名もなき民の戦国時代

のらしろ

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第一章 転移、そして自立

第二十三話 家を建てる

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 早速村作りの第一歩である家の建築から始めることにした。

 昨日張さんに指摘され修正したように、浜に小さな集落を作ることから始める。
 勉強会の日の朝にみんなが集まった席で、これからのことについて説明した。
 木材については切り倒してもすぐに使えないために家作りには使えない。
 しかし将来的には必要になっていく事は自明の理であるために、林から充分な太さの木を切っていくとこは継続していくことにした。

 最初に住んでいたあばら家をその木材作りの基地として、あばら家の周囲を広く均し、そこに切った木を集めて乾燥をしていくことにした。
 与作さんに頭かしらになってもらい、男集を数人付けて林の木を伐採していくようにお願いした。

 闇雲にすべてを切り倒さないように、林の里山化じゃないが、適当な間隔を残して、木を切ってもらうようにし、ある程度進んだら、苗木の育成にも入ってもらうことを了承してもらった。
 下草を刈ってもらうことも同時にお願いをしておいた。
 当然、多数の間伐材もでるが、これらはありがたく炭焼きの燃料として活用していく。

 木材として使えるようになるのにはどうしても夏を越さないと目処は立たない。
 今からの家つくりには使えないので、ほかから買ってくる?---そんな選択肢はない。
 そんなことをすれば目立ってしょうがない、他の好ましくない勢力に目をつけられる恐れがある。

 なら暫く家つくりを諦めるか、---その選択肢もない。
 俺が目をつけたのが近くの竹林である。
 塩作りの装置を作るのにお世話になった竹林で、あるアイデアが浮かんでいた。
 竹と土で家を作れないかということだ。

 近くに浜があり、いくらでも貝殻は手に入る。
 火は今もすぐ傍で常時おきている。
 土もある。
 記憶が曖昧だから怪しいが和製コンクリートである三和土たたきもどきを作って土壁の家を作ってみる。
 これならば直ぐに取り掛かれる。

 今回も俺ひとりでできる段取りだけでもと思い、できるだけ貝殻を集めている。
 また焼いた貝殻をすり潰すためにも寺にあった臼と杵を持ち出してこれを使って粉を作っていく。
 午後になると、いつものように葵と幸が手伝いに来た。
 早速、彼女たちには塩つくりを始めてもらう。

 前日に用意した素焼きの深皿に濃くなってきた海水を入れ蒸発させていく。
 その横で炭火に集めた貝殻を火を消さないように少しづつ入れて焼いていく。
 張さんと珊さんが様子を見に来てくれたので、珊さんに竹林まで一緒に来てもらい、集められるだけの竹を切り倒していった。

 できるだけ太い竹を選んで集めていった。
 家の柱には木材を使いたかったが、とりあえず実験なので、太めの竹を使い、本当に竹と土だけの家を作っていく。

 手順は、そばの掘っ立て小屋同様に穴を掘って太目の竹を柱にするため4隅に立てて、中央にも最も太い竹を立てた。
 今度はその柱に横に渡すように竹を置き、紐で結んで固定した。

 そんな要領で竹で骨組みを終わらせたら、今度は竹を細かく割いて、それらで格子を組んで壁にしていく。
 出来た格子の壁に三和土もどきを内と外から塗りつけて壁を作っていく。

 大量の三和土が必要になり、俺が準備した量では足りなかったが、どうにか家は作れそうだということが判った。
 流石に今日はここまでだ。

 塩の方も順調に深皿の中に結晶として現れている。
 これらを掬って乾燥させれば塩は完成である。
 塩の商いも目処は着いた。
 明日以降本格的に両方とも取り組んでいこう。

 玄奘様が願証寺に戻る頃には塩を持って上人様に挨拶に伺える。

 現在、俺らの村??の確認だが、生産している商品としては、炭だけである。
 今後、それに塩も加えられそうである。
 そうなると、次の干物や他も考えてみたくなってきた。

 畑を作っているので、さつまいもとじゃがいもは秋には採れそうだ。
 お茶の木もあるし、椿の木もあるので、油も作れそうだ。

 近い将来的にはお茶も作れるが、売り先が難しいので、自分たちの嗜好品として使うのもいいかな。
 でも、手を広げすぎると手が足らなくなる。
 すでに大人の人が増えたので、かろうじて回っている部分が有るが、直ぐに手が足らなくなるのは目に見えている。

 そうなると、またいつもの悩みが再発する。
 人は欲しいが、わけのわからない人が入るのは警戒したい。
 ん~~~~~どうしよう。
 困ったときには、報連相ほうれんそう、基本に返って、相談できる人に相談だ。
 上人様に挨拶ついでに相談しよう。

 でも、その前に食料自給率だけは上げとかないとお金があっても食料が手に入らないことも考えておかないとすぐに詰んでしまう。
 そこいら中で争いがあるこの時代に天変地異が起こればすぐに飢饉になる。
 そうなるとお金がいくらあっても食料は手に入らないことがある。

 現に源平合戦で平家が負けた原因に飢饉があるという説がある。
 当時、宋に習って日本に貨幣経済を導入していた平家が急に求心力を失っていったのも、当時起こった飢饉で、十分に食料を入手できなくなっていったことがあるそうだ。

 お金はそのままでは食べることができない。
 当時、物々交換経済だった関東は自分たちで食料を得る手段もあり、その差が戦力の差と言うより源氏と平家の求心力の差になった言われている説もある。

 今も、当時よりは貨幣経済が進んでいるが、飢饉になったらどうなるかわからない。飢饉の深刻度にもよるが、端金はしたがねではどうにもならない。
 堺のようにいっそ海外から入手できるまで力があれば問題はないが、俺らでは絶対に無理である。

 救済作物でもいいが、自給率の向上もそろそろ考えていく。
 人手の手配は秋以降の芋の収穫を見てからになるだろう。
 それに秋以降なら木材も使えるようになるので、船も作ってみたい。

 船がなくても漁ができるが、それは、ここが落ち着いたら試してみる。
 塩の次は干物作りだ。
 最初は生魚を付近の漁村から買い付けて始めることにする。

 俺のあやふやな知識を元に色々やっているのだから、試行錯誤は計算のうちである。
 みんなで、色々とやってみんなで経験を積んでいけば、絶対に今後の為になるはずである。

 今やっている勉強会と合わせて、みんなの民度??教養?ん~~なんて言って良いかわからないが、そういった生活力、そう、生活力を上げていけば今後訪れる騒乱にも力を合わせれば耐えていけるはずである。

 そういった意味では、今は順調すぎるくらいに順調に進んでいると言える。
 商いも、そろそろ他の土地でもやっていきたい。
 大和の商いの許可は貰えただろうか。

 塩の商いに目処がついたので、塩を商っていきたいのだ。
 そろそろ許可が下りているのならば上人様宛に本多様から便りがあるはずだ。
 もし、許可が下りたのならば、塩の生産量はまだ少ないので、当面は塩と炭を持って商っていきたい。

 それの代金で墨を買い付け観音寺の城下で商う三角貿易をやって資金を貯めていける。
 それに、活動拠点が増えれば情報も集まってくる。

 情報の収集は今後の活動に大きく影響を与えてくれるだろう。
 生活にゆとりができれば情報収集と分析に専門家を当てておきたい。
 伊賀で見かけた以前助けた人に余裕が出来たら会いに行こう。

 その件で相談に乗ってもらおう。
 お礼の件で、そう言った約束だったはずである。

 そこで、少し気になるのが、この間会った滝川様だ。
 信長に仕えているとはっきりおっしゃっていたし、信長がこのあたりの支配も望んでいることの証だ。

 俺の知っている歴史では信長がこの地に侵攻してくるのは、稲葉山城を落とした後のはず、確か永禄10年、今が7年だから3年はまだ猶予が有るはずだが、それもどこまでアテになるかはわからない。

 少なくとも信長の今の状況が少しでもわかればいいのだが、どうしたものか。
 清洲での楽市楽座はまだ先の話だし、一度清洲に様子を見に行くか。
 できるだけ目立たないように細心の注意を払って行ってみよう。

 となると、上人様に挨拶に伺った後あたりがタイミング的にちょうど良い。
 玄奘様が同行してもらえると、目立たずに情報も入手しやすいのだが、それも合わせて相談しよう。

 今は、商品に塩が加わったことを素直に喜ぼう。
 あれ、塩が手に入るのならば、大豆があれば味噌ができるな。
 それも頭の片隅に入れておこう。
 どちらにしても、もう少し塩を作って挨拶に行く準備をしないとな。

 当面は塩作りは葵と幸に任せよう。
 今作っている家もきちんと完成させなければ、まだまだやることはたくさんだ。

 明日も頑張ろう。


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