23 / 43
23話 糾弾に向かう その2
しおりを挟む
「これはこれは、ヨハン王子殿下。お久しぶりでございますわね。それから、エレナ嬢も……お久しぶりでございます」
「エメラダ夫人も壮健そうで何よりだ」
「お邪魔致します、エメラダ夫人」
「ええ……狭い応接室ではありますが、ゆっくりとおくつろぎくださいませ」
あの事件からそれほど時間が経過しているわけではないけれど、この場所に来るのはずいぶんと久しぶりに感じる。今回、通された場所は応接室だった。リグリット様の部屋ではないく別の部屋だ。エメラダ夫人は狭いと言っているけれど……私にとっては、十分過ぎるほどに豪華な部屋に映っていた。
飲み物が私達の前に置かれ、対面にエメラダ夫人が座っていた。ヨハン様専属の護衛達は部屋の隅で待機している。
「それで、本日のご用件は何でございますか?」
「ああ、そうだったな。事前に内容を報告していなかったのは、申し訳なかったが……気付いているかもしれないが、リグリット関連のことだ」
「なるほど、やはりその件に関してのことでしたか……エレナ嬢も一緒でしたので、そうではないかと思っておりましたが」
エメラダ様は顔色1つ変えることなくおっしゃった。完全に予想通りという表情を見せている。私達がそれに気付いていることも、想定内なんでしょうね。
「リグリットの件に関しまして、何か問題がございましたでしょうか? 謝罪が足りないと言うのであれば、今度、慰謝料をお渡しする時に、ランカスター侯爵を含めてしっかりと謝罪させていただきますわ。私とガイア、リグリットの3名で。次男のマグリットについては、今回の件には関連しておりませんので、ご容赦いただきたく存じますが……」
「そうだな、それは大丈夫だ。安心してくれ」
「ありがとうございます、安心いたしましたわ……」
リグリット様の弟のマグリット・バークス様……直接的な面識は薄弱だけれど、エメラダ夫人は彼を当主に据える手筈なんでしょうね。彼の名を落とすような真似はしたくないってところかな? まあ、本当に今回の件とは関係ないから呼ぶ理由はないのだけれど。
「ファルス家には法外な慰謝料請求をしているようだな?」
「流石にヨハン王子殿下はお耳が早いですわね。感服致します」
「世辞は結構だ……それで、どうなんだ? アミーナ嬢を軟禁していたと聞いているが?」
「彼女は既に、ファルス家に帰しておりますわ」
「私はアミーナ・ファルス伯爵令嬢を軟禁状態にした件について、問題にしているのだが? いくら公爵家といえども許されることではないだろう?」
ヨハン様は強気な攻めを開始した。エメラダ夫人の要塞を少しでも崩し、付け入る隙を出す為に……。
「軟禁状態……確かに周囲から見ればそのように映ってしまったのかもしれませんわね。ですが、それには理由があるのです」
「理由? 一体、どんな理由でしょうか?」
「エレナ嬢……私はあなたという婚約者が居たにも関わらず、リグリットを誑かしたあの女が許せませんでした。だから、少々、お説教をさせていただいたまでですわ」
「お説教……」
「ええ、その通りです。浮気相手に対する態度としては、それくらいなら許されるでしょう? 彼女への身体的体罰などは一切行っていませんよ?」
「それはそうだろうな……貴方がそんな愚行を犯すとは思えない。ガイア殿なら別だろうが……」
「ふふふ……」
ガイア様ならアミーナ様を殴り倒して、そこから問題に出来ただろうけど……確かにエメラダ夫人がそんな愚かなことをするとは思えなかった。やっぱり、彼女は相当に手強いわ。身体的体罰を行っていないのは本当だろうけど、おそらく、精神的ダメージを与える何かしらの虐待はあったはずだし。
この後の予定では法外な慰謝料について、エメラダ夫人に言及する予定だ。でも、彼女の牙城を崩せる糸口が見つかるのか……私は不安で仕方なかった。
「エメラダ夫人も壮健そうで何よりだ」
「お邪魔致します、エメラダ夫人」
「ええ……狭い応接室ではありますが、ゆっくりとおくつろぎくださいませ」
あの事件からそれほど時間が経過しているわけではないけれど、この場所に来るのはずいぶんと久しぶりに感じる。今回、通された場所は応接室だった。リグリット様の部屋ではないく別の部屋だ。エメラダ夫人は狭いと言っているけれど……私にとっては、十分過ぎるほどに豪華な部屋に映っていた。
飲み物が私達の前に置かれ、対面にエメラダ夫人が座っていた。ヨハン様専属の護衛達は部屋の隅で待機している。
「それで、本日のご用件は何でございますか?」
