婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第二話 大公家に嫁ぐ

05-4.

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 ……俺と接触したやつは正気になったはず。

 わざと接触をしたわけではない。

 授業のペアになったり、授業中に隣の席になったり、しただけだ。それだけの接触でクリスを溺愛していたのが嘘のように正気を取り戻していた。

 ……俺の魅了回避は周囲にも影響を与える。

 今でも手を繋いでいるシリルはクリスの魅了にかからないだろう。

 シリルはアレンとセックスをした。ギフトが発動をするのには十分すぎるほどの接触をしている。

「そうかもしれないな」

 アレンは肯定した。

「だが、シリルは大丈夫だ! 社交界でも俺がずっと傍にいるからな!」

「すごい自信だな」

「俺の魅了回避は周囲にも影響を及ぼすんだ。俺の周りの人間でクリスってやつに惚れたのは元婚約者だけだったしな!」

 アレンは社交界の華だ。

 アレンが茶会や舞踏会に出席をすれば、たちまち、写真撮影会が始まる。それを取り仕切るのはシリルの元婚約者たちだった。おかげで以前のような混乱や隠し撮り写真が出回る頻度が劇的に減った。

「元婚約者とは親しかったのか?」

「いいや! 舞踏会のエスコートもなかったし、茶会にも出席しなかった。あいつほど不真面目でやる気のない人間は見たことがない。誠意がまったくないやつだった! 俺は大嫌いだったね!」

「そこまで酷いのか」

 シリルは引いた。

 元婚約者に引かれて逃げられてばかりいたシリルであったとしても、舞踏会に招待をされれば、最低限のエスコートはしただろう。その前に全員から婚約破棄を告げられていた為、経験はない。

「俺をエスコートしていたのは、いつも、家族だった」

 アレンは懐かしそうに言った。

 エスコートは儀式的な護衛を兼ねている。男性が女性にするのが一般的ではあるものの、同性婚が認められているこの国では男性同士や女性同士でも行われる。その場合、嫁にもらう側が行うのが一般的だ。

 それを家族にしてもらうのは恥である。

 婚約者に蔑ろにされていると印象付けられるようなものだ。

 アレンの場合、それは親衛隊やファンを増やす要因となっていた。
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