幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス

文字の大きさ
24 / 43

24話 糾弾に向かう その3

しおりを挟む
 怖い……ヨハン様が一緒じゃなかったら、私は本当に逃げ出していたかもしれない。エメラダ夫人は決して暴力を使わないタイプ……だから、余計に怖い。私達が次に何を言い出してくるのかも予想しているだろう。

「法外な慰謝料の真の意図は、それをエレナの家系に渡す為だろう? 自分達の資金からは何ら、支払わないということか」

「これは心外ですわね、ヨハン王子殿下。法外な慰謝料であることは、否定するつもりはありませんが、それをそのままエレナ嬢に渡すわけではありませんよ?」

「どういうことだ? ファルス家への法外な慰謝料をそのまま、ランカスター家への慰謝料に充てる物だと思っていたが?」

「そのままだなんて人聞きの悪い。私がそのようなことをすると、本気でお思いですか? あの慰謝料は、リグリットを誑かした怒りの象徴でしかありません。ランカスター家への慰謝料は別にご用意させていただきます」

「えっ……? それって……」

「簡単なお話しですよ、エレナ嬢。単に私達は謝罪の証として、資産の一部をあなた方、ランカスター家に渡すと言っているだけですので」


 違う……これは、茶番でしかない。エメラダ夫人の表情からもそれは容易に伝わってくる。法外な慰謝料は一度、バークス家の資産としてカウントされる。そして、私への慰謝料はバークス家の資産から出ると言っているだけだ。

 実質、法外な慰謝料の何割かが、私の慰謝料へ充てられることに変わりはない。ただし、同じお金だから一度、バークス家に慰謝料が入ってしまえば区別が付かないのだ。エメラダ夫人はそれを狙っている。よく、考えれば当然の話……エメラダ夫人も茶番だとは分かっていると思う。

 彼女はそれを敢えて行っている……シンプルな策ほど崩しにくいということか。

「言ったもの勝ちだな、エメラダ夫人。そんな子供騙しの方法が、通るとでも思っているのか?」

「子供騙しとは、いくらヨハン王子殿下といえども少々失礼ではございませんか? まあ、どのように思って頂いても構いませんが……」


 挑発に乗る様子も見せない。エメラダ夫人の心理はどうなっているんだろうか? おそらく、ヨハン様のことをある程度、認めた上で今の王家は尽くすに値すると考えている? いえ、そんな小難しいことは考えていないのかな。

 そうだ、彼女はきっと深くは考えていない……その時の状況に応じた対応が出来る自信を持っているはずだから。どんなことを言われても、それなりの結果に引き戻せる自信がある。それならこっちは……。


「エメラダ夫人。提案があるのですが、宜しいでしょうか?」

「ええ。なんでしょうか? エレナ嬢。あなたには本当に申し訳ないことをしてしまったので……なるべく、お聞きしたいと存じますが?」

「私への慰謝料についてですが、バークス公爵が保有している土地の一部……管理権を譲っていただくことで手を打ちませんか?」


 一瞬、エメラダ夫人の表情が変化したように見えた。すぐに平静になっていたけれど。

「土地の一部を……差し出せ、と? 現金ではなく?」

「ええ、その方がバークス家にとっても良い流れになると思います。このままでは、ファルス家が没落するかもしれない程の金銭を巻き上げて、さらにそれを左から右に流しただけ、という噂が広まるでしょう。私は誠意ある応対をバークス家がしてくれると信じているので、そんな噂は流れてほしくないのです」

「な、なるほど……そういうこと」


 エメラダ夫人の声色も変化している気がする。少しはマシな攻撃になったかしら? まだまだ予断を許さないわね。

しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

幼馴染を溺愛する婚約者を懇切丁寧に説得してみた。

ましろ
恋愛
この度、婚約が決まりました。 100%政略。一度もお会いしたことはございませんが、社交界ではチラホラと噂有りの難物でございます。 曰く、幼馴染を溺愛しているとか。 それならばそのお二人で結婚したらいいのに、とは思いますが、決まったものは仕方がありません。 さて、どうしましょうか? ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。

和泉鷹央
恋愛
 雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。  女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。  聖女の健康が、その犠牲となっていた。    そんな生活をして十年近く。  カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。  その理由はカトリーナを救うためだという。  だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。  他の投稿サイトでも投稿しています。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

その結婚は、白紙にしましょう

香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。 彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。 念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。 浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」 身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。 けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。 「分かりました。その提案を、受け入れ──」 全然受け入れられませんけど!? 形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。 武骨で不器用な王国騎士団長。 二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。

幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。 いつもありがとうございます。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。

まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。 少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。 そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。 そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。 人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。 ☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。 王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。 王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。 ☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。 作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。 ☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。) ☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。 ★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。

処理中です...