「ああ、そうだったな。事前に内容を報告していなかったのは、申し訳なかったが……気付いているかもしれないが、リグリット関連のことだ」
「なるほど、やはりその件に関してのことでしたか……エレナ嬢も一緒でしたので、そうではないかと思っておりましたが」
エメラダ様は顔色1つ変えることなくおっしゃった。完全に予想通りという表情を見せている。私達がそれに気付いていることも、想定内なんでしょうね。
「リグリットの件に関しまして、何か問題がございましたでしょうか? 謝罪が足りないと言うのであれば、今度、慰謝料をお渡しする時に、ランカスター侯爵を含めてしっかりと謝罪させていただきますわ。私とガイア、リグリットの3名で。次男のマグリットについては、今回の件には関連しておりませんので、ご容赦いただきたく存じますが……」
「そうだな、それは大丈夫だ。安心してくれ」
「ありがとうございます、安心いたしましたわ……」
リグリット様の弟のマグリット・バークス様……直接的な面識は薄弱だけれど、エメラダ夫人は彼を当主に据える手筈なんでしょうね。彼の名を落とすような真似はしたくないってところかな? まあ、本当に今回の件とは関係ないから呼ぶ理由はないのだけれど。
「ファルス家には法外な慰謝料請求をしているようだな?」
「流石にヨハン王子殿下はお耳が早いですわね。感服致します」
「世辞は結構だ……それで、どうなんだ? アミーナ嬢を軟禁していたと聞いているが?」
「彼女は既に、ファルス家に帰しておりますわ」
「私はアミーナ・ファルス伯爵令嬢を軟禁状態にした件について、問題にしているのだが? いくら公爵家といえども許されることではないだろう?」
ヨハン様は強気な攻めを開始した。エメラダ夫人の要塞を少しでも崩し、付け入る隙を出す為に……。
「軟禁状態……確かに周囲から見ればそのように映ってしまったのかもしれませんわね。ですが、それには理由があるのです」
「理由? 一体、どんな理由でしょうか?」
「エレナ嬢……私はあなたという婚約者が居たにも関わらず、リグリットを誑かしたあの女が許せませんでした。だから、少々、お説教をさせていただいたまでですわ」
「お説教……」
「ええ、その通りです。浮気相手に対する態度としては、それくらいなら許されるでしょう? 彼女への身体的体罰などは一切行っていませんよ?」
「それはそうだろうな……貴方がそんな愚行を犯すとは思えない。ガイア殿なら別だろうが……」
「ふふふ……」
ガイア様ならアミーナ様を殴り倒して、そこから問題に出来ただろうけど……確かにエメラダ夫人がそんな愚かなことをするとは思えなかった。やっぱり、彼女は相当に手強いわ。身体的体罰を行っていないのは本当だろうけど、おそらく、精神的ダメージを与える何かしらの虐待はあったはずだし。
この後の予定では法外な慰謝料について、エメラダ夫人に言及する予定だ。でも、彼女の牙城を崩せる糸口が見つかるのか……私は不安で仕方なかった。
122
あなたにおすすめの小説
幼馴染を溺愛する婚約者を懇切丁寧に説得してみた。
ましろ
恋愛
この度、婚約が決まりました。
100%政略。一度もお会いしたことはございませんが、社交界ではチラホラと噂有りの難物でございます。
曰く、幼馴染を溺愛しているとか。
それならばそのお二人で結婚したらいいのに、とは思いますが、決まったものは仕方がありません。
さて、どうしましょうか?
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
〖完結〗旦那様は私よりも愛人を選ぶそうです。
藍川みいな
恋愛
愛していると言った旦那様は、結婚して3年が経ったある日、愛人を連れて来ました。
旦那様が愛していたのは、私ではなく、聖女の力だったようです。3年間平和だった事から、私の力など必要ないと勘違いされたようで…
「もうお前は必要ない。出て行け。」と、言われたので出ていきます。
私がいなくなったら結界は消滅してしまいますけど、大丈夫なのですよね? それならば、二度と私を頼らないでください!
シャーロットの力のおかげで、子爵から伯爵になれたのに、あっけなく捨てるルーク。
結界が消滅しそうになり、街が魔物に囲まれた事でルークはシャーロットを連れ戻そうとするが…
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全15話で完結になります。
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる