幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

ルイス

文字の大きさ
6 / 60

6話 ウォーレスとの挨拶

しおりを挟む
「彼らがウォーレス、ニーナ……ふむ」

「ネプト国王陛下は面識……はおありかと思われますが、親しい仲でしたでしょうか?」

「当然、面識はあるが……昔馴染み、幼馴染というほど深い繋がりではなかったな」


 ネプト様が言っている「深い繋がり」というのは、プライベートでの付き合いのことだ。ウォーレスやニーナとネプト様は私から見ればお互いに幼馴染と言える。だけど、ウォーレス達とネプト様はそこまでの関係性ではなかった。

「婚約解消自体は円満に進んでいると聞いているが……どうする? 彼らにも挨拶をしていくか?」

「そ、そうですね……」

「アーチェ姉さま、無理はなさらない方が良いと思います。幼馴染の関係とはいえ、相手は地位としては同格。さらに婚約解消をしたばかりの相手になりますので……婚約解消から時間が経っていない状態では、あまり会う意味合いは薄いかと」

「そうかもしれないわね……」


 フォルセの意見は適格に思われた。まあ、無理して会って、当時のことを思い出しても気分的に嫌だしね。せっかく、ネプト国王陛下とこうして会っているんだから。あんまり、ウォーレスのことを思い出したくはなかった。

 というより、ニーナも一緒に来ているのよね……なんだか、複雑な気分だわ。別に彼女のことを恨んでいるとか、そういうわけじゃないけれど。

「まあ、アーチェが会う気がないのならば、特に会わなくても問題はないだろう」

「はい、申し訳ないことです。お気遣いいただきまして」

「いや、そんなことは気にしないでくれ」


 ネプト様はニッコリと微笑んでくれた。私は分不相応ながら、顔が赤くなってしまった。どうして赤くなっているんだろうか? 私は深く考えないようにした。

「ああ、しかし……完全に無視を決め込むのは不可能なようだ」

「えっ……? あっ……」


 会場内が騒がしかったのもあるかもしれないけれど、どうしても国王陛下は目立ってしまう。そうなると、必然的に近くに居る私達も見つかってしまうわけで……。

 ウォーレス、ニーナ共にこちらに視線を合わせていた。ニーナに至っては何か怪しく微笑んでいるような……? 二人は私達をロックオンしたのか、ゆっくりと近付いて来た。こうなってしまっては、流石の国王陛下でも無下には出来ない。ネプト様は静かに溜息を吐いていた。


「これは……ネプト・マクスレイ国王陛下。まさか、このような場所でお会い出来るとは……光栄の極みにございます」

「ネプト・マクスレイ国王陛下、ニーナ・オルスタインと申します。お会い出来たことを光栄に思います」

「ふむ……そうか。楽にしてくれて構わない」

「はい、ありがとうございます」


 はあ……少しだけ気が重いかもしれない。ニーナはともかくとして、ウォーレスとは正直会いたくなかったから……でも、ここまで来たら挨拶をしないわけにはいかないわね。


「ウォーレス・ミリエーター伯爵令息……アーチェ・ノームと申します。以後お見知りおきを……」


 私は思い切り他人行儀な挨拶をした。弟のフォルセが思わず吹き出したのは、確認が出来たわ。まあ、皮肉としては十分に利いているかしらね。
しおりを挟む
感想 481

あなたにおすすめの小説

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

誰からも必要とされていないから出て行ったのに、どうして皆追いかけてくるんですか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢ミリーシャは、自身が誰からも必要とされていないことを悟った。 故に彼女は、家から出て行くことを決めた。新天地にて、ミリーシャは改めて人生をやり直そうと考えたのである。 しかし彼女の周囲の人々が、それを許さなかった。ミリーシャは気付いていなかったのだ。自身の存在の大きさを。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

殿下が私を愛していないことは知っていますから。

木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。 しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。 夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。 危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。 「……いつも会いに来られなくてすまないな」 そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。 彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。 「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」 そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。 すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。 その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

妹と王子殿下は両想いのようなので、私は身を引かせてもらいます。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラナシアは、第三王子との婚約を喜んでいた。 民を重んじるというラナシアの考えに彼は同調しており、良き夫婦になれると彼女は考えていたのだ。 しかしその期待は、呆気なく裏切られることになった。 第三王子は心の中では民を見下しており、ラナシアの妹と結託して侯爵家を手に入れようとしていたのである。 婚約者の本性を知ったラナシアは、二人の計画を止めるべく行動を開始した。 そこで彼女は、公爵と平民との間にできた妾の子の公爵令息ジオルトと出会う。 その出自故に第三王子と対立している彼は、ラナシアに協力を申し出てきた。 半ば強引なその申し出をラナシアが受け入れたことで、二人は協力関係となる。 二人は王家や公爵家、侯爵家の協力を取り付けながら、着々と準備を進めた。 その結果、妹と第三王子が計画を実行するよりも前に、ラナシアとジオルトの作戦が始まったのだった。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

処理中です...