助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき

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逃げる賢吾

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「では、約束を守ってくださいね」

 茫然自失としている賢吾に、セドリックはキスをした。そのままセドリックの舌が、賢吾の唇の隙間から入ってくる。
「んっ……」
(気持ちいい……。どうしてこんなに気持ちいんだろう?ああ、そうか。口腔内は、敏感だからだ)
 生理学には、ペンフィールドのホムンクルスというものがある。
 それは、人間の生体の感じやすさを表した図だ。その図で、大きく描かれている部位というのは、繊細な感覚がある。手や舌などだ。つまり、手や舌は動かすと他の部位よりも脳への刺激量が多くなる。
 そうか。だから、そんなに気持ちいいのか……。
 って、そんなことを考えている場合じゃない。
 慌ててセドリックの分厚い胸板を押した。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください」
「どうしたんですか。俺との約束を破る気ですか」
「い、いや、そうじゃない。えっと、心の準備ができていないんです」
「では、いつなら準備ができるんですか」
 できれば、80年くらいと答えたいが、さすがに怒られるだろう。
「あ、えっと、その1年くらい」
「は?俺に死ねと言っているんですか?」
 セドリックの目は、殺人鬼のように冷たい。
「や、やっぱり、一ヶ月くらい」
「1時間なら待ってもいいですよ」
「1時間だと!?せめて1日」
「わかりました。1日だったらいいです」
 セドリックがにっこり笑うと、賢吾は、罠にはめられたような気がした。


 セドリックが帰り、一人になった賢吾は、自分はなんてことを約束してしみったんだと頭を抱えた。
 明日、セドリックに襲われると思うと怖くてたまらなくなった。
(そうだ。逃げよう!!)
 賢吾という男は、基本的に目的のために手段を選ばず、何かを決めたら行動が早かった。
 衣食住を失ってしまうが、尻を守るためには仕方がない。約束を破ることになるが、どうせ来週にはそんなこと忘れているだろう。
 そして、荷物をまとめると、使用人の振りをして裏門から、堂々と出ていった。
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