助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき

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巻き込まれるトム

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 2人が城に戻ると、すぐに国王レイバーンの寝室へ通された。
 レイバーンは、あまりの痛みで仕事ができなくなり、数日前から、ベッドで生活しているそうだ。
「父上!!!」
 セドリックは、慌ててレイバーンの元へと駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「……私も歳だ。そろそろ死ぬかもしれない」
 彼の声は、すっかり気弱になっていた。以前見た時より、ストレスで皺も増えたかもしれない。
「そんなことは言わないでください」
「私が死んでも、レオンと仲良くしてくれ」
「もちろんです」
 レイバーンの冷たくなっている手をセドリックが、必死に握りしめる。
 それを、つまらない芝居でも見るように冷たい目で見ていた賢吾は、クイッと眼鏡をあげた。
「それで、どんな症状ですか」
 彼の目は、レイバーンの皮膚と白目の部分が黄色くなったことを捉えていた。 
「……右の肋骨の下辺りの痛いんだ」
「なるほど。みぞおちの痛みもありますか。あと、肩や背中」
「それもある」
 賢吾の中で、病名に目星がついた。けれども、もう少し情報が必要だ。
「最初に痛みを感じたのは、何時頃ですか」
「13時頃だったと思う」
「食後でしたか」
「ああ」
「褐色や、黒い尿が見られたことはありますか」
「ここ最近、それも出る」
 そこまで聞いた賢吾は、確信した。
「わかりました。あなたの病名は、おそらく胆石症です」
「おそらく?」
「ここは、レントゲンがないから、おそらくで診断するしかないんです」
(おそらく、で診断されるのか……)
 レイバーンは、唾をゴクリと呑んだ。
「それで……治るのか」
「手術で治ります。ただし、胆道の胆石のみを取り除いても再発することが多いため、胆嚢ごと取り除く胆嚢摘出術が行わないといけません。手術は、私がやりましょう」
 次の瞬間、セドリックが険しい顔をしながら「ケンゴ!」と名前を呼び立ち上がった。
「どうしたんだ?」
 セドリックは、賢吾の肩に手をのせる。
「……止めておいた方がいい。国王を殺してしまったら、死罪となる」
 それを聞いた賢吾は、さすがに手が震えた。
「っ……」
 賢吾の中で、死罪になる恐怖と、手術をしたい欲が天秤にかけられる。
 けれども、結論が出るのは早かった。
「私は、医者だ。患者を見過ごせない」
 嘘である。
 賢吾は、手術がしたいだけである。
 しかし、セドリックは、そんなことに気がついた様子はなかった。
「ケンゴ……」
 命がけで手術をしようとする賢吾に対して、惚れ直したよう熱い視線を送っていた。


 手術がやるとなれば、アシストが必要だ。
 賢吾が真っ先に思いついたのは、トムだった。さっそく事情を説明すると「ぎゃあああああああああああああああああああああ」と死刑宣告された囚人のように悲鳴をあげた。
 そして、トムは、とんでもない速さで、否定するように両手を振り出した。
「ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ僕に、国王の手術のアシストをしろと言っているんですか!?僕に死ねと言っているんですか。僕は、まだ19歳です。20歳にもなっていないんです。まだ死にたくありません。どうか許してください」
「私の手術のアシスト経験があるのは、君だけだ」
「1回だけですよ!!!」
「安心しろ、トム」
 賢吾は、優しい手つきでトムの肩に手を置いた。
「ケンゴ様……」
 トムは、期待を込めた目で賢吾を見つめる。
「死ぬときは、私も一緒だ。仲良く心中しよう」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
 トムは、涙を流しながら絶望に満ちた声をあげた。
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