助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき

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こんなつもりじゃなかった

 手術の準備は、すぐに整った。
 今回のオペには、セドリックもアシストと参加することになった。賢吾だけにリスクを負わせるわけにはいかないということだった。
 あっという間に、手術日になり、オペ台に横になったレイバーンに向かって、賢吾が再発について説明していく。
「胆石症は、胆石ができる部位や治療の方法によっては再発したり合併症を引き起こしたりすることがあります。胆嚢結石で胆嚢を取り除いた場合は基本的には再発するリスクは低いですが、胆管結石や肝内結石では胆石が再発することがあります。まあ、つまり、たぶん大丈夫ということです」
「たぶん……大丈夫?」
 レイバーンは、泣きたかった。けれども、息子の前で泣くわけにはいなかった。

 トムは、遺書を残してから手術室に来たらしい。自信満々な賢吾は、遺書を書いていない。賢吾を信じているセドリックも遺書は、書いていなかった。
 レイバーンに麻酔が聞いたタイミングで、セドリックが「この手術やったことはあるんですか」と賢吾に説明した。
「もちろんない。私は、心臓外科医だ」
「「……」」
 トムとセドリックの額から、汗が流れ落ちた。
「大丈夫だ。胆嚢の場所は、死体解剖の実習で学んでいる」
「「……」」
 セドリックと、トムは、何かを言いたそうに、顔を見合わせた。その様子に賢吾が、気がつく様子はなかった。

 麻酔が効くと、酸素を吸入する機会をつけて、皮膚の切開を始めた。
 レイバーンは、脂肪が多く臓器が見えにくそうだ。
 セドリックや、トムに筋鈎を持ってもらったり、生理食塩水をかけてもらったりしながら、手術をすすめた。
 脂肪のせいで胆嚢の場所は非常に分かりにくい。汗をかきながら、必死で探し出す。顔に滲んだ汗は、セドリックがふき取ってくれた。
ようやく胆嚢を見つけた時、賢吾の顔に笑顔が浮かんだ。
切断して、縫合を始めていく。
 賢吾の手は、プロのピアニストのように繊細で、素早く動いて行った。


 手術は、あっという間に終わった。
 しばらくすると、レイバーンは、麻酔が切れて目が覚めた。ケンゴが「成功しました。これで大丈夫です」と告げる。
「よかった……」
 レイバーンは、顔をくしゃくしゃにゆがめた。
「君は、私の命の恩人だ。二人の結婚を認めよう」
 それを聞いた賢吾は、目が点になった。
(え?俺は、そういうつもりじゃなかったのに……)
「ケンゴ。君は、セドリックの最高のパートナーだ」
 レイバーンは、涙を流し始めた。そのせいで、賢吾は、本当のことをいうタイミングを逃してしまった。
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