとする」


 群衆は大騒ぎになった。公開処刑があることは知っていても理由までは知らされていなかった。

 「裏切り者!」

 「処刑されて当然だ!」

 「いい気味だ…」

 次々にヤジが飛んできた。


 宮殿のテラスからイエルク国王が手を振り下ろす。

 「処刑しろ!」ジャミルの冷たく容赦ない声が響いた。

 そしてレオナルドはふたりの兵士によって胸にやりを突きさされてしまう。

 レオナルドの母親はそれを見て気を失った。父親も涙を流しながら息子の最期を見送った。


 イエルク国王はレオナルドの最期を見届けるとすぐに聖女を連れてくるように命じた。


 瑠衣は牢に入れられたまま、外の群衆の騒ぎを聞いていた。きっと処刑が始まるんだ。瑠衣はたまらなくなって耳をふさいだ。

 瑠衣は自分がレオナルドを生き返らせるのは無理だと思えて来る。

 ロンダとあんな約束をしたのは間違いだった。もっと早くここから逃がしてほしいと頼めばよかった。レオナルドと最後のお別れも出来なかったなんて…

 瑠衣の心はちりじりに乱れてその場に泣き崩れた。


 そんなところに兵士が来て瑠衣を連れて行こうとした。

 「どこに行くんですか?まさかレオナルドの所に?それで彼は?レオナルドはどうなったんですか?」

 「彼は処刑されました。国王がお呼びです」

 「いやよ!誰が国王のところになんか…国王に会いたくないと言って!聖女は行かないと言っていると…」

 瑠衣は踏ん張ってみるが無理やり兵士に連れ出される。


 兵士は瑠衣を牢から出すと国王の部屋に連れて行った。

 「おお…聖女殿。待ちかねた。さあ中に‥お前らはもう下がってよい」

 イエルク国王はご機嫌だった。

 「何の用です?わたしはあなたに用はありません」

 瑠衣が怒って言う。

 「何を言っておる。聖女はこのわしと結ばれる運命じゃないか。最初から決まっておる。それをあいつが邪魔をしたんだからな…さあ、いいからもっとそばに来なさい」


 イエルクは寝室のドアをあけ放ちこちらに来るように手招きをしている。

 「誰があなたなんかと…」

 瑠衣は逃げようとするがドアには鍵がかかっていて…

 「シャッタリングウーンドウォート、シャッタリングウーンドウォート…ガチャリ…」


 瑠衣がドアのノブに手を書けようとした時、イエルクに手を引っ張られた。瑠衣はイエルクの体の中に転がり込むようになった。

 「ほら、やっぱりわしがいいのだろう?たっぷり可愛がってやる。安心しろ、どんな女もわしのをくわえればすぐに狂い始める。ほれ、今すぐにわしのこの硬い肉棒でおまえの中をぐちゅぐちゅにしてやるからな…」

 「助けて…誰か。誰か助けて…」

 瑠衣の頼りない声が部屋に響いた。


 そこにいきなり子ザルが飛び込んできた。

 子ザルはイエルク国王の顔に飛び掛かり顔をひっかいた。

 「クッソ!なんだこいつは?誰か誰かおらんか」

 国王は大声で人を呼んだ。

 瑠衣はその間に逃げ出そうとドアに走った。

 国王はそれを見て瑠衣に抱きついた。

 「逃がすものか…」

 瑠衣と国王はもみ合いになり、瑠衣が脚を取られて転んだ。床に転がった瑠衣の上に国王が覆いかぶさって来た。

 「いや!いやよ!やめて…こんなの許さないから…」

 瑠衣は必死に抵抗している。子ザルも必死で背中をひっかいているが何しろ脂肪たっぷりな国王にはまったく効き目がない。


 そこに国王の声を聞きつけたロンダとボックが飛び込んできた。

 「国王お止めください。瑠衣さんにそんな無茶をするなんて許せん!」

 「わしを止めるものはだれ一人おらん。邪魔するな!」

 ロンダは腰の剣を抜くと国王の首に付きつけた。

 国王が飛び跳ねたようになって、その後瑠衣の上から飛び降りた。

 真っ白い大理石の床に国王が這いつくばる。

 「ロンダか?貴様何をしているかわかっておるのか?おーい!誰か、誰かーおら‥‥」ロンダが国王の首に手を押し付けて意識を失わせる。

 「ロンダさん?」

 瑠衣は恐くて動けない。

 「心配ない。気を失わせただけだ。瑠衣さん、ここから逃げるんだ」

 ロンダが瑠衣を急いで立ち上がらせる。

 子ザルが瑠衣の手を引く。

 ハッとなって瑠衣は子ザルを見た。

 「あなたモルク?」

 子ザルがにっこり笑ってうなずいた。

 「わたしを助けてくれたの?ありがとうモルク」

 するとロンダといたボックが話しかけてきた。

 「あなたを救いに来た。さあ早くに逃げましょう。ロンダ急ごう!」

 「ボックわたしは行けません。国王に手を出してしまった。どうせ逃げられはしない」

 ロンダは覚悟したようで、そこから動こうとはしなかった。

 瑠衣はハッと思い出す。わたしレオナルドのところに行かなくちゃ…


 瑠衣はロンダの手を強く握ると話を始める。

 「ロンダさん、事情はわたしが話しますから…わたしとの約束を覚えていますか?お願い今すぐにレオナルドの所に連れて行って」

 「ああ、そうだった。あなたをレオナルドのところに連れて行ってわたしはジャミル宰相のところに行きます。ボックとモルクは関係ない。早く行って!」ロンダがボックに言う。

 「ロンダさんとボックは知り合いなの?」

 「ああ、ボックはわたしの師匠なんだ。ボックは公開処刑の事を聞いてエルドラに来ていて今日偶然合ったんだ。君の話をしたら…牢に瑠衣さんはいなくて、国王の所だろうと聞いて慌てた。だって君はレオナルドのところに行きたいって言ってたから…国王があんなせっそうのないことをしているのを見て頭に血が上った。今までもずっと国王はあの調子だったから…」

 「わたしも一緒に話をする。安心してロンダさん」

 「もしかして国王のものに?」

 「まさか…いいからレオナルドのところに連れて行って!」



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