いきなり騎士隊長の前にアナザーダイブなんて…これって病んでるの?もしかして運命とか言わないですよね?

はなまる

文字の大きさ
41 / 54

40

しおりを挟む

 そして議会が開かれた。

 レオナルドは最初に国王になる意志はないとはっきり言い切った。

 ジャミル宰相がレオナルドに詰め寄る。

 「ですが、あなたは言い伝えの通りに生き返った。それを国民が見ていたんです。わたしはもうあなたを国王にすると宣言したのですよ。それなのに…どうか考え直していただけませんか?」

 「では宰相イエルク国王はどうするおつもりです?」

 「イエルク国王は国民の前であのような醜態をさらしたのです。引退が妥当でしょう。だからレオナルド何も心配することはないのです。イエルク国王には世継ぎもいらっしゃらない、どうせ跡取りを誰にするか王族の間でもめ事が起きるでしょう。あなたが国王になるのはアディドラ国のためでもあるんです」

 「お気持ちはうれしく思います。でも私は瑠衣とひっそり暮らして行ければいいんです。だからやっぱり国王になることは考えられません」

 「ここまで頼んでも‥‥そうですか、ではあなたにはそれなりの対処をさせていただきます。皆さん、お聞きの通りだ。レオナルドの処分を話し合ってくれ!」

 それで審議の結果、エルドラを追放されることになった。どんな理由があろうと国王に逆らった反逆者という汚点は、やはりただではすまされないと言うことになった。処刑が執り行われて生き帰ったのでもう処罰は免れた。レオナルドはこのまま貴族、そして騎士隊の隊長としてやっていけることになった。


 ロンダは乱心した国王に見事な対処したとして、勲章を与えられることになった。そして近衛隊の隊長に昇格することに決まった。


 ロンダが退室した後、議会でイエルク国王をこのまま存続させればいいという話も出たが、ジャミル宰相が大変な事実を発表した。聖女がレオナルドの子を妊娠したと…本来ならレオナルドも国王になれる権利があるはずだが、レオナルドが国王にならないと言っているのであればレオナルドの子供は次の王位継承者と言うことになるではないかと。この件はもう少し話し合いをすることになる。


 そして最後に瑠衣が議会に呼ばれた。

 彼女の衣装を見て議員たちはため息をついた。

 瑠衣はそれはもう美しく、黒髪が淡いグリーンのドレスによく似合い、それをはるかに上回った宝石のようなグリーンの瞳は誰もを魅了した。美しい金糸のカモダールと呼ばれる羽織ものも瑠衣の美しさを引き立てていた。


 ジャミルが声を上げる。

 「皆さん。聖女を正式にこの王宮にお迎えしませんか?」

 「ジャミル宰相、いい考えだ。賛成…賛成する」あちらこちらで議員が賛成の声を上げた。

 驚いたのは瑠衣だった。

 「待ってください。何度も申し上げている通りわたしはレオナルドの妻です。それにわたしには彼の…」

 ジャミルがみんなに会議は解散と告げる。

 すぐに議員たちは部屋を出て行き始めた。

 「待ってください。まだお話は終わっていません」

 瑠衣は議員たちに言うが誰も聞こうとしなかった。


 議員たちが出て行ってしまうとジャミルがやっと口を開いた。

 「聖女様、決してあなたに悪いようにはしません。この話はまたゆっくりしましょう。今日はとにかく…レオナルドも今ご両親と会ってお話されている所です。ふたりともさぞお疲れでしょうから今夜は一緒にゆっくりしてください。これからあなたはゆっくり支度をしてレオナルドのところに行けばいいでしょう?いけませんか?」

 「ええ、そう言うことなら…ありがとうございます。でも王宮に迎えるとか?」

 「わたしは一刻も早く国を安定させなければいけません。わたしにはその責任があるんです。もしかしたら一時的に王宮にとどまることをお願いするかもしれませんが、悪いようにはしませんから安心して下さい」

 「はい、あの…ジャミル宰相あなたを信じていいんですね?」

 「もちろんです。あなたは聖女なんですよ。もっと自信を持ってください」

 「はぁ…」

 もうどうしたらいいの。わたしは聖女じゃなくなったらしいのに‥‥でも先にレオナルドに話をした方が良さそう…


 ジャミルはため息をつく瑠衣を見て彼女は疲れていると思った。

 「瑠衣さん、心配ばかりしているとしわが増えますよ。安心して今夜はレオナルドと一緒に過ごしてください。話はまた明日にでもゆっくりしましょう。ではわたしはこれで」

 ジャミルはすぐに聖女様をお部屋にお連れするようにと兵士に言いつけた。

 そこは王宮に最初に来た時通された豪華な部屋だった。

 外にはしっかりと鍵がかけられ、見張りが付いた。

 だが、瑠衣は今夜はレオナルドと一緒だと思うと、うれしい反面気が重くもなった。何しろ聖女でなくなったわたしをレオナルドは愛してくれるのだろうか…ううん、彼はそんなことを気にするはずない。

 レオナルド愛してる…彼もわたしを愛してくれてるもの。もう、これからはもうずっと一緒にいられるんだもの…‥何も心配いらない。



 レオナルドは議会から事情を聞かれ、そして自分の審判を素直に受け入れた。後は瑠衣が議会で話を聞かれるのが終わるのを待って、ここから立ち去るつもりだった。取りあえずエルドラにいる両親のところに行って事情を話して別れを言わなければならない。そして新たに再出発するつもりだった。

 だが、レオナルドは会議室から出ると、すぐに王宮から連れ出された。あっという間に馬車に乗せられた。いくらまだ瑠衣を待つと言っても近衛兵たちは聞こうともせず、馬車に無理やり押し込まれて、隣にはしっかりと近衛兵が付き添っていた。

 馬車は見る見るうちにエルドラから遠ざかって行く。

 「待ってくれ!一体どういうことなんだ?俺は瑠衣を待たなきゃいけないんだ。勝手に俺だけ連れ去るなんて訳を話してくれ!」

 レオナルドが近衛兵に怒鳴る。

 「わたしたちはあなたをエルドラから連れ出して次の街のアムマインにある宿にお連れするように言われました。そこで聖女を待つようにとジャミル宰相から言付かっています。心配ありません。アムマインで待っているようにとのことでしたから、もうしばらくの辛抱ですよ」

 近衛兵は理路整然と言った。


 レオナルドはどうも話が旨いと思ったが、そこまでジャミルが言っているのだからと引き下がった。とにかく早く瑠衣に会いたい。心の中は瑠衣の事でいっぱいだった。だが、今は辛抱するしかない。レオナルドはじっと口を引き結んで馬車に揺られた。


 馬車は近衛兵の言った通りエルドラを過ぎて森を抜けてアムマインの街に入った。

 宿にの入り口で馬車から降ろされた。

 「ここでお待ちください。ではわたしたちはこれで失礼します」

 近衛兵が挨拶をした。

 「わかりました。どうもありがとうございました。あの、それでいつ頃彼女は来るんですか?」

 「そこまではきいていませんが、議会の聞き取りが終わればじきにお送りしてくると思いますので、では…」

 近衛兵たちは帰って行った。


 馬車が引き返すのを見送るとレオナルドは、宿に入ると部屋に案内された。彼はそこで瑠衣が来るのを待つことにした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...