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自慰
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しおりを挟む明るい電気を見つめ、母へのメールを考える。
今まで、いきなり外泊などした事がなかった葉人は、いきなり言い出して不審がられないだろうか…と考えては、まとまらない文書を何度も書き直していた。
「…なんか…おかしいな……」
光彦にはあんなにはっきり言えたのに、文書に出来ずに顔をしかめる。
母におかしいと気づかれない内容を…と、考えれば考えるほど不自然な文になっていく。
「…」
ごちゃごちゃと頭の中がかき乱れ、結局
『勉強会するから、友達の家に泊まる』
とだけ打ち込み、送信して携帯を投げ出す。
ベッドに転がるメタリックホワイトのそれは、母へのメールを打つ前から着信と未読メールを告げる光が点っていた。
「…た…け……」
8件の不在着信と3通のメール。
すべて一人からのものだった。
「…威…ごめん……っ…ご……」
殴られた痛みと、征服される苦痛と、威に対する申し訳なさに胸をかきむしる。
「…威っ…!!」
耳の奥に司郎達の笑い声が響いた気がして耳を塞いでうずくまる。
「…た…威……助けて……たす……」
ぶるぶると震える唇から、何度も繰り返し呟きながら、いつの間にか暗い闇の中に意識は落ちていった。
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